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2017/9/28 11:00

中華料理界では「蘭州ラーメン」と「麻辣湯」がまもなくブレーク! 「中華料理もっと向上委員会」が断言

ラーメン、チャーハン、餃子。これら定番の中華料理、もはや日本の国民食ともいえるほどおなじみの料理ですが、身近すぎるゆえに魅力が伝わりきっていないジャンルだともいえるでしょう。今回はこの事実に真っ向から取り組み、奥深く多彩な食文化を伝えていこうとする組織の立ち上げイベントを取材。重要人物にインタビューを行い、理念や貴重なお店情報などを聞きました。

 

超大衆から高級モダンまでふところの広い料理

発足したのはその名も「中華料理もっと向上委員会」。Webサイト「おいしい四川」の代表・中川正道さんが委員長となり、日本国内の様々な中華関連団体と連携して中華料理を盛り上げていこうとする組織です。設立の背景には、こんな切実な想いがありました。

 

「歴史に裏付けされた多彩な調理法と味、地域や店の特色など枚挙にいとまがなく、裏路地の屋台料理から高級シノワまで実にバラエティ豊か。まさに中華は、フランスやトルコに並び世界三大料理の名にふさわしいのです。しかし日本では、“安い、油っこい、化学調味料のオンパレード”などの悪いイメージが先行していますよね。でもそれがすべてではありません。考えてみてください。気軽な点心の店や大衆的な町中華がある一方で、一流フレンチと肩を並べるカリスマシェフのモダン中華だってあります。その点では、最もふところの広い料理ジャンルだと思いませんか?」(中川さん)

↑日本では北京、上海、広東、四川の4つが中国料理の一般的な分類ですが、本来はこの8つ。まだまだ知られざる魅力が隠れている証拠だといえるでしょう
↑日本では北京、上海、広東、四川の4つが中国料理の一般的な分類ですが、本来はこの8つ。まだまだ知られざる魅力が隠れている証拠だといえるでしょう

 

「日本人にとって中華料理といえば、ラーメン、焼餃子、チンジャオロース、麻婆豆腐、酢豚などが有名ですよね。そしてその多くが、食材も味付けも日本人向け。それは決して悪いことではありませんし、アレンジされたからこそ日本に定着したのでしょう。ただ、より本場を知れば、もっともっと中華は奥深くおいしい世界なのです」(中川さん)

 

冒頭のスピーチが終わると、料理が運ばれてきました。そのなかには、確かに日本ではあまり見かけない一皿も。ここではその一例を紹介しましょう。

↑廣東料理「豚と黄ニラのイーフー焼きそば」。水を使わず、小麦粉と卵のみで打った麺はまるで生パスタのような弾力です
↑廣東料理「豚と黄ニラのイーフー焼きそば」。水を使わず、小麦粉と卵のみで打った麺はまるで生パスタのような弾力です
↑江蘇料理「布豆腐と雪菜枝豆あえ」。あっさりとした低糖質メニューで、栄養価的にも優れています
↑江蘇料理「布豆腐と雪菜枝豆あえ」。あっさりとした低糖質メニューで、栄養価的にも優れています
↑山東料理「蒸し茄子にんにくダレ」。山東をはじめ各地で食べられるポピュラーな料理。日本ではパクチーとしておなじみのシャンツァイも決め手です
↑山東料理「蒸し茄子にんにくダレ」。山東をはじめ各地で食べられるポピュラーな料理。日本ではパクチーとしておなじみのシャンツァイも決め手です
↑廣東料理「カエルの土鍋ごはん」。実はカエルはポピュラーな食材で、鶏肉のような味わいが特徴です
↑廣東料理「カエルの土鍋ごはん」。実はカエルはポピュラーな食材で、鶏肉のような味わいが特徴です

 

これらの料理は、外食経営者のカリスマである中島 武社長が解説。中島さんが率いる際コーポレーションは「紅虎餃子房」や「万豚記」などが有名です。料理紹介のなかでは、「え、そうだったんだ!」と思うような驚きの内容も。

