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2022/6/22 11:15

イタリアで「豆類パスタ」がブーム! イタリア人が納得した食感とは?

最近のイタリアでは、パスタの主原料に豆類を使うことがブームになっています。豆類は地中海式食事(ダイエット)法の重要な一要素ですが、イタリアでは貧しかった時代の象徴として敬遠される傾向もありました。ところが、最近は健康ブームやロックダウンをきっかけに、豆類パスタの人気が急上昇。イタリアで豆類に何が起きているのでしょうか? 現地からレポートします。

 

植物性タンパク質のニーズが増加

↑豆類パスタがイタリアでブーム!

 

イタリアのスーパー大手「COOP」の調査報告によると、ここ数年、イタリアの人たちの買い物に顕著な変化が起きています。それは、タンパク質を有する食材に対する需要の増加。2019年と比較すると、2021年前半の植物性タンパク質の商品の需要は、17.4%も上昇したことが報告されています。

 

ヘルシーなイメージを持つ豆類の人気が高まっていることは、イタリア政府中央統計局(ISTAT)の報告でも明らか。統計では、豆類を少なくとも週に1回は食べていると答えたイタリア人は全体の53%にものぼりました。この数字は、10年前と比較すると15%も増えています。

 

なぜ、このような現象が起きているのでしょうか? その理由の一つとして、豆類を原材料とするパスタが人気を集めているからではないかという説があります。豆類を主力に販売するペドン社の社長マッテーオ・メルリン氏は、豆類の消費の増加は、人々の健康志向に加えて、新型コロナウイルスのパンデミックとも関係していると分析。つまり、ロックダウン中に食の多様化が進み、若い世代の間でも豆類への興味が広がったことが、豆類パスタの人気を支えているというわけです。

 

食感が良くなった!

↑タンパク質は豆で摂る

 

では、豆類を原料にしたパスタとは一体どのようなものなのでしょうか? パスタの原料となる豆類は、ヒヨコマメ、レンズマメ、インゲンマメ、グリーンピースが主流。また、飽食の時代には忘れられていたグラスピーやハウチワマメを使用するパスタもあります。

 

実は豆類パスタは以前から販売されていたのですが、最近まであまり普及しなかった理由は、単純においしくなかったから。従来の豆類パスタは、イタリア人がこだわるパスタのアルデンテ、つまり歯ごたえの良い食感を得ることがどうしてもできなかったのです。

 

ところが、この数年間で豆類パスタはその弱点を克服。通常のパスタと比較すれば歯ごたえという点ではわずかに劣るものの、豆類の粉特有のポロポロと崩れるような食感が、メーカーの技術の向上により軽減されたのです。

 

豆類パスタはイタリア人の舌を満足させる食感に辿り着いたことで、鮮やかな色やコクのある味わいも消費者に評価されるようになりました。その結果、かつてはオーガニック専門企業の独壇場といわれた豆類パスタは、2018年に大手パスタメーカーのバリッラ社が参入したこともあり、イタリアではごく身近なものになっていったのです。

 

とはいえ、豆類パスタは、従来のパスタのもちもちとした食感と異なることは否定しようがないため、大手メーカーは製品のホームページで「レンズマメのパスタはカリフラワーとの相性が良い」とか「ヒヨコマメのパスタは小エビとマッチする」などのアドバイスを提供することで、その価値を高めようとしています。

 

豆の意味が逆転

↑豆類パスタが売れています

 

豆類パスタには具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか? まずはグルテンフリーの食材であること。本来はアレルギー対策として考案されたグルテンフリー食材ですが、現在では健康や美容の面でも注目される存在になりました。しかし、小麦などの穀物のタンパク質を摂らないようにするからと言っても、タンパク質の摂取は必要。そこで、ちょうど良いのが豆類であり、豆類パスタが特に食べやすいのです。

 

また、小麦パスタと比べて、豆類パスタにはタンパク質や食物繊維が豊富に含まれています。バリッラ社の商品を参考に比較すると、豆類パスタのタンパク質量は小麦パスタの約2倍、食物繊維量は3~5倍にもなります。農業研究および農業経済調査委員会(CREA)は週に3食、豆類を摂ることを推奨していますが、日常的に食べるパスタで摂取できれば難しくありません。

 

豆類を使ったパスタの人気は、新商品開発への追い風にもなっています。豆類パスタの売れ行きに気をよくしたバリッラ社は豆類が原料のビスケットを発売し、ほかの企業も豆類を原料にしたプリンやスナック、ドリンクなどを商品化しています。

 

さらに、こうした豆類を使った各種商品開発は、ウクライナ戦争などによる小麦の供給危機を乗り越えるための一助にもなるかもしれません。もはやイタリアで豆類は貧しさの象徴ではなく、豊かさや健康のシンボルなのです。

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