中国・鄭州市にある世界最大のiPhone組立工場では、従業員らがコロナ禍により外部から隔離されるなどの過酷な条件に置かれています。その中でも働き続けるよう説得するため、運営する台湾のFoxconnは従業員のボーナスを3倍以上に増やしたと報じられました。
中国は「ゼロコロナ」政策を続けており、わずかな陽性反応者が出ただけでも都市全体を封鎖し、国内からウィルスを根絶しようと努めています。
それを続けながら経済を回すため、閉鎖された都市でも工場では「バブル方式」による生産が認められており、従業員は敷地内で働き、食事をし、寝るという生活を送っています。そんな厳しい環境のもと、Foxconnの工場では感染者が出たことで、さらに不自由が強いられている模様。
従業員らは工場内の感染者が増え続けており、Foxconnが十分な食料と薬を提供することにも苦労しているとSNSに投稿。その苦境が本当だと裏付けるように、工場を囲むフェンスをよじ登って逃げ出す動画も広まっていました。
Workers have broken out of #Apple’s largest assembly site, escaping the Zero #Covid lockdown at Foxconn in #Zhengzhou. After sneaking out, they’re walking to home towns more than 100 kilometres away to beat the Covid app measures designed to control people and stop this. #China pic.twitter.com/NHjOjclAyU
— Stephen McDonell (@StephenMcDonell) October 30, 2022
こうした事態に対して、当初Foxconnは10月26日から11月11日まで、全てのシフトをやり遂げた従業員には、無料の食事と約1500元(約3万円※)のボーナスを出すと述べていました。これは月給の20%に当たる額です。
※1元=約20円で換算(2022年11月2日現在)
Reutersの報道によると、Foxconnは事態が深刻なことから、このボーナスを3倍に増やすことを決定したとのこと。「徐々に秩序ある生産を再開する」努力の一環として、また「仲間の粘り強さに感謝する」ため、とされています。
そのうえ、11月中に休暇も返上して「全力」で働いた従業員には、合計1万5000元(約30万円)以上のボーナスが支給されるとのこと。つまり、初め提示された額の10倍以上がもらえるわけです。
これだけの金額を出されても、従業員の反応はまちまちで、残ろうと思う人もいれば、リスクが大きすぎると考える人もいるそう。儲かったとしても、心身の健康あってこそ……と悩んでいるのかもしれません。