最近、イタリアの飲食店の口コミサイトで増えているのが、「ケーキのカットで料金を請求された」「ジェラートの追加のスプーンで料金を取られた」など、従来なら無料で行われるサービスなのにお金を請求されたという体験談。しかも、特定の店で起きているのではなく、複数の店で同じようなことが起きているようなのです。
例えば、シチリア島にあるレストランを訪れた、ある家族のケース。この家族は店でケーキ20個のカットを頼んだところ、レシートの一番最後に「20ユーロ(約3100円※)」の項目があり、ケーキの取り分けの料金を請求されたというのです。
※1ユーロ=約157円で換算(2023年9月28日現在)
また、別の観光客のケースでは、イタリア北部のコモ湖にある高級レストランで「サンドイッチを半分にカットするように頼んだら、2ユーロ(約310円)を取られた」という例や、ジェラート店で「シェア用のスプーンを1個追加でもらったら、1ユーロ(約150円)を加算された」なんて話も。
これまでの常識からいえば、無料で行われるこれらのサービス。しかも、どこかひとつの店で起きたことではなく、あちこちで同様の経験をする観光客がいるのはなぜなのでしょうか?
その背景にあるのは、物価の高騰と観光客の急増と考えられます。ウクライナ侵攻やパンデミックの影響で、世界各国がインフレに直面しているように、イタリアでも同じく物価の高騰が起きており、しかもイタリアは周辺の国よりも物価が約240%も高いという報道もあります。
そして、これに追い打ちをかけているのが、観光客の急増。イタリア観光局では2023年の夏、同国を訪れる観光客数は6800万人と予測しており、コロナ禍前より300万人以上多いのだそう。そして、実際にこの夏はイタリアの各地が観光客であふれ、ついにはオーバーツーリズム対策として、来春からベネチアで観光客を対象に入場料を徴収する取り組みを試験導入することが決定したほどです。
そんな事情もあり、観光客は、サービスの値段を上げたり追加料金を徴収したりする格好のターゲットになりやすいのかもしれません。しかし、地元メディアが「クレイジーレシート」と呼ぶこのような対応が今後も続くのなら、イタリアが世界中の観光客から嫌われてしまうことになるのかも……。そうなれば観光客は減るかもしれませんが、評判も落ちるかもしれません。
【主な参考記事】
New York Post. Italian ice cream shop charges outrageous fee — just for an extra spoon. September 25 2023
New York Post. Italian restaurant charges a whopping $22 — just to slice a birthday cake. August 14 2023
CNN. $2 to cut a sandwich in half: The outrageous rip-offs targeting tourists in Italy. August 19 2023