まるでスポーツクーペのような感覚で曲がれる!
搭載されるエンジンは、1.4L直噴ターボの「ブースタージェットエンジン」。名称だけでもカッコいいが(笑)、実力もしっかりともなっている。低回転域からターボエンジンらしからぬ高トルク(力強さ)を発揮し、2000~3000回転くらいまでエンジンを回せば、1.4Lとは思えないほどパワフルで余裕のある走りを味わえる。アクセルを踏み込めばリニアに反応して鋭い加速をみせ、1t以下という軽量なボディを、まるで後方から蹴っ飛ばしたかのように押し出してくれる。
このクルマの一番の特徴でもあり、賞賛に値する部分といえば、やはり走りがいいこと。まずコーナーでは、全高が高めのコンパクトカーとは思えないほど路面にビシッと張り付き、まるでスポーツクーペのような感覚で曲がれる。また、「HEARTECT(ハーテクト)」と呼ばれるプラットフォーム、つまりクルマの骨格は、剛性が高く、非常にしっかりしている。ベースのスイフトと比較すると、やはりサスペンションは硬めだが、決して乗り心地は悪くない。
さらに、MTの操作感がしっかりしていて、スコッスコッと気持ちよく変速できる。このあたりも欧州車らしい味付けだ。フロントシートは、スイフトスポーツ専用デザインになっていて、速い速度でコーナーなどに侵入した際にGで身体が持っていかれそうになっても、しっかり支えてくれる構造になっている。
なお、2020年5月には改良が施され、後退時ブレーキサポート、後方誤発進抑制機能、リアパーキングセンサーなど、車庫入れなどちょっとした動作の際にやってしまいがちなうっかりミスを助けてくれる機能が追加された(5速MT車を除く)。また、アダプティブクルーズコントロール(全車速追従機能付き)やブラインドスポットモニター(車線変更サポート付き)なども全グレードに標準搭載されるなど、安全性能も高められている。これなら、中年になってキビキビ走るスポーツカーに対して不安を抱いているような人であっても安心だ。
グレードを選ぶにあたって一番好ましいのはMTモデルだが、家族も運転するとなると、MTはNG……という人も多いだろう。しかし6速ATモデルも(MTの操作感を抜きにすれば)十分気持ちよさを味わえて、街中をストレスなく走ることができる。見た目がちょっとスポーティ過ぎる感もあるが、5ドアハッチバックなので実用性は十分だ。残念ながら3ナンバーでハイオク仕様となっていてランニングコストはすこしかかるが、それほど燃費が悪いわけでもない。幼児などを抱えていて実用性がないと困るが、時には本格的なスポーティ性能を味わいたい。そんなユーザーにベストな選択となる。
SPEC【2WD・6MT】●全長×全幅×全高:3890×1735×1500㎜●車両重量:970㎏●パワーユニット:1371㏄直列4気筒直噴ターボ●最高出力:140PS/5500rpm●最大トルク:230Nm/2500-3500rpm●WLTCモード燃費:17.6㎞/L
撮影/茂呂幸正 文/安藤修也
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