大型のセンサーを採用しながら、ボディは小型軽量で価格も比較的手ごろ。従来モデルのEOS 6Dは、そんな35ミリ判フルサイズのデジタル一眼レフであった。このEOS 6Dの基本コンセプトを継承しつつ、機能や操作性などをさらに向上させたのが、今夏登場した「EOS 6DマークⅡ」である。液晶モニターはタッチ対応の可動方式(フルサイズEOS初)に変更され、動体撮影で重要になるAFや連写の性能も大幅アップしている。それらの注目点をピックアップしつつ、従来モデル、EOS 6Dとの違いもチェックしていこう。


【ボディ】基本レイアウトは6Dを踏襲しつつ可動式モニターを採用
EOS 6DマークⅡとEOS 6Dを見比べると、外観に大きな変更はなく、サイズや重さの差もわずか。唯一大きく変わったのが、背面モニターがバリアングル式の可動タイプに変更された点だ。それによって、ライブビュー撮影時のカメラポジションやアングルの自由度が増している。また、タッチ操作対応にもなったので、速写性も各段に向上している。






【AF】測距点が45点に増えてファインダー撮影が快適に
ファインダーを覗くとわかるように、AF測距点が大幅に増えた点も魅力だ。EOS 6DはAF測距点が11点しかなく、ファインダーでのピント合わせは、AFロックを活用するなど工夫する必要があった。しかし、6DマークⅡでは45点に増え、好みの位置でAFしやすくなった。


また、上下左右の傾きが確認できる電子水準器を採用。シビアな構図調節に役立つだろう。この機能はEOS 6Dにも搭載されていたが、対応していたのは水平方向のみだった。

【画質】新型映像エンジンで色再現や画質が安定
EOS 6DマークⅡには、EOS 6Dよりも600万画素多い約2620万画素CMOSセンサーが採用されている。だが、画質は画素数だけでは決まらない。高画素化と同時に階調再現力や高感度性能も向上。フルサイズEOSで初となる映像エンジン「DIGIC 7」の搭載により、低感度から高感度まで安定した描写が得られる。


【高感度画質】高感度に強くノイズによる像の乱れが少ない
画質の面では、低感度側よりも高感度側のほうに、大きな進化が見られる。新開発のCMOSセンサーと映像エンジンDIGIC 7の組み合わせによる高度なノイズ低減処理により、常用最高感度ISO40000を実現している(EOS 6Dの常用最高感度はISO25600)。高感度域での撮影を重視する人なら、EOS 6DマークⅡのほうがオススメだ。単に高感度で撮影できるだけでなく、同一感度なら“より高品質な画像”が期待できるだろう。



【連写】実用的な連写速度で動く被写体も撮りやすい
EOS 6Dは連写が最高秒間4.5コマと少なめで、連写して動く被写体を撮影するには不向きであった。6DマークⅡでは、センサーからの高速読み出しが可能になり、DIGIC 7の搭載によって処理スピードも上がったことから、最高秒間6.5コマの連写を実現。動体撮影にも対応しやすくなった。45点となったAF測距点を活用すれば、電車やクルマなどの高速な被写体を、カメラ任せで追ってもかなりの確率で成功写真を撮ることができる。



【結論】フルサイズEOS初の可動液晶がマークⅡ最大の魅力
EOS 6Dは“大きくて重くて高価”というフルサイズデジタル一眼レフの印象を覆してヒットした。そんな人気機種の後継モデルとして登場したEOS 6DマークⅡは、小型軽量をキープしつつ、AFや連写や高感度などの基本性能を向上させた、実に“手堅い進化”を遂げている。一方で、APS-CサイズEOSでは定番となっている“バリアングル液晶モニター”の採用も、ほかのフルサイズEOSに先がけて実現。入門者など幅広い層にアピールできる製品に仕上がっている。


