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2020/9/14 21:00

Honda初のEV市販車「Honda e」は「かわいい」の中に最先端が宿る一台

いよいよHonda初の市販EV(電気自動車)、「Honda e(ホンダ イー)」が10月30日に発売されることが決定しました。日常ユースに特化したシームレスなモビリティとして登場したHonda e。そのかわいらしい雰囲気には実は開発者の熱い想いと先進技術が詰まっています。

↑Honda e 発表会でのHonda e開発責任者の一瀬智史氏。2019東京モーターショーで国内発表されました

 

人と社会とクルマのシームレスな関係

8月27日のプレス発表では開発責任者の一瀬智史氏が開発コンセプトを語りました。「未来のシームレスな生活パートナーとなるEV」であること。EVが活きるのは街なかだと考え、『街なかベスト』なEVを目指したこと。「他にはないユニークな魅力を持つ、本質を追究したEV」であること。これからの生活のあらゆるシームレス化に対応できるモビリティであること。クルマと社会、お気に入りの生活、行動、情報、あらゆるモノと繋がるのがこれからの世界です。これを「シームレスライフ」と呼び、それを創り上げるのがHonda eと位置づけたのです。

↑これまでのEV開発の発想を大きく転換したHonda e。サイズも佇まいも「街なかベスト」です。価格はHonda eが451万円、Honda e Advanceが495万円

 

これからのコンパクトカーのベンチマークとなるクルマ作りを意識しているのがHonda e。大胆にもEVでありながら航続距離を延ばすことをメインにしていません。航続距離を延ばすためにバッテリーを多く積むことでクルマは大型化し、重量も増してしまう。実際の街でのクルマの使用を考えると本当にこれがベストなのか? というところに立ち返り開発しています。それを端的に示すのが、長距離移動時は公共交通機関やハイブリッドカーを使用してもらおうという割り切り。これまでのEVの発想を変え、本当の合理性を追求しています。

↑デザインニュアンスにホンダを世界の自動車メーカーにした初代シビックのオマージュを感じさせます。街の人々を和ませるエクステリアデザイン

 

愛らしい顔のあるエクステリアデザイン

まずは特徴的な表情を持つ外観から見て行きましょう。ボディサイズは全長×全幅×高さが3895×1750×1510mmと、Honda Fitより100mm短く55mm幅広で5mm低いことになります。乗車定員は4名で5ドアハッチバックの形状。まさしく街なかベストなサイズです。余計なノイズを廃した機能的でシンプルなボディデザインとなっています。車幅内に収まったサイドカメラミラーシステムや手触りの良いガラスの充電リッドもデザインアクセントとしています。ちょっと恐面のクルマが多い中、Honda eは街を和ませることでしょう。

↑サイドカメラミラーシステム。駐車する時には側方下部も写します

 

↑ボディカラーは全7色

 

インテリアは自宅とシームレスに繋がるイメージ

通常の乗車時に加え、30分の急速充電時にも乗員が車内にいる時間があることも意識し、その時間を快適にしたいという想いと、室内はくつろげる家とのシームレスなイメージを形にしています。シックな色合いのシートやインテリアはリビングにいるかのよう。ブラウンのシートベルトやシートのタグもカラーアクセントとしてモダンな雰囲気を醸し出しています。リビングテーブルのようなウッド調のパネルの上に5つのモニター画面からなるワイドヴィジョンインストルメントパネルが室内幅一杯に広がります。スイッチ類は極力整理され、シンプルなデザインと人に優しい操作性を実現。

↑Honda eのインテリア。シンプルな中に沢山の先進機能が詰まっています

 

デザイン上のアクセントとなっているサイドカメラミラーシステムはこれまでのドアミラーに変わるシステムです。両サイドの6インチモニターにはそのシステムからの映像が映し出されます。これまでのドアミラーと違和感のない位置に配置され、ワイドで自然な映像は降雨時のミラーやガラスにつく雨滴の影響を受けることなくクリアに表示します。

 

センターに並ぶ2つの12.3インチの「ワイドスクリーンHonda CONNECTディスプレー」はドライバーだけでなく、助手席の同乗者も操作でき、それぞれに快適な表示機能を選択したり、左右のアプリを入れかえたりなど自在な操作性を実現。スマートフォンとの接続によって音楽アプリやエンターテイメントアプリを表示することも可能です。運転者、同乗者が共に快適で楽しい時間を過ごせそう。

↑HMI&AIの活用で多様な機能を誇るワイドスクリーンHonda CONNECTディスプレー

 

スマホをデジタルキーとして使用することも可能に

Honda eは、スマートフォンと連携して様々なコネクテッド機能を活用することができます。スマホから目的地をナビに送ったり、広い駐車場でクルマの位置が分からなくなった時に探したり、ドアロックの解除、充電リッドの開閉なども可能。さらに、遠隔エアコン操作にも対応しており、出発時間に合わせて車内の温度調整もできます。この機能は電力消費の大きいエアコンの最初の温度調整をプラグインの間に行うことで航続距離への影響もおさえる機能となっています。

 

また、専用のアプリをダウンロードすることでスマートフォンをデジタルキーとして使用することが可能に。スマートキー/スマートフォンを持ってクルマに近づくとフラットだったドアノブがポップアップします。シートに座りドアを閉めるとエンジンスタートまでを自動で行うことが可能。また、クラウドAIによる音声認識と情報提供を行う「Hondaパーソナルアシスト」を採用し、「OK,Honda」と呼びかけることで最新のリアルタイム情報を表示可能。シンプルに構成されたインストルメントパネルも含め、Honda eのHMI(ヒューマンマシンインターフェイス)によって快適なドライブが可能となります。

 

優しい雰囲気だけじゃない高トルクモーターの走り

駆動モーターはアコードe:HEVの高トルクモーターを使用。Honda e専用設計の高剛性シャーシのセンターフロアにバッテリーを、モーターはリア荷室下にレイアウトしています。低重心で安定感があるだけでなく、フロントタイヤの切れ角も大きく取ることができ、4.3mという軽自動車以下の最小回転半径を実現し、タウンユースの助けになります。最大トルク315Nm(32.1kgf・m)の大トルクモーターを活用した走りはキビキビとしたものに。スポーツモードやアクセル操作のみの停止までコントロールできるシングルペダルモードなど、道路状況や走行状況に応じ、好みの運転スタイルを選ぶことができます。

↑コンパクトなボディに組み合わされるハイパワーモーターにより気持ちの良い走りを実現

 

Honda eには通常の「e」と17インチホイールなどを備えたハイパフォーマンスな「e Advance」の2つのグレードをラインナップ。「e」はフル充電での航続距離がWLTCモード値で283km。JCO8モード値で308km。「e Advance」の最大トルクは「e」と同じものの、「e」の最高出力が100kW(136PS)に対し113kW(154PS)と高出力な分、航続距離はそれぞれWLTCモード値で259km。JCO8モード値で274kmとなります。

 

家庭での200vでのフル充電には10.2時間。夕方充電を開始すると翌朝にはフル充電が終わっている状態となります。また、30分の急速充電では80%の充電が可能となり、202kmの走行が可能となります。街なかベストと銘うっていますが、急速充電をうまく活用することで遠距離の走行に対応できます。

↑ご家庭の200vでは10.2時間でフル充電が可能。災害時などはHonda eを電源とすることも可能

 

↑囲い線のある駐車場へのパーキングサポート、線のないスペースへのサポートを行います

 

 

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