イギリスは現在、エリザベス女王の即位70周年を盛大にお祝いしています。「プラチナジュビリー(Platinum Jubilee)」と呼ばれるこの祝典では、年間を通してさまざまなイベントが行われますが、6月初めには祝日が設けられ、パレードや礼拝が行われました。コロナ禍で落ち込み気味だった街も一気に華やぎ、記念グッズも大盛況。スキャンダルが後を絶たないイギリス王室ですが、国中にお祭りムードが漂っています。
エリザベス2世はイギリスで最も長く君臨し、プラチナジュビリーを祝う初の君主であり、最年長の現職国家元首です。そんな女王を盛大にお祝いしようと、パレードが行われたバッキンガム宮殿の周辺には多くの人が集まり、国旗を振っていました。1200人以上の将校と兵士が数百人のマーチングバンドと約240頭の馬とともに行進を披露し、宮殿周辺は熱気に包まれました。
また、6月の祝典では「ビーコン・チェーン(a beacon chain)」と呼ばれる伝統的な炎のリレーが、「プラチナジュビリー・ビーコン」として行われ、イギリス本国と海外領土全体で1500以上のビーコンが点灯。団結の象徴として多くの人の目に焼き付きました。
ロンドンまで出掛けずに、プラチナジュビリーを楽しむ人も多くいます。自宅の庭に家族や友人を招いてガーデンパーティーを開いたり、ユニオンジャックカラーの服装で職場に集まったり。また、数多くのプラチナジュビリー記念グッズが販売されており、人気を博しています。
老舗デパートの「SELFRIDGES」は、ショートブレッドビスケットやチョコレート、ジャムなど、「ハンパー」と呼ばれる詰め合わせのバスケットをお祝いパッケージ仕様で発売。王室御用達デパートの「フォートナム&メイソン」は、ジャムやビスケット、お皿やティータオルがセットになったギフトボックスを揃えました。高級スーパーの「マークス&スペンサー」は、イギリス人が大好きなソーセージロールやポークパイ、お菓子の詰め合わせなど、簡単にパーティーができるセットを販売。装飾用のユニオンジャックの旗や、ユニオンジャックが描かれたTシャツ、トートバッグなども売られています。
王室グッズ公式サイトでもさまざまな記念品を購入できますが、一時は混みすぎてアクセスできなくなるという事態も起きました。公式サイトのさまざまなグッズのなかでも数時間以内に売り切れたのは、プラチナジュビリーのエンブレムが刻印された120ユーロ(約1万6500円※)の限定版シャンパングラスのセットでした。プラチナジュビリー限定版の時計やコーヒーマグ、大型ジョッキ、ティーカップとソーサーも完売したとのこと。ティータオルも大人気で、売り切れが続いています。
※1ユーロ=約137.6円で換算(2022年7月12日現在)
また、パンデミックや環境問題に影響を受けて、ハンドサニタイザーやフェイスシールド、エコボトルなどの記念グッズも販売中。例えば、プラチナジュビリーの公式サイトにある特別テディベアには、リサイクルポリエステルが使用されています。
ロンドンの地下鉄では2022年5月、「エリザベスライン」と呼ばれる新しい路線が開通しました。ヒースロー空港とロンドン東部を結んでおり、これによってロンドンがもっと観光しやすくなると期待されています。コロナ禍がほぼ収束し、暖かくなってきたイギリスは、これからが観光やバカンスのベストシーズン。プラチナジュビリーのお祝いムードも手伝って、イギリス人はこれからお祭りモードが全開になりそうです。