最近、ベトナムでは名産品「ドラゴンフルーツ」を練りこんだ、色鮮やかなピンク色の麺のインスタントラーメンが話題となっています。インスタントラーメン消費大国である同国で、どうしてこのような麺が誕生したのでしょうか? 現地からレポートします。
ホーチミン市食品産業大学研究センターの科学者たちが開発したこのインスタントラーメンは、2022年に発売されました。当初はあまり知られていなかったようですが、その後テレビCMで放送されると、一度聞いたら忘れられない歌詞とメロディーのCMソングや、ピンク色のドラゴンキャラクターが話題に。若者たちの間でSNSを中心に拡散され、新しいトレンドとして注目されるようになりました。「麺がきれいなピンク色でかわいく、コシもあり、おいしい!」とSNSでは高評価です。
店頭のほかにオンラインショップでも販売されていますが、あまりの人気の高さに一時的に在庫切れになったお店もあるようです。
もともとベトナムは、インスタントラーメンの消費量がとても多い国。食品新聞によれば、2022年には国全体で約85億食を消費し、中国やインドネシアに続いて世界第3位の消費大国なのです。この数字は国民一人当たり年間約85食、4日に1回はインスタントラーメンを消費している計算になります。日本は5位で年間約60億食、1人当たり年間約48食なので、ベトナムがいかにインスタントラーメンを多く食べているかがよくわかります。
では、このピンク色の麺はどうして生まれたのでしょうか? 理由はコロナの影響です。
ドラゴンフルーツの生産国として有名なベトナムですが、コロナの時期には輸出が大幅に制限され、出荷されず行き場のないドラゴンフルーツが倉庫に山積みの状態となりました。価格がどんどん下落し、廃棄処分が増えていた状況を救済するべく開発されたのが、このピンク色のインスタントラーメンなのです。
ドラゴンフルーツは栄養が豊富。さらに清涼感があり食べやすいので、「インスタントラーメンの辛みや刺激をまろやかにするのではないか?」と考案され、商品化に至りました。ピンク色の麺という見た目のかわいらしさだけでなく、新鮮なドラゴンフルーツを使い、保存料も使用されていないため、健康志向の人たちからも注目されています。
まだある! ドラゴンフルーツを使った食べ物
同じような事例として、ベトナムのケンタッキー・フライド・チキン(KFC)が挙げられます。やはりコロナ禍でドラゴンフルーツを使ったピンク色バンズのバーガーが期間限定で登場しました。発売時は大きな話題になり、「ピンク色のバンズがキュートで絶品!」と評判でした。
また、柔らかめの小さなフランスパンに具を挟んだベトナムのサンドイッチ「バインミー」でも、ドラゴンフルーツを練り込んだピンク色のパンが登場。通常のバインミーよりもしっとりしてフルーティーな味だそうで、人気があり過ぎて行列ができたそうです。
さらには、ドラゴンフルーツ入りのライスペーパーも販売されています。見た目が美しい鮮やかなピンク色の生春巻きが食卓で目を引きます。
コロナの時期にドラゴンフルーツを救済するために考案されたピンク色のインスタントラーメンは現在も大人気。ベトナムでは、これからもドラゴンフルーツを使った食べ物がヒットしそうです。