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2022/10/12 20:45

マツダ「CX-5」クリーンディーゼルは、プレミアムブランドのラグジュアリーモデルに乗った時のような万能感

発売から5年が経過した現行型CX-5だが、今も刷新され続け、商品力を高めている。今回は同車のクリーンディーゼルエンジン搭載モデルに試乗して、このクルマの存在意義と価値について改めて考えてみた。

 

【今回紹介するクルマ】

マツダ/CX-5

※試乗グレード:XD Sports Appearance

価格:290万9500円~407万5500円(税込)

 

クロスオーバーSUVとしてカテゴリー全体を成熟

昨今、クラウンにもフェラーリにもSUV(のような)モデルが誕生し、いつの頃からかSUVは、ブームからスタンダードな存在となった。そもそもトラックから派生した悪路を走れるクロスカントリーモデルが、乗り心地が乗用車並みに改善されてSUVと呼ばれるようになり、街の風景にも似合うスタイリングをまとって、2000年代以降に世界的なブームとなったのである。

 

日本でのターニングポイントは90年代だ。1994年のトヨタ「RAV4」のヒットでシティSUV人気に火がつき、1997年のトヨタ「ハリアー」がアウトドアをしない一般層にも好評を得たことなどが、SUVカテゴリーの過渡期を担った。そして、高級感と都会的な雰囲気を高めたクロスオーバーSUVとしてカテゴリー全体を成熟させたのが、2012年に発売されたマツダの初代「CX-5」だ。

 

初代モデルは、当時話題になった「SKYACTIVE(スカイアクティブ)」技術の全面的採用車ということで、燃費性能や走行性能の良さに注目が集まった。実際、クリーンディーゼルエンジン搭載車でリッター15km(実燃費)程度の数値は出せたし、同時期のSUVと比べてコーナリング時の挙動も高速道路走行時も安定感が高かったものだ。

 

そんなCX-5が2代目へモデルチェンジしたのが2017年2月。この頃になると日本でもSUVの販売台数は急増していたが、現行型となる2代目CX-5は、キープコンセプトながら全方向で進化を果たした。その後、毎年のように商品改良されて性能や魅力を高めてきたが、登場後約5年が経過した2021年11月、さらに大幅改良がなされている。

 

まず目につくのはデザインだ。CX-5は今やマツダのグローバル販売台数の約三分の一を占める基幹車種ということで、同ブランドを象徴するようなデザインでなくてはならない。そもそも2代目モデルになった時点で、海外のプレミアムブランドに勝るとも劣らない独自のプレミアム感を備えていた“魂動”デザインが、さらに進化している。

↑ドライバーとクルマの関係を、まるで愛馬と心を通わせるかのように、エモーショナルなもの。そのための造形を追い求めつづけるのが、マツダの「魂動デザイン」

 

フロントバンパー、およびグリルまわりの形状はスッキリして、より上質で凛とした雰囲気が感じられる。まるでギリシャ彫刻のような、美しさと躍動感に満ちた表現に仕上げられている。今回の改良ではなく、現行型になった時からそうだが、CX-5のデザインは国産SUV市場においてもう一歩足りなかったファッション性のようなものを獲得しており、そういった部分ではジャガーやBMWなど欧州プレミアムブランドのSUVに肩を並べるものがある。

↑またボディカラーは全8色。試乗車はソウルレッドクリスタルメタリックだった

 

今回、インテリアに変更点はなかったようだが、もとから洗練されているデザインが好印象だ。シンプルながら大人っぽい雰囲気で、運転姿勢のまま各操作部までしっかり手が届いて操作性が高い。このクルマは外から見ると大きく見えるが、実際にシートに座ってみるとそれほど車体が大きいと感じられず、このあたりは運転のしやすさにも繋がっている。さらに、サスペンションの改良もあってか比較的長い時間運転しても疲れは少なかった。

↑ダッシュボードの低い位置に水平基調のラインを作る最新流行を取り入れ、手が触れる部分の素材に柔らかいものを使用

 

↑座面には人間が不快に感じる振動だけをカットする性質を持ったウレタンを採用し、より快適な座り心地を実現

 

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