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2021/10/10 6:30

懐かしの気動車に乗りたい!旅したい!「小湊鐵道」「いすみ鉄道」

【乗ろう!いすみ鉄道②】もちろん看板列車はキハ28&キハ52

キハ20よりも増していすみ鉄道の名物車両といえば、キハ28とキハ52であろう。両車両は常に2両で組み、週末に運行される「急行列車」や、「レストラン列車」として生かされている。両車両とも国鉄時代に造られ、その後にJR西日本で活躍した後に、いすみ鉄道へやってきた。

 

大原駅側が「キハ28-2346」で上総中野駅側が「キハ52-125」の並びとなる。それぞれ車両は次のような経歴を持つ。

↑大多喜駅を出発したキハ20(左)とキハ52が並ぶ。大多喜駅で販売の「鉄印」(右)や、鉄印帳用のポーチもキハ52とまさに〝52づくし〟

 

○キハ52-125

キハ52形は、1957(昭和32)年に開発されたキハ20形の勾配区間用としてエンジンを2基搭載した出力増強タイプ。本州、四国、九州の多くの路線で活躍した。

 

いすみ鉄道へ譲渡された車両は1965(昭和40)年生まれで、福井県の越美北線、後に大糸線を走り続けた。2010(平成22)年に譲渡され、翌年からクリーム+朱色の国鉄一般色で走り始めた。その後に朱色一色の首都圏色に変更されたが、2019(令和元)年6月に再び国鉄一般色に戻されている。

 

○キハ28-2346

キハ28形は急行型気動車キハ58系に含まれる一形式だ。キハ28形とキハ58形の違いは、キハ28形が冷房用発電機を搭載するために、動力用のエンジンを1基しか積んでいないのに対して、キハ58形は動力用エンジンを2基積む。2基積んだものの、スペースの都合から冷房用発電機が非搭載の車両が多かったため、キハ28形とキハ58形と組んで走ることが多くなった。現在、いすみ鉄道ではキハ52形と組んで走っている。

 

いすみ鉄道へやってきたキハ28-2346は、さまざまな場所で走った経歴を持つ。生まれは1964(昭和39)年のこと。その後に米子機関区→新潟機関区→千葉気動車区→米子機関区→七尾機関区と移る。北陸での運用中にJR西日本に継承され、その後に富山運転所→高岡鉄道部→越前大野鉄道部と移り、最後は富山へ戻って最後は高山本線を走っていた。いすみ鉄道へは2012(平成24)年に譲渡されている。ちなみにキハ28形で動いているのはいすみ鉄道の車両のみとなっている。

↑国吉駅を発車した大原駅行きの急行列車。キハ28が先頭に、後ろがキハ52という編成だが、天気の良い日は正面が陰りがちに

 

筆者は10月3日の日曜日に訪れた際に、急行列車として出庫準備中のキハ52と、大多喜駅を出発したキハ20がちょうど並んだところを撮影する機会を得た。最近に製造された車両のキハ20だが、並んでみると色や形がキハ52にそっくり。房総半島で国鉄一般色2車両が並ぶ光景に出会えて嬉しく感じた。

 

【乗ろう!いすみ鉄道③】現在1往復の列車撮影の難点とは

キハ28とキハ52の組み合わせは、常に鉄道ファンに人気となっているが、実はちょっと残念なこともある。10月現在、土・日曜祝日に一往復。大多喜11時37分発→大原12時16分着。大原12時46分発→大多喜13時23分着が有料の急行列車として運行される。以降、大多喜13時26分発→上総中野駅13時50分着、上総中野駅14時→14時23分大多喜駅着は普通列車として運行されている。

 

残念なのは、現在の運行時刻だと、天気の良い日には、大原駅行きの列車の正面、つまりキハ28側に光が当たらず、陰りがちに写ってしまうのである。

↑大原駅行き急行列車は好天の日よりも、薄日ぐらいの日の方が場所選びに困ることがなさそうだ(大多喜駅〜城見ヶ丘駅間)

