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ホン・モノ・ケイカク
2017/11/17 15:00

斬り込んだ刃が錆びる不思議な素材―― 戦国武将が甲冑にも用いた「黒桟革」とは?

ホンモノ素材辞典vol.2

日本国内の革で最も価値が高いものはなにかご存じですか。それは、戦国時代以前からの歴史を持つ「黒桟革」。今回の「ホンモノ素材辞典」は黒桟革に注目します。

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武将クラスだけが使った贅沢な革

ホンモノケイカクが取り扱う財布の素材中、もっとも価値が高く、稀少な存在と言えるのが、姫路の坂本弘さんが作る「黒桟革」です。

 

その生産の歴史は、戦国時代以前までに遡ると言われています。漆でコーティングされた革は刃で切りにくい特性があるため、上級武将クラスの甲冑のつなぎの部分などに使われていたという資料があります。また坂本さんによると、鉄粉を溶かした液を含浸させる(漆と化学反応を起こし、漆黒の色へと変化する)ため、切りこんだ刃の一部を錆びさせる効能もあったのではないか、とのこと。古の戦場で珍重されるだけの機能性を持った革だったのです。

 

しかし、現代では、剣道で使われる「胴」、しかもハイエンド品の装飾部分のみということもあり、現在商業ベースで生産するのは、世界で坂本さんひとりとなってしまいました。

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手間と根気の作業で作られる極上の美しさ

革と漆を使う伝統工芸で、よく見るのが「印傳」です。その違いもお話しておきましょう。

 

印傳の場合、鹿革の上に柄のついた版をのせ、そこに漆を「刷り込んで」乾燥させます。要はインク(漆)を使ったスクリーン印刷です。ですので、漆の柄部分を曲げると割れてしまいます。

 

黒桟革は、漆を革全体に塗って「擦り込んで」コーティングし、何度も重ね塗りすることで強度を上げているものです。

 

しかし黒桟革は、その特殊性ゆえ、非常に手間がかかるプロセスを経て作られます。
簡単に説明すると…
国産黒毛和牛の原皮を、姫路の伝統的な「白なめし」という製法で滑らかにしてから、揉み込んでシボ革を作り、漆を揉み込んで重ね塗りして作ります。

 

白なめしは、国産黒毛和牛からとった塩漬け原皮を、川の水に長時間さらし、微生物の作用で毛根を緩めて脱毛。その後天日で乾燥させ、塩と植物油を使って、時間をかけてなめしていきます。

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できあがった白なめしを今度はしっかりと揉み込み、表面にデコボコのシボを作っていきます。その後に漆をすり込んでは一定湿度の中で乾かしながら化学変化をおこし…を繰り返すこと7~8回。

 

たった1枚を仕上げるのにも約1カ月かかります。こうした手間暇をかけることによって最高の黒桟革ができあがるのです。

 

 

■ホンモノケイカク
http://hon-mono-keikaku.com/

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