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2020/5/27 21:00

車中泊のキーワード「バンライフ」とは? 実際のバンライファーに聞いてみた

車中泊やキャンピングカーを楽しんでいる人たちの間で、昨今広く聞かれるようになっているキーワードが「VAN LIFE(バンライフ)」。その名の通りバン(クルマ)で暮らすライフスタイルのことで、欧米を始め世界で大きな広がりを見せています。試しにInstagramやTwitterで「#VANLIFE」のハッシュタグで検索してみてください。何百万という投稿を目にすることができるはずです。日本でも少しずつ市民権を得てきているこの言葉、実際にバンライフを送っている人に取材し、そのライフスタイルを垣間見てみましょう。

 

自分好みのバンをDIYで車中泊仕様に

海外のバンライフを覗いてみると、旧いバンをベースに思い思いのカスタムをDIYで施すのが基本スタイル。元々の内装を剥がしてウッド素材を貼り付け、ログハウスのようなインテリアになっているものも少なくありません。このスタイルに憧れるのは筆者だけではなかったようで、近年は複数のキャンピングカーメーカーから、ウッディーな内装のバンライフを謳ったモデルがリリースされています。

↑トヨタ「ハイエース」をベースとしたSEDONA「typeⅢ」。内装にはウッド素材を多用し、バンライフの世界観を表現している

 

バンライフを語る上で欠かせない存在が、元はラルフローレンのコンセプトデザイナーだったフォスター・ハンティントンという人。仕事に追われる忙しい生活を捨て、生活に必要な最小限のモノだけを自分のバンに詰め込んでバンライフを始めました。そして、その生活の中で出会った人たちや仲間の写真を集めた「HOME IS WHERE YOU PARK IT」という写真集を出版。この本は、世界中のバンライファーたちのバイブル的な存在となっています。

↑バンライフ的なモデルが展示される際、決まって車内に置かれているほど日本でも多くの人が参考にしている写真集です

 

ログハウスのような内装をDIYで実現するのは、ちょっとハードルが高そうですが、自分の手でバンを快適な車中泊仕様に仕立てるのは工夫次第で何とかなるかもしれません。今回紹介する矢井田さん夫婦は、昨年から自宅を引き払い車中泊生活を送っているガチのバンライファー。生活の拠点としているのは、トヨタ「ハイエース」をDIYで車中泊仕様とした「サニイ号」です。

↑自分たちの手で、自宅のような快適な空間を作り上げた「ハイエース」の中でくつろぐ矢井田裕左さんと千秋さん夫妻

 

結婚した当初から「クルマで世界を旅する」ライフスタイルに憧れていたという矢井田さん夫婦。はじめはキャンピングカーに惹かれていたとのことですが、費用やサイズなどのハードルが高く、あきらめかけていたところで海外のバンライフを楽しんでいる人たちの存在を知り、中古の「ハイエース」をベースに自分たちで車中泊仕様にカスタムすることにしました。

↑トヨタ「ハイエース」のスーパーロングバンが矢井田さん夫婦の家代わり。DIYで車内を自分たちの暮らしやすいかたちにしています

 

コンセプトは今まで暮らしていた家で使っていたものを、極力そのまま持ち込むこと。メーカーが仕立てたキャンピングカーとは異なるスタイルですが、確かに自宅にいるような雰囲気で絶妙に落ち着く空間に仕上がっていました。断熱などの加工も基本的にDIYで行っているので、よく見ると手作り感が伝わってきますが、新たにかけた費用は数万円ということでキャンピングカーに比べると圧倒的に安価で”住めるクルマ”を導入できます。

↑バンの後部が2人のベッド。なかなか寝心地良さそうですが、自宅で使っていたベッドのマットをそのまま持ち込んでいるとのこと

 

↑よく見ると、衣装ケースを重ねた上にマットが置かれているだけ。寝るときはクルマは止まっているので全く問題ないとか

 

↑サイドウィンドウにはDIYで断熱材を貼り付けています。これだけでも断熱効果はかなり高いとか

 

↑テールゲートの内側には断熱用のカーテンと通常のカーテンを二重に設置。ドライブ時には開けられるようになっています

 

↑後から見ると衣装ケースの上にマットが乗っているベッドの構造がよくわかります。床板は購入時から貼ってあったものだとか

 

カスタムする際には、穴を開けたり車体への加工は一切行っていないとのこと。これは、中古の「ハイエース」は高値で取り引きされているので、手放す際にも買い手がつきやすいようにという配慮です。このクルマでバンライフを始めてから、寒冷地でも車中泊したそうですが、それでも凍えるようなことはなかったとか。自宅で使っていた家具をできるだけそのまま使うという手法も、費用を抑えるためには有効そうです。

↑タンスも自宅で使っていたもの。耐震用の固定具を下に入れ、走行中に引き出しが出てしまわないようにストッパーを付けています

 

↑食材や鍋なども基本的にこの中に入れているとのこと。調理をする際はガスコンロを使います

 

↑この台も自宅で使っていたものを持ち込んだとか。紐が張り巡らしてあるのは、走行中に置いた物が動かないようにの配慮

 

↑カーテンなども磁石式のフックで車体に貼り付けてあるだけ。鉄板が露出している商用車ならではの手法で、車体には加工をしていない

 

バンライフの魅力、そして仕事はどうする?

”移動できる家”を手に入れ、バンライフを始めてから季節に合わせて気持ちのいい場所に移動したり、絶景スポットで泊まってその中で目覚めるというように、生活ごと移動できるライフスタイルを満喫している様子。一番の魅力は、いろんな土地を訪れて様々な人と出会えることだとお2人は口を揃えます。コロナ禍の影響で、現在は旅を控えているようですが、収束後は再び移動を開始する予定だとか。

 

気になるのは、バンライフを送りながら仕事をどうしているのかということですが、裕左さんは当初リモートワークで会社に所属していたそうですが、今はフリーランスでウェブデザイナーやライターとして活動中。千秋さんも同じくデザインやライティングの仕事をしています。2人で運営するブログ「道なき未知」は、バンライフでの経験を活かして車中泊で役立つ情報やグッズなどが紹介されています。なかなか内容は濃くて、家を引き払うところまでいかなくても車中泊を楽しむ上でも参考になるはずです。

 

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