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2020/6/3 20:30

「クルマ特化型タブレット」って結構いいぞ! カロッツェリアが提案する新カーAVシステムを実際に試す

パイオニアが7月に発売するタブレット型AVシステム、それがクレイドル型の2DINメインユニット「FH-7600SC」と8インチタブレット「SDA-700TAB」を組み合わせた新コンセプトのカーAVシステムです。本システムの最大の特徴が、システムの中核にタブレットを置き、様々なアプリを車内外を問わず楽しめるようにしたことにあります。しかも、車載機としての優れた使い勝手と、高い安全性を両立させているのです。

↑2DINメインユニット「FH-7600SC」と8インチタブレット「SDA-700TAB」を組み合わせた新コンセプトのカーAVシステムだ

 

今ひとつタブレットに不安を感じていた人にオススメ

タブレットの画面サイズは8インチあり、大画面カーAVシステムとしても十分なサイズと言えます。これを専用フレームに収めて、車内ではメインユニットとBluetooth接続し、クレイドルに取り付けて使います。タブレットはクレイドルから取り外して車内だけでなく、屋外でも自由に使うことができます。たとえば自宅で行きたいところをナビアプリ上で設定しておけば、クルマに乗り込んでからいちいち目的地を設定する手間も省けます。もちろん、タブレットは単独でネットワーク端末としても使えますから、好きな動画を見たり、インターネットにアクセスして楽しむこともできます。

↑8インチタブレットSDA-700TAB。タブレット本体とクレイドルに取り付けるための専用フレームを組み合わせた

 

↑クレイドル装着するための専用フレーム(左)とタブレットSDA-700TAB(右)

 

タブレットの通信にはWi-Fiを使います。自宅ではWi-Fiに接続して使い、出かけた時にはスマートフォンのテザリングを使えばOKです。通信費は使うだけ費用が発生しますが、最近の“モンスター級”の通信契約ならそれほど心配する必要はないでしょう。ただ、キャリアによってはテザリングはオプション契約としている場合もありますから、もし未契約の場合はその契約が必要となります。だいたい通信料とは別に500円/月程度はかかるようです。

↑ネットワークを介して様々なストリーミングサービスも利用できる

 

↑ネットワークに接続中はGoogleアシスタントを使って天気予報をはじめ、様々な情報を得ることができる

 

ところで、タブレットを車内に持ち込んで使う人はこれまでにも少なからずおりました。タブレットは画面サイズが大きいですから、見やすさという点でも優位です。ただ、その取り付けには汎用品を組み合わせることが多く、無理矢理感も否めなかったはずです。しかもタブレットは画面サイズが大きい分、重さもそこそこあって、安全上の観点からも取り付けには十分な配慮が欠かせません。加えて車載では耐熱や耐振への対策も必要です。夏場にうっかり車内へ置きっ放しにしておけば、それこそタブレットにダメージを与える可能性もあるからです。

↑2DINメインユニットFH-7600SCにタブレットを取り付けるためのクレイドルを取り付けた

 

↑2DINメインユニットFH-7600SCの背面。システムアップ用としてサブウーファー出力やリアモニター用ビデオ出力も備えた

 

今回紹介しているパイオニアのタブレット型AVシステムは、それらの部分に特に留意して商品化されました。メインユニットに取り付けられたクレイドルは、タブレットをしっかりとホールドして安全性を高めただけでなく、耐振性にも配慮した設計となっているのです。しかもタブレットで動作保証している温度範囲は-10℃~+60℃。つまり、ドライブの途中で車内に置きっ放しにして十分な耐寒/耐熱性を備えたタブレットとなっているのです。

 

さて、8インチタブレットSDA-700TABをメインユニットFH-7600SCに組み合わせて使うには、事前に設定しておくことがあります。それが両者をBluetoothで接続することです。実は、FH-7600SCに内蔵されているFM/AMチューナーをコントロールするには、SDA-700TABにインストールされている専用アプリ「Pioneer Smart Sync for Tablet」が必要です。このアプリを活用することで、チューナやBluetoothオーディオをはじめ、音楽や動画などをストリーミングで楽しめるようになるのです。

↑「Pioneer Smart Sync for Tablet」を使うと、オーディオをはじめ音質調整などがコントロールできるようになる

 

接続してタブレット上に表示されるコントロール用アイコンは、サイズも大きく運転中の操作も楽々。Pioneer Smart Sync for Tabletを介して、メインユニットのオーディオ操作や設定、音質の調整などをすべてタブレット上で操作できます。楽曲をアップ/ダウンは画面を左右にスワイプするだけ。操作フィーリングはとてもスムーズでした。サウンド面では車内の音場を最適化するタイムアライメントや、圧縮音源の音質を際立たせるアドバンスド・サウンドレトリバー搭載するなど、タブレットのエンタメ性を引き立てる優れたオーディオ能力を備えています。

↑イコライザーの設定はアイコンにタッチするだけで好みのモードにワンタッチで切り替えられる

 

↑「スーパー轟サウンド」。低音を単純に増強するのではなく、低音域と中高音域をデジタル処理するEQ調整で、パワーとハリのある低音を楽しめる

 

タブレットのディスプレイはハイビジョン対応で、ストリーミングで再生する映像を細部まで鮮明に映し出すだけでなく、Googleマップなどを表示したときは地名や街区なども細部まできっちり見せてくれます。また、タブレットのディスプレイは反射が少ないノングレアを採用しています。このため、明るい昼間で使っても見にくさを感じずに済みそうです。

↑タブレットSDA-700TABでGoogleマップを使ってみると、HDならではの解像度が鮮明な地図表示に貢献していた

 

ディスプレイを取り付けるクレイドルは、アングルは調整できないものの、高さや奥行きを同梱されている2枚の台座を組み合わせることで調整できます。アングル調整ができないことで反射が気になりそうですが、幸いタブレットのディスプレイは反射を抑えたノングレア処理が施されていますから、昼間の反射はほとんど気にしなくても良さそうです。

↑2DINメインユニットFH-7600SCに取り付けるクレイドルは、付属の調節用パーツを組み合わせることで、タブレットの位置を調整できる

 

使ってみて惜しいと感じたのが、メインユニットにはボリュームのスイッチしかなく、仮にタブレットを車内に持ち込まないとラジオさえも楽しめない事です。別売のステアリングリモコンケーブルを組み合わせたら操作可能になるかとも思い、開発者に聞いてみましたが、結果は「タブレットがないとステアリングリモコンの学習を選択できない」のでNG。これは残念。タブレットは車内外に持ち出せて自由に使えても、メインユニットはタブレットがなければ“タダの箱”になってしまうんです。このあたりはぜひ改良していただきたいですね。

 

とはいえ、タブレットならではの多彩なコンテンツを大画面に映し出し、それをカーオーディオならではの迫力たっぷりのサウンドで楽しめる本システムの魅力は大きいです。今までタブレットに魅力を感じつつも、安全性で今ひとつ不安を感じていた人も少なくなかったでしょう。そんな人に新たな自由な使い方を与えてくれるのがパイオニア「カロッツェリア」のタブレット型AVシステムと言えそうです。

 

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