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2019/12/30 17:30

2019年のAppleは僕らの心を沸かせてくれたか? 発表された全プロダクト&サービスを振り返り考える

Apple関連の話題は、製品もソフトウェアもてんこ盛りだった2019年——。皆さんはどんなトピックが印象に残っているでしょうか。本稿では、Appleからの発表内容を軸に、2019年の出来事をピックアップしつつ振り返ります。

 

【3月】「iPad Air」「iPad mini」「iMac」「AirPods」をアップデート

まず、3月にはスペシャルイベントの直前に「iPad Air」「iPad mini」「iMac」「AirPods」の新モデルがひっそりと発表されました。

 

iPad Airは10.5型のディスプレイを備え、新たにSmart KeyboardとApple Pencil(第一世代)に対応。iPad miniもApple Pencilに対応しました。iMacは、ラインナップ全体でプロセッサをアップデート。新たに最大8コアのIntel第9世代プロセッサを備え、6コアの選択肢も生まれました。

 

AirPodsのケースは新たにワイヤレス充電をサポート。チップセットにはヘッドフォンのために新たに開発したH1チップが搭載され、「ヘイSiri」での音声操作が可能になりました。

 

iPad AirのSmart Keyboard対応を除けばどれも派手なアップデートではありませんでしたが、連日製品を発表するという戦略によって注目を集めました。いま思えば、製品自体のアップデートについても、その後発表される製品を踏まえたラインナップ整備のようにも思えました。

 

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【3月】新サービスについて発表

同じく3月、続くスペシャルイベントで、「Apple News+」「Apple Card」「Apple Arcade」「Apple TVチャンネル」「Apple TV+」などの新サービスが発表されました。

 

中でも、日本で注目すべきは定額制でゲームアプリを遊べる「Apple Arcade」。広告に依存しないゲーム開発アプリのあり方がApple自身から提案されたのは興味深い転換だったと思います。

 

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【5月】iPod Touchを発売

新型のiPod Touchが突如発売されました。とは言え、プロセッサにはA10 Fusionが搭載したほかは、特に大きな変更はありませんでした。このタイミングでの発表は、WWDCを目前に控え、新OSでのサポートを意識した構成にアップデートされたのだと考えられました。

【6月】WWDC19でOS発表、Mac Proもお披露目

6月にはディベロッパー向けのカンファレンス「WWDC19」が開催され、「iOS 13」「macOS Catalina」「watchOS 6」など次期OSのアップデートについて発表されました。macOSでの「iTunes」廃止や、iPad向けのOSがiOSから「iPadOS」に改名するなど、話題になるトピックも豊富でした。「Sign in with Apple」の機能が発表されたのも、この時でした。

 

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コーディングに関してはXcode 11で「SwiftUI」が使えるようになることが発表されました。iPadアプリをMac向けに移行しやすくなったり、Apple Watch向けのアプリを開発しやすくなったこともトピック。

 

また、ARKit3は「People Occlusion」などの新機能に対応。AR関連アプリとしては「Reality Composer」が発表されました。

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製品としては、「Mac Pro」の新モデルが発表されました。ちなみに、公式サイトにアップされたUSDZファイルで、Mac ProのARを表示できる仕組みも話題に。

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筆者としては、全体の発表内容を通じて、OSのアップデートによって新機能が追加されただけでなく、プラットフォームや開発環境を整えようとする流れを感じました。

 

【7月】MacBook AirとMacBook Proをアップデート

7月にはTrueToneに対応した「MacBook Air」や、第8世代クアッドコアプロセッサやTouch Barを搭載した「MacBook Pro」のエントリーモデルがアップデートされました。

 

MacBook AirからはRetinaディスプレイ非搭載のモデルがなくなったことが一つのポイントでしょう。また両機種ともに従来モデルよりも安いことが強調されました。

 

【8月】HomePod日本上陸

海外ではすでに販売されていたHomePodでしたが、8月下旬にはようやく日本市場での発売され、スマートスピーカーが再び話題に上がりました。

 

競合他社はすでにスマートディスプレイを展開しているため、後発感は否めません。しかし、Siriが使えるのはApple製品ならではですし、音響への並々ならぬこだわりがあったことで、価値を失わずに日本市場に投入できたのは幸いだったと思います。

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【9月】「iPhone 11」、「Apple Watch Series 5」、「iPad」を発表

恒例の秋のスペシャルイベントでは、トリプルカメラを備えた「iPhone 11 Pro/11 Pro Max」とデュアルカメラを備えた「iPhone 11」が発表されました。ほかにも常時表示ディスプレイに対応した「Apple Watch Series 5」や、Smart KeyboardとApple Pencil(第一世代)に対応した10.2型の「iPad」が登場。新OSの提供も開始されました。

