雑貨・日用品
収納
2024/4/4 20:00

かごを活用した片付けの実践アイデア10とメイドインジャパンのかごの魅力

どの家庭にもたいてい収納ボックスはあるでしょう。なかでも竹やシダなどのナチュラル素材で編まれたかごは、さまざまなものをしまえるだけでなくおしゃれなインテリアアイテムとしても優秀で、ついつい買い集めてしまうという人も多いのではないでしょうか。

 

かごを使いこなし、部屋のさまざまな場所をおしゃれに片付けるには? 神楽坂にある生活雑貨店「jokogumo(よこぐも)」 の店主・小池梨江さんの自宅にうかがい、活用法や選び方について教えていただきました。

 

とにかく万能! あらゆる場所で活躍するかご

部屋のいたるところにかごが置かれている、小池さんの自宅。かごを上手に活用しながらおしゃれにすっきりと片付けられており、とても居心地の良い空間です。小池さんがどのようなかごを選びどのように活用しているのか、そのアイデアとコツを場所ごとに教えていただきます。

 

リビングルーム・ダイニングルーム

まずはリビング・ダイニングでかごを活用するアイデアを紹介します。

 

・毎日使う小物類の一時置き場として

「リビングダイニングのかごには、帰宅したらすぐに鍵や財布などを入れるようにしています。1ヶ所にまとめておけば、出かけるときも慌てることがなく便利ですよね」

「このかごは、桜の木の皮と竹を組み合わせて作られた宮城県産のもの。もともとは農作業用として使われていたかごでサイズももっと大きいのですが、これは家庭でも使いやすいよう小さいサイズで作られています。見た目もとてもかっこよくて大好きなかごの一つです」

 

・散らかりがちな子どものおもちゃをラフに収納

「リビングで子どものおもちゃを収納しているのが、アケビのツルで作られたこちらのかご。作りがしっかりしていてサイズも大きめなので、散らかりがちなものもラフにガサッと入れるのに重宝しています」


「右側のかごの上にのせている蓋は、実はトレーとして売られていたもの。別々に購入したのですが、サイズがぴったりだったので蓋にしました。素材が同じだと、組み合わせても違和感なく見せることができます」

 

・相性抜群! 観葉植物×かご

「沖縄県で作られたシダのかごは、鉢植えのカバーとして活用しています。かごは植物から作られているので、植物との相性がとても良いんですよね」

「鉢植えのポットをかごに入れるだけなので手軽に試すことができますし、これだけでいっきにお部屋がこなれた雰囲気に早変わりしますよ」

 

・出しっぱなしを防ぐ、テーブル下のかご

「ダイニングテーブル下のスペースにもいくつかかごを置いています」

「写真上のかごは、イタヤカエデでつくられたもので、子どもの勉強道具を入れています。子どもがダイニングテーブルで勉強するのですぐ散らかってしまうのですが、食事となったらこのかごに入れて蓋をするだけですぐに片付けられるので、とても便利。テレワークをする方などにもおすすめです」

 

・収納場所に困るコード類もすっきり!

「お店でもよく聞かれるのが、コード類をまとめるためのかご。出しっぱなしだと見た目も美しくなくてちょっとしたストレスになりますが、かごにサッとまとめるだけですっきり見せることができます」

「上はイタヤカエデ、下はアケビと桜の木の皮で作られたものです」

 

キッチン

続いて、キッチン周りでの活用法を紹介。ストックを入れたり、食器を収納したり……ここでもさまざまな使い方ができるようです。

 

・まとまりなく見える商品パッケージをおしゃれに隠す

「こちらのカゴには、飲みかけのお茶などをまとめています。にぎやかなパッケージのものは、出しっぱなしにしているとごちゃついて見えがちですが、カゴにまとめておけばおしゃれに隠せます」

「我が家では、食べかけのお菓子やパンなどもカゴに入れて収納しています」

 

