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2023/4/21 12:00

英マラソン大会で3位の選手が失格! データ分析で「クルマに乗った」ことが発覚

キツい長距離マラソンをしている中、さっそうと駆け抜けるクルマを見て、「乗せてくれ」と頼みたくなる気持ちは、きっと誰でもわかるはず。フルマラソンより長い長距離の大会ならなおさらかもしれませんが、当然ファウルです。しかし、それを本当にやってしまった選手がイギリスに現れました。

↑レース中にクルマに乗るなんて…

 

4月7日にイギリスで行われた「GBウルトラス」。この大会はマンチェスターからリバプールまで、フルマラソンの2倍弱にあたる50マイル(約80㎞)の長距離のタイムを競い合う過酷なレースですが、そこで3位に入賞したJoasia Zakrzewski(ジョアシア・ザクシェフスキ)選手が失格となったのです。

 

ボルトを超えた!?

その理由は、途中の一部区間でクルマに乗ったから。選手の走りを追跡するシステムのデータや、GPSのデータを集めたGPXデータなどを検証した結果、一部の区間について、1マイル(1.6㎞)を1分40秒で通過したことがわかったのです。これは時速57.6㎞に相当する速さ。人類史上最速とされる陸上男子100mのウサイン・ボルト選手ですら、トップスピードは時速38㎞と言われますから、時速50㎞超えは人間では考えられないスピードです。さらに、別のランナーや本人などの証言から、彼女は2.5マイル(約4㎞)の区間をクルマで移動していたと判断され、失格となったのです。

 

この出来事はテクノロジーのお手柄とも見れるでしょう。今回のマラソン選手の失格も、追跡システムなどのデータが証拠の一つとなりました。近年さまざまなスポーツでトラッキングシステムやビデオ判定といったテクノロジーが導入されており、興醒めするときがなくはないものの、審判が試合を止めてビデオを確認する光景は当たり前になりつつあります。マラソンでも選手たちは常に見られており、不正行為はバレるのです。

 

ザクシェフスキ選手によると、レース中に足を痛め、たまたまコース脇に友人を見つけたので、次のチェックポイントまでクルマに乗せてもらったそう。その後ランを続け、3位でゴールするとトロフィーとメダルが手渡され、それを受け取ったといいます。

 

失格となった彼女の代わりに、繰り上げで3位になったMel Sykes(メル・サイクス)はTwitterで「私にとっては素晴らしいこと。でも、スポーツマンシップにとっては本当に悪いニュース」と投稿しています。

 

【主な参考記事】

The New York Times. A 50-Mile Race, a Quick Car Ride and a Scandal at the Finish Line. April 19 2023

Metro. Ultra-marathon runner disqualified from race for using a car. April 19 2023