【希少車に注目⑮】国鉄らしい風貌+赤ベースの華やか電車
◆JR九州713系 計8両(鹿児島車両センター)
国鉄時代の電車といえば、武骨な佇まいの電車が多い。とはいえ郷愁を誘うデザインなのか、115系などわずかに残る国鉄形電車がみな人気となっている。そんな国鉄時代の風貌をそのまま残す713系。JR九州の電車らしく赤色ベースのおしゃれなイメージに変更されている。
この713系電車。造られたのは1983(昭和58)年のこと。九州初の交流専用電車として造られた。この電車をベースに交流専用電車が開発される予定だったのだが、資金難から計画は途中で変更され、既存車両の改造でまかなう方針に変わっている。713系は将来に向けての試作的な車両だったのだが、JRとなった後に造られた787系、811系といった電車に、その技術が引き継がれている。いわば交流専用電車の礎になった電車なのである。
今は宮崎地区で朝夕を中心に走る713系。静かに“余生”を送るといった雰囲気でもある。
【希少車に注目⑯】元高性能車両も新旧交代の波にのまれ始めた
◆JR九州キハ66系 計16両(佐世保車両センター)
*同車両数は2020年8月5日以降(予定)のもの
今回、紹介する中で最古参の車両がキハ66系。1974(昭和49)年から1975(昭和50)年にかけての製造と、すでに活躍は45年にも及ぶ。元々は山陽新幹線の博多駅延伸に合わせて造られた気動車で、非電化区間だった筑豊・北九州地区の路線への乗継ぎを便利にするために開発された。
当時の急行形気動車キハ58系などよりも、走行性能に優れていたが、車体重量が重めで、ローカル線での運用には適さず、また国鉄の経営悪化に伴い2両×15編成のみの製造で終わった。
2001年からは長崎地区へ転属、大村線を中心に長崎駅〜佐世保駅間を走る列車の主力列車に活かされてきた。そうした長年、活躍してきたキハ66系も、ハイブリッド気動車のYC1系の増備で、活躍の場を失いつつある。
8月5日には2編成がラストランを迎える予定で、2020年4月から8月5日にかけて12両が引退を迎えている。残りは2両×8編成となる。こうした新旧交代は世の習いとはいえ、一抹の寂しさを覚えるのは筆者だけだろうか。