警察官なら、暴漢や危険な人物にも負けないたくましい身体を持っているもの。しかし肥満率が30%以上を超える肥満大国メキシコでは、それが必ずしも当てはまりません。そこでメキシコ市警では、ぽっちゃり警官1000人以上が参加する減量プログラムが実施されました。
メキシコといえば、体重や健康について問題視されている国のひとつ。成人のうち肥満の人が占める割合が世界でもトップクラスで、2013年の調査ではアメリカをおさえて、肥満率約33%と世界1位の肥満大国になったこともあります。そのため世界的にも増加する肥満人口の減少を目指してWHO(世界保健機関)が世界各国に働きかけた「ソーダ税」の取り組みも、メキシコでは2014年からいち早く導入されてました。
そんなメキシコの首都メキシコシティの警察官を対象に夏から始まったのが、3か月間の「ヘルシーポリス」プログラムです。4270人いるメキシコシティの市警のうち、2453人が肥満という報道もあり、肥満率は50%を超えている可能性もあります。そこで行われたこのプログラムでは、腕立て伏せやスクワット、ストレッチなどのエクササイズのほか、食事の栄養面のカウンセリングも受けられるというもの。警官には思えないゆるんだボディの男女が青空の下、インストラクターの指示に従い、汗を流しながら運動する姿がビデオにおさめられています。
このプログラムに参加した警察官は、なんと1000人以上。プログラムに参加すると毎月1000ペソ(約5800円)のボーナスが支給されるとあって、運動嫌いや怠け者の警察官も多くが参加したのかもしれません。
「ランチの後はいつも眠くなって、仕事に行くのに疲れていたけれど、いまはもう疲れない」と、参加した警察官の1人は答えていたそう。まじめな参加者のなかには、10キロ近く減量した人もいるそうで、このプログラムもある程度の効果が見られたのかもしれません。
いくら肥満率が高い国とはいえ、犯人を追いかけるのに息切れしたり疲れたりしているようでは、市民も安心して生活はできないでしょう。減量プログラムを継続して、健康的で頼れる警察官がさらに増えることを願う人は少なくないはず。警察官の自覚と自制が求められますね。