米・ロサンゼルスにあるAirbnbで、ゲストが1年半も住み着いてしまった……。困ったオーナーが立ち退きを求めると、なぜか裁判所はオーナーの要請を却下。それどころか、10万ドル(約1480万円※)を支払わなければならないというのです。他の人に貸し出して収入を得られないうえ、おまけにそんな大金を求められる理由とは?
※1ドル=約148.5円で換算(2023年10月6日現在)
ロサンゼルスの高級住宅地、ブレントウッド。サッシャ・ジョバノビッチさんは、自身が所有して家族とともに住んでいる家の一部をAirbnbとして貸し出していました。そこに2021年9月から利用したのが、1人の女性ゲスト。彼女は1泊105ドル(約1万5000円)で、6か月間の契約で入居しました。
しかし、6か月後の2022年4月になっても、彼女は退去することなく、今もそのまま住み着いているというのです。最初の6か月間の滞在費は、手数料を含めて20793ドル(約308万円)。彼女はこの費用を支払ったとみられていますが、その後の居座っている期間については支払いもありません。
これに対してジョバノビッチさんは、女性の立ち退きを裁判所に求めたのです。しかし、裁判所が出した答えは「彼女に立ち退きを求める正当な理由はなく、彼女の退去には、ジョバノビッチさんが引っ越し費用を支払わなければならない」というもの。彼女が求めた引っ越し費用は10万ドル(約1480万円)にもなるというのです。
実はこの判決は、家賃が高騰する中、収入が低い人でも安定した生活を送れるようにする、ロサンゼルス市の家賃安定化条例に基づいたもの。どうやらこの女性は、住宅を確保することや、新型コロナウイルス感染症の合併症のリスクを抱えていることから、「立ち退きを強いられるのは安心できない」と主張しているようなのです。
そこでジョバノビッチさんは、ロサンゼルス市の住宅局を巻き込んで、彼女の退去を申し立てようとしました。しかし、同局はこの住居が貸し出しを認められた物件ではなく、シャワーも許可なく作られていると、2つの違反を見つけたのです。そのため、市の規則に遵守していることを証明できるまでは、彼女の退去も撤回しなければならないと言われるはめに……。
しかも、この女性は迷惑行為、精神的苦痛、違法な商行為など、15の違反行為でジョバノビッチさんを告発。ジョバノビッチさんは、滞在費5万8000ドル(約860万円)を取り戻す損害賠償請求と、立ち退きを却下した裁判官を控訴しており、事態は泥沼化しています。
ジョバノビッチさんは、彼女のことを「地獄からやってきた入居者」と表現し、家族が暮らす部屋のすぐ近くで、いまだに彼女が住んでいることについて「銃弾が飛ばない戦争のようだ」と語っています。
【主な参考記事】
New York Post. Airbnb guest ‘from hell’ squatting at home for 500 days — wants owner to pay $100K. October 4 2023