最近、Twitterでトレンド入りしたのが、「#あなたは日本人のなかでどれだけ睡眠不足か」のハッシュタグ。名前を入力するだけで、日本人のなかで自分の睡眠不足の順位がいくらか表示する診断メーカーがあり、これを試して投稿する人が急増したようです。しかし実際のところ、私たちのなかには「すぐに眠りたいのに、全然眠れない」という悩みを抱えている方も少なくないでしょう。そこで本稿では「2分で眠れる」米軍のテクニックをご紹介します。
このテクニックの出典はスプリントコーチとして有名なロイド・ウィンターの著書「Relax and Win: Championship Performance」。もともとこの技は陸軍向けに開発されたそうで、軍人は戦闘のような緊迫した状態でもしっかり睡眠をとることが求められるため、このような方法が編み出されたようです。米軍がこの睡眠方法を6週間にわたって訓練したところ、96%の確率で成功したとも言われていますが、その睡眠方法は4つのステップからなります。
1 目のまわりや舌、顎など、顔の筋肉を緩める。
2 左右の肩をできるだけ下げ、上腕から下腕の順に力を抜く。
3 ゆっくりを吐いて、上半身から下半身の順にリラックスさせる。
4 次の3つのいずれかをイメージしながら、10秒かけて頭の中を空っぽにする。
・静かな湖のほとりでカヌーに横たわっているイメージ
・黒のベルベッドのハンモックで寝ているイメージ
・「何も考えない、何も考えない……」と自分に言い聞かせ続ける
では、このテクニックの効果はどのくらいあるのでしょう? 筆者が試してみましたので、まずは個人的な経験を報告します。私は寝つきが良いほうではなく、眠れずに目が冴えてしまう夜が数多くあり、そんな夜に試してみました。その結果、ひとつひとつの手順を確認する行程が入ってしまったためか、心身ともにリラックスするには至らず、そのまま眠りに落ちることはありませんでした。
しかし、同じようにこのテクニックに毎日連続で挑戦したあるアメリカのメディアの記者は、4日目の挑戦で「効果を実感した」と述べています。3日目まではまったく効果がなかったのに、4日目には普段よりも早く眠りにつけたのだそう。2分で眠ることはなくても、普段より30分近く早く眠れることもあったのだとか。
日本人は特に試してみる価値があるかも
経済協力開発機構(OECD)が世界33か国を対象に行った調査によると、日本人の平均睡眠時間は442分(7時間22分)。中国の542分(9時間2分)、アメリカの528分(8時間48分)、フランスとイタリアの513分(8時間33分)など、他国に比べてかなり短く、33か国中最下位でした。この調査は対象年齢や調査時期が各国で異なる場合もあるため、単純に比較はできませんが、それでも日本人の睡眠時間が短いことは確かな模様。
しかも今年は新型コロナウイルスの影響で、仕事や生活スタイルが変わり、収入や家族のことなど悩みを抱える方も少なくないはず。不安を胸に眠れない夜を過ごすことも増えているかもしれません。睡眠不足の順位を調べる診断メーカーがトレンドになったのも、いつも睡眠不足を感じている人が多いことの表れかもしれません。
1回の挑戦だけで簡単に効果が得られるわけではにけれど、毎日続けていくことで、不安感を落ち着かせ、普段よりも早く眠れるようになるのかもしれません。ベッドに入ってから眠るまで1時間近くかかっていたところを30分に短縮できたら、それだけ睡眠時間を長くできます。興味のある方は、この秋に試してみてはいかがでしょうか?