年収1000万円でも「低所得者」に分類される……。日本以上の急激なインフレに見舞われてきた米国では、それに伴う生活費も上昇し、日本の感覚からすれば高収入と思われる金額であっても、不足のない生活は難しいのかもしれません。
米国では「アフォーダブル住宅」と呼ばれる住宅を建設している州があります。「アフォーダブル」とは「手頃な」の意味で、手の届く価格の住宅を人々に供給しようという取り組み。アフォーダブル住宅の申し込みには、たいてい所得制限が設けられており、その州や地域で中~低所得層のみを対象としているのです。
所得制限の金額は、毎年連邦政府のガイドラインによって見直しが行われ、カリフォルニア州では先日、2023年の所得制限を発表しました。カリフォルニア州南部の所得制限は、以下のとおりです。
【2023年の所得制限(単身世帯の場合)】
- ロサンゼルス郡:7万650ドル(約1000万円※)
- オレンジ郡:8万400ドル(約1160万円)
- インペリアル郡:4万6200ドル(約660万円)
- サンバーナーディーノ郡:5万2200ドル(約750万円)
- サンディエゴ郡:7万7200ドル(約1110万円)
- サンタバーバラ郡:8万2950ドル(約1200万円)
- ベンチュラ郡:7万4400ドル(約1070万円)
※1ドル=約144.4円で換算(2023年6月29日現在)
カリフォルニア州住宅局では、この所得制限について、最新の所得データや世帯の中央値をもとに算出。アフォーダブル住宅などの住宅プログラムを受給できる人は、低所得から中所得層と位置付けています。
ご覧のように、郡によって所得制限の設定金額はかなり異なりますが、ロサンゼルス郡では年収が7万ドル(約1000万円)あったとしても「低所得~中所得」とみなされることが分かります。オレンジ郡やサンタバーバラ郡など、さらに高い金額が設定された郡もあります。
昨今の急激なインフレで、住居費から食費など、あらゆるものの価格が上がっている米国。当然、生活費も上がり、高収入と思われるような所得があったとしてもそれでは不十分なのかもしれません。日本では給料の水準が変わらないのに物価高に見舞われ、人々の生活が厳しくなっていると言われていますが、米国での暮らしも決して楽ではないようです。
【主な参考記事】
KTLA. Angelenos who make $70,000 a year are still considered ‘low-income’. June 26 2023
State of California. 2023 State Income Limits. June 6 2023