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2018/6/28 20:22

鯵の三枚おろしが安全にスイスイ! 侮れない「子ども用包丁」の完成度

昨今、ケーキなどのスイーツづくりを親子一緒に楽しむという家庭が多くなり、より本格的な料理を自分だけでつくる、料理好きの子どもたちも増えているといいます。そんななかで注目が、総合刃物メーカーの貝印から発売された、料理に興味のある子ども向けに作られた包丁。商品が生まれた理由をメーカーに聞いてみました。

 

「貝印が提供している料理に関連した道具の文化を、次世代につなげていきたいという思いから発表したのが、お子さまにも料理を楽しんでいただける子ども向け調理器具『リトル・シェフクラブ』シリーズです。料理の基本的な道具で、家庭でも身近に使われているものの中からピーラーやターナー、お玉などとともに、子どもたちが安全に使える本格包丁を作りました」(貝印・広報 髙多杏子さん)

 

それが、カラフルで、かわいい動物のアイコンのはいった柄を使った「リトル・シェフクラブ 包丁」です。年齢や料理の経験に合わせて選ぶことができるように、3種類が用意されています。

 

「刃なしタイプ」は、初級用としてつくられたギザ刃も研がれた刃も付いていない板状のもの。やわらかい食材ならカットでき、3〜4歳から使えます。

↑初級用の「刃なし」タイプ

 

また「ギザ刃」タイプは、先端にギザギザの刃が付けられ、例えば、お母さんが1度切って茹でた人参を、もう一回切るといったお手伝いができるようになっています。ギザ刃は少し指が触れただけでは切れませんので安全です。

↑中級用の「ギザ刃」タイプ

 

3種類の中では最も上級者向けの「刃付きタイプ」は、食材がきちんと切れる本格派。皮むきや薄切り、魚の三枚おろしもできます。

↑上級者向けの「刃付き」タイプ

 

「3種類とも万能に使える三徳包丁に近く、怪我をしないように刃先の先端とアゴ(刃先の根本部分)が丸く加工されています。軽くて、疲れにくく動かしやすいのが特徴で、子どもの手の大きさに合わせ、大人の包丁よりも小さく持ちやすくなっています」(髙多さん)

 

貝印では、商品を開発するだけではなく、包丁に関する知識や正しい使い方の習得を通じ、子どもたちに料理を好きになってほしいという思いを込め、子ども用の包丁を使ったイベントも毎年実施しています。子ども用包丁の精度や安全性を確かめるため、小学生向けの特別イベント「貝印1day包丁レッスン」に参加し、実際に包丁を使って料理をする子どもたちを見せてもらいました。

 

「前回は、錦糸卵や野菜を切るといった簡単な内容でしたが、今回は“今までやっていないことに挑戦する”というテーマで、“魚のさばき方”に挑んでもらいます」(髙多さん)

 

今回のイベントには、抽選で選ばれた小学1~4年生の子どもたち男女12名が参加し、講師は“日本一魚をさばける料理教室”として有名な人気料理研究家、高橋善郎さんが担当。包丁の基礎知識から魚のさばき方までのレクチャーを受けた後。大人でも調理が難しいといわれる“アジの三枚おろし”にチャレンジしました。

 

 

イベントで使用したのは、上級者向けの「刃付き」タイプです。料理のお手伝い経験はあるものの、本格的に包丁を使ったことはないという、小学4年生のたつやくんに密着し、子ども向け包丁の切れ味や使い勝手、包丁さばきをチェックしました。

 


1.ゼイゴをとる

アジの三枚おろしは通常、うろこを包丁でそぎ落とすところからスタートしますが、今回は時間の関係で、すでにうろこをとった状態のアジを使用。まずはゼイゴと呼ばれるギザギザとしたウロコの硬い部分を切り落としていくところから始まりました。

尾の部分から包丁の刃を入れ、ノコギリのように動かしながら切っていきます。子ども用とはいえ切れ味が鋭く、ゼイゴだけがきれいに切り落とされました。たつやくんは飲み込みが早く、片面でコツを覚えると、もう片面はあっという間に処理しました。

 

2.頭(かぶと)を落とす

アタマといわず”かぶと”といいます。エラより尻尾側にある胸ビレと腹ビレのある部分に刃を入れ、かぶとと一緒に落としていきます。包丁の先端とアゴが丸くなっているので、安心感もあります。

