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2025/3/3 12:00

【西田宗千佳連載】ゲームに向けて、テレビのフレームレートも「240Hz」「480Hz」へと増える

Vol.147-2

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回はCESで発表された新規格「HDMI2.2」とテレビの超大型化の話題。価格面だけでなく設置の課題もあるが、今後も大型化は進むのか。

 

今月の注目アイテム

TVS REGZA

REGZA 85E350N

実売価格28万6000円

↑85V型の4K液晶エントリーモデル。全面直下型LEDモジュールを採用し、鮮やかかつ高精細な映像表現を可能にする。好きなタレントの出演番組もすぐに見つかる「ざんまいスマートアクセス」などで快適に視聴できる。

 

前回の連載で、「テレビは100インチクラスの超大型のニーズが増える」という話をした。それは間違いではなく、確実に増えていくだろう。

 

ただ、すべての家庭に75インチオーバーの巨大テレビがやってくるか、というとそうではない。安くなってきたといっても最低数十万円の買い物であり、“壁面がテレビに覆われている形を許容する”人のためのものでもある。住居にそこまで大きいサイズのものを“置けない”人もいるだろうし、同じくらい“搬入できない”人もいるだろう。

 

一方で、より多くのテレビに関係してくるトレンドもある。それは「ゲーム向けの高フレームレート対応」だ。

 

一般的に、テレビは「毎秒60Hz」を前提に作られている。Hzとは1秒に表示されるコマの値を示し、1Hzなら秒1コマ、60Hzなら毎秒60コマを指す。

 

ざっくりいえば、テレビ放送がインタレース方式の30Hz=実質60Hz(1080i)であり、他の映像はプログレッシブ方式の60Hz(1080p)というのが2025年現在の基本だ。現在の4Kテレビでは、1920×1080ドットの縦横2倍、3840×2160ドット・60Hzまでの映像を見ている。

 

しかしゲームでは、60Hzよりもコマ数を増やし、なめらかな映像とすることが求められるようになってきた。

 

1コマを認識する能力でいえば、ハードウエアとしての人間は60Hz(1コマ約0.0167秒)であってもギリギリ。だからテレビの規格を定める際には30Hz・60Hzをひとつの軸にしたのだ。映像を見る分には60Hzでも十分である。

 

しかし、「一連の動きの中で変化を認識する」能力は、60Hzよりさらに高い。

 

こうした認識力が重要になるのが、格闘ゲームやファーストパーソン・シューターなどの「eスポーツ」的ゲームだ。ある時間の中に入るコマ数が増えると動きをより正確に把握しやすくなっていく。

 

これは考えてみれば当たり前の話。自然界には「コマ」はない。自然界の連続的な動きに近づけていくのが「コマ数を増やす」ということなのだ。

 

ゲーム用を意識したPCディスプレイでは、解像度こそ1920×1080ドットだが、フレームレートは120Hzだったり240Hzだったりする製品も一般的になってきた。

 

テレビもこれを追いかけ、「120Hz」もしくは「144Hz」対応の製品は増えてきた。だが、ゲーマーはさらなる高フレームレートを望んでいる。テレビの用途として「ゲーム」は非常に大きな要素なので無視できない。

 

現在の「HDMI 2.1」では、フレームレートは大きな数字としては規定されていない。120Hz・144Hz対応のテレビは登場しているが、4K/240Hzなどは想定していない。フレームレートが上がると、ケーブルで伝送しなくてはならないデータ量も増え、HDMI 2.1で規定している帯域(最大48Gbps)を超えてしまうのだ。

 

そこで「HDMI 2.2」では帯域を「最大96Gbps」に拡大。4Kで最大「480Hz」までの対応が可能になる。8Kの場合でも240Hzだ。

 

現状のゲーム機やPCにとってはオーバースペックだが、長く規格が使われることを想定し、大きい値が設定されている。対応製品の発売は「早くても2025年末」とされているが、来年にはテレビでも、ゲーム向けに「240Hz対応」が増え、さらにその先で480Hzなどの姿を目にすることも出てきそうだ。

 

では解像度の方はどうか? それは次回のウェブ版で解説する。

 

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