チョコレートに賞味期限を定める法規制がないカナダで、13万個ものチョコバーを処分しなければならない状況に陥り、途方に暮れたあるカナダ人女性が、ひょんなことから甘い結末を迎えた話が話題になっています。
この人の名前は、Regehr Westergard(レゲール・ウェスターガード)。理学療法士として働く彼女は、昔ながらのお菓子を専門とするスイーツショップ「カナディアン・キャンディ・ノスタルジア」を2018年に立ち上げました。そして2年前、1980年代に流行り現在では販売されていないチョコバー「ラム&バター」を復活させ、100万本近くを売り上げていました。
しかし、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、製造ラインがスケジュール通りには進まなかったのか、2022年6月に、発注していたチョコバーが一度に33万3000本も製造されて納品されたのです。
カナダではチョコレートの賞味期限を定める法規制はないものの、スーパーなどの食料品店では賞味期限が考慮されています。そのため、製造から1年を迎える2023年6月には、倉庫に保管されている13万3000本、約5540箱ものチョコバーをなんとか処分しなければならない事態となったのです。
カルガリーのフードバンクでは、お菓子の寄付は禁止されているし、近所の人に配るといっても1000ポンド(約450㎏)ごとにまとめて保管されているため、それも容易ではありません。
期限が切れたら処分することも覚悟したという彼女ですが、SNS上で助けを求めたところ、地元紙「Globe and Mail」の記者の目に留まり記事になったのです。すると、その記事を読んだ人から、「ぜひチョコバーを分けてほしい」という声が殺到。
その結果、ウクライナの難民を支援する教会や、住居がない人のための施設、消防署などの慈善団体に全てのチョコバーを寄付することができたとのこと。また、普段ならお菓子の寄付は受け付けていないものの、地元のフードバンクは今回のチョコバーを引き取ることを申し出たといいます。
いまでも「まだチョコバーはある?」という問い合わせを受けているというウェスターガードさん。インターネットの力で食事に困っている人の手にわたったことから、きっとこの結末に満足して喜んでいるのではないでしょうか?
【主な参考記事】
BBC. How one Canadian woman got rid of 133,000 chocolate bars. April 19 2023