↑際コーポレーションの中島 武代表取締役
↑際コーポレーションの中島 武代表取締役

 

「近年でこそ、ホアジャオの効いた本格的な麻婆豆腐や、本来の姿である汁なしの担担麺が日本で広まるようになりましたが、これって『より本場の味を知りたい、食べたい』という気持ちがあったからですよね。このように、もっと知ってもらえたらなって思うんです。誤解も多いですから。」

 

「例えば、本場のホイコーローにキャベツは入りません。また中華ではよく食材を油にくぐらせますが、あれは『油通し』といって、揚げるのではなくコーティングによって食感を生かすとともに余分な油の吸収を防ぐんです。だからそんなに油っこくないんですよ。」

 

「火力が強いというのも、ひとつの側面であってすべてではありません。あれはチャーハンなどの炒め物を大量に作るときの光景ですから。私としては、決して『本当はコレが正解!』と押し付けるつもりはありませんし、うちの店も完全な本格中華でありません。でも、せっかく情報や食文化が発達しているんですから、少しずつ自然に本場の味を知ってもらえたらなぁと……。」(中島さん)

 

中華料理のネクストブレイクは麻辣湯と蘭州ラーメン!

会場には、日本にあるオーセンティックな中華料理店に詳しい賢人たちの姿も。そのなかから、「中華料理もっと向上委員会」の議長・菊池一弘さんに、これからブレイクしそうな料理を聞いてみました。

↑菊池一弘さん。「羊齧(ひつじかじり)協会」の主席でもあります
↑菊池一弘さん。「羊齧(ひつじかじり)協会」の主席でもあります

 

「ひとつは麻辣湯(マーラータン)かなと。野菜などの具を選んで煮て、春雨と一緒に食べるんですよ。具を選べる火鍋みたいな感じの料理で、ひとりで気軽に食べられるのも魅力ですね。日本ではラーメン店スタイルの『七宝麻辣湯』が有名ですが、より現地のスタイルでオープンしている現地系も雑で面白いですよ。いまはまだ、中国出身の若い方を中心に人気の料理ですが、本場のチェーン店なども上陸しており、ますます目が離せません!」(菊池さん)

↑筆者がかつて取材した「大重慶 麻辣燙 新宿店」のマーラータン
↑筆者がかつて取材した「大重慶 麻辣燙 新宿店」のマーラータン

 

「もうひとつは、都内にここ数か月で2店舗オープンした蘭州ラーメン。スパイシーなスープと手打ちの麺が大きな特徴ですね。神保町のお店は連日行列ができているみたいですし、すごく面白いなと感じています!」(菊池さん)

↑こちらも筆者が取材。8月22日、神保町にオープンした超人気店「馬子禄(マーズルー) 牛肉面」の蘭州牛肉面
↑こちらも筆者が取材。8月22日、神保町にオープンした超人気店「馬子禄(マーズルー) 牛肉面」の蘭州牛肉面

 

菊池さん曰く、麺料理はイタリアのパスタが郷土ごとに多彩なように、中国の麺料理も手打ち、削り、乱切り、ちぎりなど実にバラエティ豊かとか。

 

「中国の麺料理の故郷といえば山西省。そこでいうと、東新宿にある『山西亭』は種類豊富で面白いですよ! あとは麺だけではないですが、エリアでいうと池袋北口と西川口には現地風の中華料理店がたくさん集まっていてディープですね」(菊池さん)

 

個人的に、本場の中華料理が広まるためには、焼き小籠包や汁なし担担麺のようなスター料理、シャンツァイやホアジャオのようなスター食材の存在が重要だと思います。今回のイベントに参加して、自分でももっと知られざる中華料理を発掘したいと思いました。また「中華料理もっと向上委員会」は、2018年に中国フェスを開催するのが当面の目標とのことで、併せて注目していきたいと思います!