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2023/5/8 11:15

e-Bike最高峰の実力は? 100万円弱のTREK製「Rail 9.7 Gen 2」で都内を散策したら……

このところ、急速に選択肢が広がり成長を続けているのが、e-Bikeと呼ばれるスポーツタイプの電動アシスト自転車。その心臓部であるドライブユニット(モーター)の製造で世界一のシェアを誇っているのがBOSCHです。今回は、BOSCH製ユニットを搭載した最高峰のe-MTB(マウンテンバイクタイプのe-Bike)に試乗するとともに、その楽しみ方を味わってきました。

 

e-Bikeでなければ到達できなかった景色に出会える

今回試乗したのはTREKの「Rail 9.7 Gen 2」というモデル。BOSCH製のドライブユニットで最もパワフルで緻密なコントロールが可能な「Performance Line CX」を搭載したe-MTBのトップグレードです。

↑カーボン製のフレームに前後サスペンションを装備したTREK「Rail 9.7」。試乗したモデルはGen2と呼ばれる最新型で、価格は97万6800円(税込)

 

世界的に見ると、e-Bike市場を牽引しているのは、こうしたハイグレードなe-MTB。ただ、日本国内ではまだ限定的な規模にとどまっています。理由のひとつとして、日本国内ではMTB専用コースが限られるという事情もありますが、e-Bikeは決して専用コースに行かなければ楽しめないものではありません。そんなe-Bikeの楽しみ方を体験するため、BOSCHの担当者にアテンドしてもらい、東京都内のルートを走ってみました。

↑桜の花の咲いている時期だったので、お花見気分でのライドとなりました

 

筆者の自宅からそう遠くないエリアでのライドでしたが、少し裏道に入るだけで都内とは思えないような田園風景が開けます。アップダウンもある道のりではあるものの、アシストしてくれるe-Bikeならまったく苦になりません。景色を見ながらペダルを回しているだけで、風を感じて走って行けるのはe-Bikeライドの魅力です。

↑幹線道路からちょっと外れて裏道に入って行くと、東京だとは思えない風景に出会えました

 

↑ペダルを軽く回しているだけで、どんどんスピードが乗ってくるのもe-Bikeのいいところ

 

↑写真ではわかりにくいですが、普通の自転車なら登る気にもならないほどの激坂もe-Bikeならラクラク

 

アシストのない自転車では立ちこぎをしても登れないかも……と思うほどの坂を登って行くと、これまた都内とは思えない切り通しに到着しました。このあたりはクルマで通ることはありましたが、少し裏道に入っただけでこんなスポットがあるとは……。

 

もし知っていたとしても、e-Bikeでなければ手前にある坂を登ろうとは思わなかったでしょうから、e-Bikeだからこそ出会えた景色だともいえます。

↑激坂を登って行くと、思わぬ絶景ポイントに到着しました

 

↑e-Bikeに乗っていなければ、出会わなかったかもしれない景色

 

その後も、BOSCHの担当者さんが設定したルートを案内してもらいましたが、普段はなかなか行かないようなスポットに連れて行ってもらえました。細い道ばかりでクルマで入って行く気にはならないうえに、坂道がキツイので普通の自転車で行こうとは思わないような場所ばかり。e-Bikeならではのルート設定はさすがだと感じました。

↑都内、しかも近所にこんな牧場みたいな場所があったとは……

 

↑クルマで前を通ったことはあったけど、寄ろうとは思わなかった場所もe-Bikeなら気軽に立ち寄れます

 

今回、走らせてもらったルートはRail 9.7 Gen 2のようなフルサスe-MTBでなくても走破できます。e-Bikeはほしいけど、どう楽しんだらいいのかわからないという人は、こうやって少しいつもの道を外れて探索するだけでも十分にその魅力が感じられるはず。e-Bikeだと坂道も気にならないし、帰り道の体力も心配しなくていいので、積極的に寄り道や探索ができるのがおもしろいところです。

↑最後に少しだけ未舗装の山道も探索して、フルサスe-MTBの実力を試してみました。これくらいの坂道は余裕で登ったり下ったりできます

 

フルサスタイプのe-MTB「Rail 9.7 Gen 2」

順番が前後しますが、今回乗らせてもらったTREK Rail 9.7の詳細を紹介しておきましょう。登場したのは2020年のことで、その際にも試乗はしているのですが、今回乗ったのは2022年モデルでGen2に進化しています。細かいコンポーネントも刷新されていますが、「Gen1」から大きく違うのはドライブユニットの制御です。「Performance Line CX」のドライブユニットはハードウェアは同じですが、最大トルクが75Nmから85Nmに高められているだけでなく、ペダルを踏み込んだ瞬間に強力なアシストが立ち上がるような設定が追加されています。山の中の急な登り坂などで役立ちます。

 

前後にサスペンションを装備した“フルサス”と呼ばれるタイプのe-MTBで、フレームはカーボン製。バッテリーはフレームに内蔵されるタイプで、スマートなシルエットを実現しています。

 

【Rail 9.7 Gen 2を画像でチェック】(タップするとご覧いただけます)

 

走行性能を左右する変速ギアやサスペンションなどのパーツもハイグレードなもの。変速ギアはシマノ製の12速で、幅広いシーンに対応できます。サスペンションはフロント160mm、リア150mmのホイールトラベルを確保し、凹凸の激しい路面でもグリップを確保。ブレーキは前後とも制動力とコントロール性にすぐれた油圧式ディスクブレーキを採用しています。

↑大小12枚のギアが並ぶリアの変速機構。ディレーラーはシマノ製のXTグレードです

 

↑フロントには変速を搭載しない最近のMTBのトレンドを踏襲。チェーン落ちを防ぐガードも装備しています

 

↑フロントサスペンションはRockShoxの「Domain RC」。160mmのストロークは激しい下りにも対応できます

 

↑ホイール径は前後とも29インチ。走破性が高くスピードを維持しやすいので、舗装路でも疲れません

 

↑リアのサスペンションはRockShox製「Deluxe Select+」で、車体中央にリンクを介してマウントされます

 

近年のMTBでは一般的となっているドロッパーポストも標準装備されています。これは、乗車したまま手元の操作でサドルの高さを上下できるもの。山道を走る際は、登りではペダリングしやすい高さに、下りでは腰を引きやすいよう低い位置にサドルをセットしたいのですが、その切り替えを乗ったままできます。また、街乗りでも信号待ちの際に足を付きやすいようにサドルを下げたりできるので便利です。

↑ドロッパーポストを一番下げた状態。足付きも良くなり、腰を引いたライディングポジションが取りやすくなります

 

↑ドロッパーポストを一番上にすると、ペダリングしやすい位置にサドルをセットできます

 

今回走行したコースでは、フルサスe-MTBの性能をフルに発揮する場面はあまりありませんでしたが、以前に山の中で試乗した際には登りでも下りでも高い走破性を実感できました。特にゲレンデを下るような斜面での安定性は特筆もの。Active Braking PivotというTREK独自のリンク機構が、下りで凹凸が激しい場面でもタイヤを路面に押し付けてくれるので、安定したブレーキングが可能です。

 

登り斜面でも前後のサスペンションがタイヤを押し付けてくれるので、アシストによる駆動力を余すことなく伝えることができます。e-Bikeのメリットを最も強く感じられるのが、このフルサスe-MTB。その中でもトップグレードに当たるRail 9.7 Gen 2は機会があれば一度乗ってもらいたい完成度の高いモデルです。

 

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