・水に強いカゴは、食器を乾かすときにも便利

水回りで使うかごは、ナチュラル素材ながら、やはり水に強い性質の素材を選ぶといいそう。

「シダで作られているこちらのカゴは、触るとプラスチックのようにつるつる。湿気に強くて水をはじくので、しっかり乾かさないとカビが生えてしまうような土の器などを、洗って拭いた後に一晩、ここのカゴに入れて乾かしています」

 

・毎日飲む薬類をカゴに入れて、出しっぱなしでもおしゃれに

「篠竹(しのだけ)で作られた蓋つきのかごには、毎日飲んでいる漢方薬を入れています。薬はしまいこんでしまうと飲み忘れることもあると思うのですが、このようにかごにまとめて入れておけば忘れませんし、出しっぱなしにしていてもかわいいですよね」

「もともとはお弁当箱として作られているカゴなので、おにぎりやお菓子を入れて持ち運んでもいいですね」

 

・バラバラで使える蓋つきのかごに食器を収納

「こちらも同じく篠竹で作られたかご。フタと下のカゴをバラバラにして、お猪口(ちょこ)を入れています。蓋の方が大きいので重ねられるのも便利ですし、周りが柔らかめなので食器がぶつかってガチャガチャしづらいのもうれしいポイントです」

「普段は食器棚に入れていますが、友人が来たときにこのまま出して、好きなものを選んでもらうこともあります」

 

・ペンや印鑑などをサッと取り出せる、便利なポケット

「キッチンのカウンター横にピンを刺して引っかけているこちらのかごは、秋田県のイタヤカエデから作られたもの」

「軽くて弾力がある素材なのでとても使いやすいです。我が家では『ポケット』と呼んでいて、必要なときにすぐ取り出せるよう、ペンや印鑑などを入れています」

 

 

初心者におすすめのかごと、
選ぶ際のポイント

かごは汎用性が高く部屋のどこでも活躍するだけに、どのようなかごがその場所や用途にフィットするのか、選ぶ際にあらかじめ見当をつけておく必要がありそうです。小池さんに、初心者におすすめのかごや、かごを選ぶ際のポイントについて教えていただきました。

 

・アケビ素材のかご

「アケビ素材のかごは、初心者の方にもおすすめです。丈夫なことに加えて、サイズや形の種類がとにかく豊富なので、最初の一つとして取り入れやすいのではないかと思います」

「たとえばこちらのカゴのように、サイズが小さいものは気軽に買えるのでおすすめ。さらに取っ手が付いていると、持ち運んだり引っかけたりもしやすいので便利です。我が家では洗濯ばさみを入れて、毎日使っています」

 

・フルーツバスケット

そのほか、キッチンで活躍する果物や野菜を入れておくためのかごも、使い勝手が良いそう。

「果物や野菜を入れるような浅めのかごも使いやすいでしょう。形がきれいなものを選べば、使わないときには壁に飾れて素敵なインテリアになります。こちらは秋田県で作られたアケビの『菊皿』というかご。光が差し込んだときの影もきれいです」

 

・待機中のかごはインテリアとして活用

「我が家では、キッチンの天井近くにかごをズラッと並べているのですが、実はこれらは“待機中”のかごなんです。大量の果物や野菜があるときは大きめのカゴに入れて、量が減ってきたら浅めのものに入れ替えて……というように使い分けています。かごはピン1本あれば簡単に壁にひっかけることができますよ」

カゴを買う前に考えておきたいのが「お部屋のどこに置くか」ということ。せっかく買ったのに置き場所がない……ということにならないよう、前もってイメージしておきましょう。

 

「まずはイメージした場所にカゴを置いてみて使ってみる。その後は、使っていくうちに『ここにも置けるな』『こういう使い方もできそう』というイメージがどんどん広がっていくはずです。
カゴは汎用性が高く、引っ越したり模様替えをしたりしても、さまざまな場所・用途で使うことができる万能なアイテム。何を入れてもかわいく見えるので、いくつあっても困らないのではと思います。部屋のあちこちにお気に入りのカゴがあれば、それだけで毎日ちょっとウキウキした気持ちになれそうですね」