 

以前には8時台に走る列車があり、正面が陰ることが少なく順光でとれる場所が多かったが、現在は遅い時間帯に走るダイヤが定着してしまっている。今後、観光シーズンに増便があるのか気になるところだ。ちなみに新田野駅(にったのえき)〜上総東駅(かずさあずまえき)間など一部では、順光での撮影が可能なのでトライしてみてはいかがだろう。

↑大原発の急行列車、キハ52側の先頭車は沿線の各所で順光での撮影が可能となる(新田野駅〜国吉駅間)

 

【乗ろう!いすみ鉄道④】房総両路線横断の〝難点〟と言えば

筆者は何度目になるのか分からないほど、いすみ鉄道、小湊鐵道にたびたび乗って、撮って楽しんでいる。首都圏に近く貴重な非電化区間であり、懐かしの車両が走るとあって、つい時間があれば訪れてしまうのだ。

 

さらに房総半島を横断する列車旅を楽しむことにしている。ところが最近、やや不便に感じることが出てきた。

 

まずは昼食をどうするかで悩む。10年ほど前までは途中駅でも、駅前に飲食店や、パンやおにぎりなどを販売する店があって、昼食に困ることがなかった。ところが近年は規模の大きな大多喜駅あたりでも、駅前食堂がなくなり、飲食店へは少し歩くことが必要となってきた。コンビニなども駅前にないところが多い。いすみ鉄道と小湊鐵道が接続する上総中野駅でも、駅前付近に店がない。それだけ列車を利用する地元の人たちが減って、商売にならないということなのだろう。

 

そこで、房総半島を横断する時には事前に昼食を購入しておくことをお勧めしたい。

↑国吉駅で販売されている「たこめし」(900円)。外房沖で獲れるマダコを使用、いすみの地野菜とともに楽しめる

 

いすみ鉄道の大原駅側から入る場合には、大原駅そして国吉駅の売店でお弁当を販売している。さらに、週末には国吉駅での停車時間に、いすみ鉄道応援団の人たちが車内まで弁当の販売に訪れるので、そうした時に購入することをお勧めしたい。

 

小湊鐵道から乗る場合には、五井駅周辺で購入、また上総牛久駅など一部の駅前に飲食店がある。

↑上総中野駅にいすみ鉄道のキハ20が到着して賑わう。同写真を撮影した2020(令和2)年10月25日は小湊鐵道の一部路線が不通だった

 

さらに問題なのが、自然災害の影響を受けやすいことだ。房総半島の地図を見ると、川が右左に激しく蛇行していることが分かる。地形も複雑で、強固な地盤と言いがたい。小湊鐵道の線路端に連なる斜面などを見ると、水分を多量に含み、脆そうな印象が感じられる。

 

このところ台風が千葉県沖を通過することも多く、ここ10年の被害だけをあげてみると、いすみ鉄道での不通期間はないが、小湊鐵道では2013(平成25)年秋〜2014(平成26)年春、2015(平成27)年秋、2019(令和元)年に至っては9月9日〜21日、同年10月25日〜2020(令和2)年1月27日にかけて。さらにこの年は10月11日〜12月16日に不通となった。そして今年の7月4日以降(10月中旬に復旧予定)、というように路線のどこかの区間が不通になる状態が続いている。

 

そのたびに復旧作業が行われるのだが、こうした災害の影響が一般観光客の足を遠のかせる一つの要因になっているようにも思え、とても残念である。

 

さらに億劫なのが上総中野駅の乗り継ぎである。10月3日現在、途中区間が不通のままのため、列車本数が限定的になっていた。影響はいすみ鉄道にも波及しているように感じた。

 

筆者が乗車した上総中野駅着12時27分着のいすみ鉄道の列車は、乗っていたのが筆者1人のみだった。バスでは人が少ない例はあるものの、ローカル線の列車で、乗客が筆者のみというのは初めての経験だった。もちろん乗客1人のみでは、営業は成り立たないように思う。

 

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