「NEW VEHICLE REPORT」はプレミアムブランドへの飛躍を模索するマツダの意欲作「CX-60」をピックアップ。「CX-60」のチャレンジングな新機軸に注目だ。
※こちらは「GetNavi」 2023年3.5月号に掲載された記事を再編集したものです
新たな価値観の構築を目指すマツダの意欲作は新機軸が満載!
【SUV】
マツダ
CX-60
SPEC【XD ハイブリッド・エクスクルーシブ・スポーツ】●全長×全幅×全高:4740×1890×1685mm●車両重量:1910kg●総排気量:3283cc●パワーユニット:直列6気筒DOHCディーゼル+ターボ+電気モーター●最高出力:254[16.3]PS/3750rpm●最大トルク:56.1[15.6]kg-m/1500〜2400rpm●WLTCモード燃費:21.1km/L
●[ ]内はモーターの数値
新時代のマツダを予感させる意欲的な作りが好印象!
これまで“走る歓び”を追求してきたマツダが、“プレミアム”という領域に本格的に踏み込むため、直6エンジンとそれを縦置きしたFRベースのプラットフォームを新開発。その第1弾となるCX-60は、運転するほど元気になり、ユーザーの行動範囲を広げ、家族や仲間との新しい愉しさを提供する“ドライビングエンターテインメントSUV”という位置づけだという。
その優雅なスタイリングは、マツダ独自の“魂動デザイン”が進化したもの。大別して4つのグレードが用意され、インテリアでは西陣織に着想を得たという“プレミアムモダン”の斬新な表現や、“エクゼクティブスポーツ”の鮮烈なタンカラーの内装が目を引く。
パワートレインは直6ディーゼルおよびMHEVと、直4ガソリンおよびPHEVの計4種類のエンジンに新開発のトルコンレス8速ATを組み合わせている。まず、ディーゼルは3.3Lという大きめの排気量による余裕の動力性能を確保しつつ、燃費を大幅に向上させることに成功。ディーゼルらしい力強い走りと、直列6気筒らしく調律された迫力あるサウンドを味わうことができる。
MHEVは小さなモーターが発進直後に上手くアシストしてくれて軽やかな出足を実現している。PHEVは、大きなモーターと十分なバッテリー容量により最長で74kmの距離をEV走行できる点がポイントだ。
一方、足まわりはロードスターで培ったFR駆動のノウハウを生かしつつ、独自の着眼点で数多くの新たな試みにチャレンジ。現状では煮詰めきれていない部分も見受けられるが、マツダが目指すものには大いに期待できる。
また車内のカメラで運転者を認識し、記憶した設定を自動的に復元する「ドライバー・パーソナライゼーション・システム」を搭載。異常を検知すると停止までを自動制御する「ドライバー異常時対応システム」など、マツダ独自の取り組みによる運転支援装備をいち早く設定している点も注目に値する。
そんなCX-60は、さらなる高みを目指すマツダの渾身の意欲作であることは間違いない。
[Point 1]新開発のFR骨格は優美な外観作りにも貢献
縦置きのエンジン回りと後輪駆動という構成を基本とする、FRプラットフォームを新規開発。その効果は、ホイールベースの長さが印象的な優美さを感じさせる、CX-60のエクステリアデザインでも実感できる。
[Point 2]上質感の演出にも抜かりないインパネ回り
デジタル系の装備を網羅しつつ、デザイン自体は従来のマツダ車らしいスポーティなテイストを踏襲しているインパネ回り。トリムのステッチ類など、プレミアムなモデルに相応しい上質感も演出している。
[Point 3]走りへのこだわりを象徴するシート回り
質感の高さが印象的なシート。前席には最適な着座位置を設定できる「自動ドライビングポジションガイド」も装備される。後席もボディサイズ相応の広さが確保されている。
[Point 4]ミドル級SUVに相応しい使い勝手も実現
外観のイメージこそスタイリッシュだが、荷室回りの絶対的な広さはミドルサイズのSUVらしい水準を確保している。広い開口部をはじめ、使い勝手への配慮も行き届いている。
[Point 5]パワートレインは4タイプと多彩
パワートレインは2.5Lガソリンがベース。加えてディーゼルとそのマイルドハイブリッド版(MHEV、写真)など、合計で4種を揃える。
[Point 6]プレミアム級SUVらしく足元も重武装に
プレミアム級の風情を演出するSUV、ということで足元もスポーティな選択が可能。試乗車のホイールは大型の20インチを装着していた。
[Point 7]ディーゼルのMHEVは速さと高燃費を両立
3.3L直列6気筒ディーゼルターボに電気モーターを組み合わせるMHEV版は、大排気量ディーゼルターボらしい力強さと低燃費を両立。足回りはスポーティな味付けだ。
[ラインナップ]
【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】
文/岡本幸一郎 撮影/市 健治、篠原晃一