現在、人間とコミュニケーションを取るロボットの開発が進んでいますが、その課題のひとつに見た目の「人間らしさ」があります。私たちの言語活動において顔は重要な機能を担っているので、ロボットの表情を人間らしくすることはとても重要です。この問題に取り組んでいるのがディズニーで、同社は最近、会話の途中で視線が動いたり表情が変わったりするロボットを発表しました。一体どのようなロボットなのでしょうか?
目だけならロボット感なし
ディズニーで使う様々な技術を開発する「ディズニーリサーチ」が先日発表したのが、視線を人間らしく動かすことができるヒト型ロボットです。
従来のロボット研究では、ロボットと人間が視線を合わせることにフォーカスしてきました。そのためロボットと人間は目を合わせて会話することができるのですが、人間同士が行う実際の会話では、話の内容や相槌に合わせて私たちは視線を動かしたり逸らしたりするもの。そこでディズニーリサーチでは、ロボットが話し手や聞き手のキャラクターに合わせて視線を動かす技術を開発することにしました。そして先日お披露目されたのが、目の動きがこれまで以上に豊かなロボット。胸元にあるセンサーが、目の前の人物の目や顔の動きを感知して、それに対応して人間らしい動きができるそうです。
まだロボットの機械部分が露骨に見えるため、なんとも不気味な見た目ですが、下の動画を視線に注目しながら見てみてください。ロボットの前に人が立つと、頭をやや起こして視線を合わせたり、人の動きと合わせて首を左右に動かしたり、複数の人物がロボットの前にいれば、2人それぞれに視線を送ったり、より人間に近い目の動きをしているのがわかります。また、会話の途中にまばたきをするほか、目をしっかり開くときと、まぶたを半分くらい閉じた状態にするときがあるなど、1点を凝視する従来のロボットの目の動きとは明らかに違うようです。
この動画が公開されると世界中のメディアが取り上げ、SNSでは「さすがディズニー」「人間っぽい」と賞賛する声が上がりました。一方で、見た目の怖さから「不気味すぎる」「ハロウィンの日の投稿と間違えたんじゃないか?」「今夜は眠れそうにない」などのリアクションも。もしもこのロボットに人間のような皮膚をつけたとしたら、本物の人間に近づいて、さらに気味の悪さが増しそうです。
開発の現場にいる人からすれば、細部まで人間らしさを追及していくことは自然の流れでしょう。でもロボットには、どこかに「ロボットらしさ」が残っていたほうが、人間としては安心できると感じてしまう部分があるのかもしれません。