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2021/9/7 19:30

コロナ禍でカナダの「ペット業界」が大忙し!「助け合いの精神」が今こそ大切

「各家庭に必ず1匹はペットがいるのではないか?」と思うほど、カナダ人はペットが大好きです。他国と同様に、カナダではパンデミック以降、ペットを飼ったり、動物の里親になったりする人が増えましたが、その影響で同国のペット業界は多忙を極めています。コロナ禍で収入が減った飼い主を支援する取り組みを含め、カナダの最新ペット事情をレポートします。

 

予約殺到の動物病院とドッグトレーニング

↑カナダでは獣医などが大忙し

 

2019年、カナダでは7万8000匹の猫と2万8000匹の犬が国内のシェルターで保護されていました。ところが、新型コロナウイルスのパンデミックが起きた後は、アダプト(里親になること)により、そのうち65%の猫と73%の犬が新しい飼い主を見つけることができました。

 

しかし、新しい飼い主が増えたことにより、カナダの獣医は多忙を極めています。アルバータ州カルガリーのクリニックによると、ペット患者が明らかに増えていて、以前は予約から診察まで2~3日だったのが、現在では申込日から7~10日後でないと予約を取れないとか。手術も3~4週間か、それ以上待たないと予約が取れないこともあるそうです。

 

一般的な動物病院は診察予約が入っていても、緊急搬送されるかもしれないペットのために、ある程度の時間を空けています。それにもかかわらず、朝9時前にはその時間すら予約で埋まってしまうことに病院関係者は頭を抱えています。動物病院では獣医だけでなく、看護士や医療従事者なども深刻な人員不足に悩まされているようで、「診察を断わらざるを得ない」というスタッフの辛さは想像に難くないでしょう。

 

一方、トロントの子犬のトレーニングスクールでは現在、子犬指導の依頼が毎週100件もあるそうですが、クラスの数やインストラクターの人数が足りないため、毎週多くの客を断らなくてはならない状況のようです。事業をすぐに拡大したくても、インストラクターを育てるにはプロとしての適切な指導や教育が必要で、多くの時間がかかります。それでも、このスクールの経営者は来年までにはクラスの数を増やしたいと話しています。

 

カナダらしいチャリティーも

ある調査によると、カナダの家庭の58%が犬か猫を最低でも1匹飼っているそうです。しかし、筆者が住むオンタリオ州のトロントはロックダウンが比較的に長引いた都市であり、仕事を一時的に解雇された人が少なくありません。

 

収入減によって、ペット用品を購入する経済的余裕がなくなってしまった飼い主のために、それを肩代わりする活動を始めた慈善団体があります。それが「トロント・アニマルサービス」で、国内のペットスマートという企業から提供される資金とトロント市民からの寄付金を基にしながら、この活動を行なっています。

 

飼い主がメールか電話、オンラインのアンケート調査のいずれかの方法で申請すれば、数日後にペットショップのギフトカードが申請者にメールで送られてくる仕組み。この取り組みはペットフレンドリーなカナダならではのようにも思います。

 

ユーザーは多く、トロント・アニマルサービスはこれまでに1200枚以上のギフトカードを提供したとのこと。ある利用者は「とてもありがたい活動です。お礼に寄付をしたいので、この苦しい状況が長く続かないことを願います」と述べています。

 

コロナ禍でペットを飼う家庭が増えたカナダ。動物病院やドッグスクールなどでは、人材不足が深刻化していますが、カナダらしいチャリティー活動もあるうえ、イギリス人やイタリア人と同じように、カナダ人も在宅時間が長くなったことで、ペットフードやペット用おもちゃなどに、より多くのお金を費やす傾向にあります。動物病院やペット関連施設の体制が早く整うことが期待されます。

 

執筆者/ちゃんげん

 

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