ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、すでに買うことができなくなった、GRカローラの限定モデル「モリゾウエディション」を取り上げる!
※こちらは「GetNavi」 2023年8月号に掲載された記事を再編集したものです。
【PROFILE】
永福ランプ(清水草一)
日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。初老となり運転支援装置の必然性を実感、クルマを評論する際に重要視するように。
安ド
元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。妻子を抱えても愛車はMTにこだわる。
【今月のGODカー】
TOYOTA
GR COROLLA
SPEC【RZ・MORIZO Edition】●全長×全幅×全高:4410×1850×1475㎜●車両重量:1440kg●パワーユニット:1618㏄直列3気筒+ターボ●最高出力:304PS(224kW)/6500rpm●最大トルク:400Nm/3250〜4600
rpm●WLTCモード燃費:非公表
715万円(通常のGRカローラ RZは525万円)
豊田章男会長の肝入りの絶滅危惧種
安ド「殿! 今回のクルマは、“マシン”と呼んだほうがふさわしい気がします!」
永福「うむ。まさしくマシンだ」
安ド「ホンダのシビックタイプRもすごかったですが、コレはもっと戦闘的ですね!」
永福「新型シビックタイプRは見た目がジェントルだが、このGRカローラは、かつてのランサーエボリューションを彷彿とさせる」
安ド「リアウイングはないですが、重武装した感じが、どことなくガンダムっぽいですね!」
永福「考えてみれば、ランエボが消滅してはや8年。インプレッサWRX STIもなくなった。GRカローラは、GRヤリスとともに、いまや貴重なガンダム系マシンというわけだ」
安ド「絶滅危惧種ですね!」
永福「なかでもこのモリゾウエディションは、モリゾウことトヨタの豊田章男会長の肝入りだ」
安ド「なにしろ軽量化のために、リアシートは取り外されていて、定員2名です!」
永福「うむ。リアシートのあった部分にバーが渡されているが、あれは間違って人が座らないためなのか?」
安ド「いえ、ボディ補強バーらしいです!」
永福「確かにボディ剛性がすごかった。ポルシェかと思ったぞ」
安ド「ものすごくしっかりしてますね! 304馬力の加速も凄くて、身体がシートに押さえつけられました! でも、どこか安心感があるのは、優秀な4WDシステムや、電子制御のおかげなんでしょうか」
永福「大雨のなかで走っても、微塵も不安を感じなかった。すごいマシンだ。しかし、もうとっくに買えないらしいな」
安ド「モリゾウエディションは70台限定の抽選販売でしたが、宝くじ並みの倍率だったようです!」
永福「マニア垂涎の希少マシンというわけだ」
安ド「715万円もするのに、欲しい人がいくらでもいるのは不思議ですね!」
永福「800万円出せばレクサスIS500が買えると思うと715万円はずいぶん高いが、なにしろこんなモデル、もう二度と出ないだろうからな」
安ド「このクルマで走り屋が集まる首都高速の大黒パーキングエリアにいたら、カーマニアたちがわらわら集まってきました!」
永福「心温まる話だ」
安ド「トヨタの古いホットハッチ乗りや、インプレッサのWRX乗りの人たちだったんですが、インプレッサのグループは、『もうラリー系のスポーツモデルはこれくらいですから!』と、目を輝かせて写真を撮りまくってました」
永福「三菱やスバルは撤退したが、トヨタは世界ラリー選手権で頑張っているからな」
安ド「トヨタってすごいですね!」
永福「うむ。トヨタがコケれば日本がコケる」
安ド「コケないで欲しいです!」
【GOD PARTS 神】リアシートレス
スポーツ走行のために必要ないモノを撤去!
「モリゾウエディション」を開発するにあたり、ボディ剛性の強化が徹底されました。しかしそうなると車体が重くなってしまうのですが、このようにリアシートを撤去することで約30㎏も軽量化されています。利便性より走行性能、見るだけで気持ちがたかぶります。もちろんメーカーによる改造ですから、内装の内張りもしっかりしていてチープさは感じられません。
【GOD PARTS 1】ブレーキ
本来の性能はもちろん色と文字もスポーツ性高し!
赤いカラーが戦闘的な雰囲気を感じさせるだけでなく、そこに刻まれた「GR」の文字が国産車好きやラリークルマ好きカーマニアの目を惹きます。対向キャリパー式ということで、コントロール性が高く、安定感のある制動力を発揮してくれます。
【GOD PARTS 2】ハイグリップタイヤ
幅広タイプでより速く安定した走りを楽しめる
「モリゾウエディション」には、ベースのGRカローラより10㎜幅広いタイヤが装着されています。ベース車でも235㎜とスポーツ走行には十分なくらい幅広いのですが、これでコーナリング時の安定性やブレーキ性能もさらに高めてくれそうです。
【GOD PARTS 3】マットスティール
高級感あふれる特別なボディカラー
「モリゾウエディション」だけに特別に設定された「マットスティール」という名前からしてカッコ良いボディカラーが採用されています。このようなツヤ消しのメタリックブラックは、近年メルセデスなどの高級車でもよく見かけます。
【GOD PARTS 4】エンジン
特別チューンされたターボで武装
「3気筒」と聞くと非力そうですが、これはラリーベースのGRヤリスに搭載されたターボエンジンをさらに強化したもの。4WDシステム「GR-FOUR」とともにリセッティングされていて、速さと伸びの良さを実感できます。
【GOD PARTS 5】トランスミッション
モリゾウエディションでさらに高められた効率性
「モリゾウエディション」では、通常のGRカローラよりギア比を最適化。運動性能が向上し、素早いシフト操作がしやすくなっています。さらに、「iMT」ボタンを押せば、自動でエンジン回転数を調整してくれます。
【GOD PARTS 6】セミバケットシート
スポーツシートながら使いやすい仕様
バケットシートは身体を包み込む形状で、コーナリング中などに着座位置がズレるのを防いでくれます。しかしこれは「セミバケット」。リクライニングもできるし、ホールド性も若干の余裕があって日常使用でも使いやすい仕様です。
【GOD PARTS 7】モリゾウサイン
ウインドウガラスにサイン入り
GRカローラは当初一般販売予定でしたが、コロナ禍や半導体不足の影響により500台のみ抽選販売されました(現在追加販売を検討中)。サインが入った「モリゾウエディション」は最初の70台限定。貴重です!
【GOD PARTS 8】バンパー&ボンネット
戦闘的でラリーカーの装い
冷却効果や空力性能強化のために、バンパー形状はワイルドになっていて、ボンネットフードとフェンダーにはアウトレット(空気穴)が設けられています。フェンダーも拡幅され、筋肉質に仕上がっていて、ラリーカーイメージがビンビンです!
【GOD PARTS 9】ステアリング
滑りにくくて操作も安心
「モリゾウエディション」のみの装備として、ステアリングに「ウルトラスエード」と呼ばれる毛羽だった表皮が採用されています。これは見た目のスポーティさを向上しながら、滑りにくく、ドライビング操作を確実なものにしてくれます。
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