人間による作業を最小限にして、効率化やコスト削減を進めるのは、ファーストフード店にとって永遠の課題かもしれません。特に世界中に店舗を抱える大型店なら、そんな取り組みがブランド成長のカギにもなるもの。そこで、各国に店舗を展開する一大チェーン、マクドナルドにスポットをあて、アメリカなど海外のマクドナルドで導入されている最新技術についてご紹介しましょう。
2019年の夏頃から、シカゴなど米マクドナルドの一部店舗で試験的に導入されているのが、ドライブスルーでの音声技術です。クルマ社会のアメリカでは、ファーストフード店に限らず、銀行やコーヒースタンド、薬局まで、さまざまなサービスがドライブスルーで利用できることも多く、マクドナルドの店舗でもドライブスルーにクルマが列をなしているのは、よく見る光景です。そこで、待ち時間を少なくしてスムーズに顧客に対応できるようにと、人間が応対するのではなく、自動音声でのドライブスルーの顧客対応が行われているのです。
マクドナルドは2019年9月に自動会話システムを構築しているApprenteというスタートアップ企業を買収しており、この自動音声技術を応用していくと見られています。自動音声技術はモバイルや店頭での注文にも応用できるため、将来的にはマクドナルドでの注文はすべて自動応答になるのかもしれません。
チキン&ポテトを自動で揚げるロボットフライヤー
また、チキンやポテト、フィッシュなどを揚げる、ロボットのフライヤーも2018年からキッチンに試験導入されているそう。ロボットフライヤーはドライブスルーの音声技術と同じ店舗で試験導入され、どちらも人件費を削減しながら業務の効率化を図り、さらに顧客の待ち時間を短縮することが狙いとされ、今後試験導入される店舗も拡大していくかもしれません。
AIアシスタントが仕事探し
店舗運営に音声技術やロボットが導入されても、人間によるサポートはやはり必要なもの。そこでマクドナルドは、同社でのスタッフ募集にも最新技術を導入しました。それが、AIを利用した会話型の技術であるAmazon AlexaとGoogle アシスタントでの仕事探し。「アレクサ(またはグーグル)、マクドナルドでの仕事探しを手伝って」と声をかけて、働きたい地域などいくつかの質問に答えると、募集中の最適な仕事の情報が携帯メッセージに送られ、オンラインで応募のプロセスを進めることができます。このサービスは、アメリカのほか、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イギリスなどで利用できるそう。働いてお金を稼ぎたい人と人手が欲しい店舗をつなぐ、新しい手段として広まっていきそうです。
海外のマクドナルドでは、人間が対応する注文カウンターのスペースが縮小され、セルフオーダーが多く導入されている店もちらほら見かけるようになってきています(上の写真)。今後はさらに自動化が進み、やがて日本のマクドナルドにも、同じような最新技術の波が押し寄せることになるのかもしれません。