 


3.内臓を取る

レクチャー中は”気持ち悪い”という声もあがりましたが、いざ始めると子どもたちは真剣そのもの。肛門から頭にかけて包丁の切れ込みを入れ、包丁の腹の部分を使って内臓をかき出していきました。サイズが小さいことで包丁を動かしやすいため、かき出しやすい様子でした。

 


4.半身をおろす

内蔵の血合いを水で洗ったら、ペーパータオルで水気をとり、今回の工程でもっとも難しい半身おろしに。

はじめに腹に1cmほどの切れ目を入れたら、2度めは中骨にあたるまで一気に切っていきます。刃の切れ味は抜群。片面を終えたら続いて反対側の半身をおろします。ここで三枚おろしの出来上がり。

 


5.腹骨をそぐ

中骨の生え際から包丁を入れて、腹骨の形にそってできるだけ薄くそいでいきます。ここまで終わったら包丁はひと休み。

 


6.中骨は骨抜きで抜く

骨抜きを使って、骨をゆすりながら真上に抜くように中骨を抜いていきます。たつやくんは、指で抜き忘れを確認しながら着実に中骨を処理していました。

 


7.皮をむく

頭の方をつまみ、頭から尾にかけてゆっくり皮をむいていきます。

 


8.刺し身にする

通常は斜めに刃を入れていきますが、子供たちにはまだ難しいので、まっすぐ短冊のように切っていきました。これで、完成です。

 

イベントの最後には、自分でさばいたアジを盛り付けた、ちらしずしを作り、保護者の方々と味わいました。子どもたちは、初めて本格的に使う包丁に悪戦苦闘しながらも、その仕上がりには満足したようです。

 

講師である高橋善郎さんも、子どものたちの理解の早さ、包丁使いの巧みさに驚いた様子。

「包丁を初めて使った、というお子さんが大半だったにもかかわらず、みんなとても上手でした。楽しそうに料理をしていた姿も印象的でしたね。貝印の子ども用包丁ですと、扱いやすいせいか、内臓のかき出しや半身おろしもやりやすかったようです。子どもの頃から包丁を持つことは大事なことだと思います。今は親も子どもも忙しく、一緒に料理をする時間が減っていますから、一緒に調理をされるきっかけにしていただければ何よりです」(高橋善郎さん)

 

子ども用包丁との出会いは、料理上手になれるというだけではなく、料理を通じた親子の絆を深めるきっかけにもなりそうです。

 

さて、この「貝印1day包丁レッスン」が、今年も開催決定。参加は抽選ですが、申し込みはまだ間に合います! 興味がある方は特設サイトで確認を。

【「貝印1day包丁レッスン」開催概要】
日時:2018年7月24日(火) 11:00~13:00
場所:貝印本社1階 Kai House(東京都千代田区岩本町3-9-5 K.A.Iビル)
講師:高橋善郎さん(料理研究家 / 日本酒ソムリエ)
募集人数:12名 ※応募者多数の場合は抽選
応募期間:2018年6月13日(水) ~6月29日(金)
応募資格:小学生2年生~4年生まで。保護者(1名)同伴必須
応募方法   :貝印 ウェブサイト 専用フォームよりご応募ください
http://www.kai-group.com/fun/kids/

 

【プロフィール】

高橋善郎さん(料理研究家 / 日本酒ソムリエ)

大学卒業後、大手食品メーカー、IT会社に勤務しながらきき酒師、ソムリエ、調理師免許などの資格を取得。祐成陽子クッキングアートセミナーを卒業後、和食料理店の店長を経て独立。和食や日本酒をカジュアルに楽しんでもらうため、2013年12月より和食専門料理教室を主宰。だしのひき方、魚のさばき方等を中心にレクチャーしている。2015年からは農林水産省・JICAの共催事業にも参画し、国内外で日本食・食文化を発信。また、スポーツをこよなく愛し、2016年6月に行われたトライアスロンの大会では年代別準優勝。「食 × スポーツ」を普及する活動も精力的に行っている。

 

【商品情報】
貝印「リトル・シェフクラブ 包丁 刃なし・ギザ刃・刃つき」
各1620円
材質/刃部:ステンレス刃物鋼、柄:ABS樹脂(耐熱温度80度)
本体サイズ/全長219×刃幅42×柄の高さ15mm
刃渡り/125mm、板厚/1.5mm
重量/59g