1月20日は大寒。暦のうえでは1年で最も寒い時期となりますが、気温がとても低い時期だからこそおすすめなのが運動。寒い季節の運動は脂肪が燃えやすいというのは以前から知られていましたが、最近の研究では「高強度インターバルトレーニング」と呼ばれる運動が特に効果的であることがわかりました。
高強度インターバルトレーニング(High-Intensity Interval Training、以下HIIT)とは、強度の高い運動(つまり全力の運動)と短時間の休憩で身体を追い込むトレーニングのこと。HIITは中強度の運動に比べて脂質代謝が良く、脂肪もより燃えやすいことが明らかにされていました。この作用には運動している人をとりまく気温も影響を与えていると考えられていましたが、それが実際どのように血中の脂肪レベルや翌日の新陳代謝に関連するのかは不明でした。
そこで、運動中と休憩時における室内温度が脂肪の燃焼にどのような影響を与えるかを調べるため、カナダのローレンティアン大学の研究チームが実験をしました。この実験には、やや太り気味の成人が被験者群として参加。
まず被験者たちは夜に90%の強度で自転車を1分間全力でこぎます。スプリントを一回行うごとに、30%の強度で自転車を90秒間こぎながら休憩を挟みます。被験者群はこのセットを10回繰り返し、最後は軽めのサイクリングまたはウォーキングでクールダウンしてトレーニングを終えます。
このトレーニングは気温を変えながら2回行われました。1回目は十分に暖かいけど、代謝には影響を与えない室温21℃で行い、1週間後に行った2回目のトレーニングの気温は0℃でした。2回とも被験者群は運動後の就寝前にタンパク質や炭水化物の栄養バーを摂取し、翌朝にはインスリンやグルコースなどの量を測定しました。
その結果、0℃で運動したときは、21℃での運動に比べて、運動中に脂質が酸素と結びつく量が358%も上がっていることが判明。脂質が酸素と結びつきエネルギーに変換するというのは脂肪が燃焼するという意味なので、0℃での高強度の運動は21℃での運動に比べて脂肪が3倍以上も燃焼しやすいということになります。
しかし、高脂肪の食事を食べた後にHIITを行い、長期的な視点でその効果を見てみると、血糖値や中性脂肪値などを含めた代謝反応は0℃で運動をした後でも大きく変化しませんでした。
厳しい寒さのなかで全力で運動するのは精神的にツライかもしれませんが、真冬のHIITは頑張ってやってみる価値があるかもしれません。
【出典】Munten, S., Ménard, L., Gagnon, J., Dorman, S. C., Mezouari, A., & Gagnon, D. D. (2020). High-intensity interval exercise in the cold regulates acute and postprandial metabolism. Journal of Applied Physiology. https://doi.org/10.1152/japplphysiol.00384.2020