 

かごを長く使うための手入れ

さらに、購入したカゴを長く大切に使い続けるためのお手入れ方法についても教えていただきました。

 

「ザルとしても使われるような竹素材のカゴであれば、水道水で洗い、たわしでこすってOKです。そのほかの素材も、きちんと乾かしさえすれば問題ないのですが、水にしっかり浸けてしまうと柔らかくなって形が崩れてしまうこともあるので注意しましょう。水で洗わなくても、ほうきやたわしで汚れをさっと払うくらいで充分だと思います」

小池さんが使っているのは、沖縄県の「芭蕉(ばしょう)」という植物の繊維から作られたほうき。汚れをサッと払うだけなのでお手入れもラク。

 

伝統ある技術で作られる、
“日本のかご”の魅力も知ってほしい

小池さんが店主を務めるお店では、日本で作られたさまざまなかごを取り扱っています。自宅にあるかごも、多くが国内で作られたもの。「日本の職人が長く作り続けてきた日本のカゴの魅力を知ってもらいたいんです」と小池さんは話します。

 

「日本では、縄文時代からかごが使われてきました。とても長い歴史があって、製作技術もアップデートされ続けてきたので、日本のかごには現代ではすでに完成された形があると思っています。
また、丈夫で長持ちすることも大きな特徴。日本の植物から作られるものなので、湿気の多い日本の風土で使うのに適していて、長く使うことができるんです。私の家にあるかごもどれも10年以上使っていますが、まだまだ使えるものばかりです」

 

小池さんの自宅にあるかごは、日本のなかでもとくに東北地方で作られたものが多く、その背景についてもうかがいました。

 

「雪が降る東北地方では昔から、農作業ができない冬の間に収入を得るためにかごを作る方たちがいらっしゃいます。厳しい寒さに耐えて育った植物から作られるかごは、とても丈夫です。また、1年のうち1ヶ月しか採取できない素材から作られるかごなど、自然のサイクルに合わせて作られているかごが多いのも、面白いところ。伝統的な日本のかごは理にかなって作られているので、背景を調べてみるのも楽しいと思います」

青森県のりんご農家さんが作られたかご。小池さんお気に入りの一つで、「どうしてこんなにかわいいものがつくれるんだろう!」と感動したそう。

 

両端にあるかごも、青森県で作られたもの。本来はりんごを入れるために作られたかごでサイズももっと大きいそう。りんごの重さに耐えられるほど、丈夫でしっかりとした作りになっています。

 

このような日本のかごは、作るのに時間がかかるため大量生産が難しく、手頃な価格で買える輸入品のかごと比べると、どうしても価格が高くなってしまいます。こうした背景もあり、昔からのかごづくりの技術は受け継ぐことが難しくなっているとの現状もあるそうです。それでも、日本で長く受け継がれてきたかごには、上記のほかにもたくさんの魅力が詰まっています。

 

「私のお店では、かごが壊れたときの修理も受け付けています。これは、かごの作り手がわかるからこそできること。修理したところだけ素材の色が変わったりするのですが、それもまた愛おしいですよね。経年変化を楽しみながら、長く使い続けられるところが日本のかごの魅力。素敵なかごが手頃な価格で買える時代ではありますが、皆さんが使うかごのうち、1つでも2つでもいいので、日本で長く受け継がれてきた技術によってつくられたかごを取り入れてみてほしいと思います」

 

Profile


「jokogumo」店主 / 小池梨江

東京・神楽坂にある生活雑貨店「jokogumo(よこぐも)」の店主。店には “長く使い続けられて、心地よく使えて、環境の負担にならないもの” という視点で、全国各地をたずねて仕入れた生活雑貨が並ぶ。
「jokogumo」HP