 

全体的に堅実な順当進化ではありましたが、特にApple Watchの常時表示対応は、同シリーズとして大きな節目になったと思います。

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【9月】Apple Arcade提供開始

同じく9月には、3月に発表されていた「Apple Arcade」の提供が始まりました。月額600円でオフラインプレイ可能なゲームが遊び放題と聞いて飛びついた人も多かったのではないでしょうか。

 

しばらく、毎日数ゲームずつ試す日々が続きましたが、どれも作り込まれている印象を抱きました。またバリエーションの豊富さも十分かなと。

 

一方で、使用時間の管理が重要だなと感じる場面が増えました。iOS 12で「スクリーンタイム」機能が追加されていたのも2019年に提供されるコンテンツを踏まえてだったのだろうかと想像させられたものです。

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【10月】macOS Catalina提供開始

iOS 13、watchOS 6に遅れ、10月からはmacOS Catalinaのアップデートが提供されました。iTunesが廃止されたほか、iPadをサブディスプレイとして使える「Sidecar」機能や、Apple Arcadeへの対応もトピックでした。

 

iPadユーザーとしては、Sidecar機能の登場でよりiPadを便利に活用できるようになったのが嬉しかったですね。一方で、macOS Catalinaでは32bitアプリが使えなくなるという変化があったので、ユーザーは馴染み深いアプリの対応確認に迫られました。

 

【10月】AirPods Pro発売

同じく10月に、アクティブノイズキャンセリング対応のAirPods Proが発売されました。AirPodsで実現したユーザー体験を踏襲しつつ、電車や飛行機内でもクリアなサウンドを楽しめるようになったのが特徴。AirPods Proを装着したまま外部音を聴けるモードの完成度が話題になりました。2019年に発売されたApple製品のなかでも特に印象に残ったものの一つだと思います。

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【11月】「Apple TV+」提供開始、16インチMacBook Pro発売

11月には、3月に発表された「Apple TV+」の提供が始まりました。月額600円で楽しめるほか、新しいAppleデバイスの購入や、Apple Music学生プランへの登録によっては、無料で試しめます。ただし、Apple Arcadeと比べるとまだまだコンテンツの数は限られている印象で、この先どう発展していくのかは未知数といったところ。

 

16インチディスプレイを搭載したMacBook Proの新モデルが発売されました。キーボードが「Magic Keyboard」へと刷新されて静音性を高めました。第9世代Intel Core i7プロセッサー搭載モデルは、標準構成(メモリ16GB、512GBSSD)で24万8800円という価格にも注目です。

 

2019年、どこが注目点だったか?

こうしてAppleに関連する2019年の出来事を振り返ってみると、3つの傾向が見えきます。

 

1つ目は、App Storeの見直しが大きかったこと。例えば、macOS Catalina向けのアプリ開発については、iPadからアプリを移行しやすくする「Project Catalyst」が印象的でした。また、watchOS 6ではwatchOSのApp Storeのみでアプリを提供できるようになりました。アプリ開発をしやすくすることで、ディベロッパーがアプリをより提供しやすい環境を整えていたのだと思われます。

 

2つ目は、新たなサブスクリプションサービスに挑んだこと。既に成立している音楽に加えて、ニュース、ゲーム、動画という3ジャンルの新サービスが生まれました。ここに関して成功するかどうかは未知数ですが、長期的な視点で見守る必要があると思います。

 

3つ目は、「Pro」を冠する製品が増えたこと。2019年はiPhoneやAirPodsにまでProがつきました。仕事で使う人、譲れないこだわりがある人に向けた製品展開が主流になりつつあるので、購入側の姿勢もそれに合わせて「こだわりがなければ普及価格帯モデルを選べば良い」と変化させる必要があります。例えば、「iPhone 11」と「iPhone 11 Pro」のどちらを選ぶか、という議題がこれに相当するでしょう。

 

iPhoneにのみ注目して言えば、iPhone XSから11 Proへの順当進化だったので、「iPhone X」への大幅なデザイン変更があった2017年のようなインパクトこそありませんでした。iPadシリーズも周辺機器への対応が目立ち、ホームボタン無しのiPad Proが登場した2018年ほどの衝撃はありませんでした。一方で、Apple Watchの初の常時表示対応は大きな変化だったと思います。

 

しかし、こうした製品の傾向だけで判断するのは早計で、視点をソフトウェアや製品ラインナップ全体に向けると、ダイナミックかつ戦略的に下地を整えた一年だったように思えます。着実に歩みを進めた19年を終え、20年にはどんな動きを見せるのか今から楽しみです。