最新テクノロジーは農業や畜産業の分野にも導入されていますが、ニュージーランドでは牧羊犬として働く四足歩行ロボットが話題となっています。
牧羊犬として活躍する四足歩行ロボット「Spot」は、ソフトバンク傘下のボストンダイナミクスが開発したもの。「ロボット犬」と呼ばれるように、4本の脚を巧みに動かしながら、犬のように斜面や階段を上り下りしたりドアを開けたりすることもできます。最高速度は秒速1.6メートル(時速5.76キロ)と、人が歩くのと同じ程度。360度カメラが搭載され障害物をよけ、最大14キロの荷物も運べます。さらにマイナス20~45度の環境や、雨・霧のなかでも走行可能と、屋外での利用も想定されています。
そんなSpotは活躍の場を世界中に広げており、日本では鹿島建設が土木工事現場で測量業務や安全巡視のため、Spotを導入することを2020年2月に発表しました。シンガポールでは2020年5月から公園などで人々にソーシャルディスタンスを保つよう呼びかけるパトロールロボットとして試験導入されています。
Spotの活躍の場をさらに広げるためボストンダイナミクスは、ロボットの遠隔制御ソフトを開発するニュージーランドのRocosと提携しました。これによりSpotのカメラやセンサーから送られた情報をもとに、Rocosのプラットフォーム上でSpotを動かし、Spotを遠隔で操作させることが可能となったのです。
この遠隔操作のテストとして、ニュージーランドで牧羊犬としてSpotを操作する様子が撮影されました。放牧された何百頭もの羊や牛を見張ったり、オオカミなどの動物や盗難などから守ったり、さらに家畜小屋まで誘導したり、Spotは遠隔操作によってこれらの仕事を本物の牧羊犬のように行ったのです。初期のテストではアメリカのボストンダイナミクスから遠隔操作を行ったそうで、海を超えた遠隔地からも操作することが確認されたとのこと。
Spotのような遠隔操作技術の開発は食料問題や労働力問題の解決につながっていくことが期待されます。しかし、その影響は社会のより広い分野に及ぶかもしれません。