今回紹介するソニー「α6300」は、世界最速の0.05秒のAFスピードを実現した「ファストハイブリッドAF」を搭載するミラーレス一眼カメラ。とにかくAF(オートフォーカス)が秀逸で、カメラをさっと取り出してもばっちりピントが合わせられるほか、動きのある被写体にも追従してピンボケせずに撮影できる。子どもや動物、スポーツや電車撮影など、動きのある被写体に強いカメラだ。
筆者は普段MF(マニュアルフォーカス)でじっくり撮ることが多いので、とっさの機会にピントが合わなくてシャッターチャンスを逃した、という経験はあまりないのだが、せっかくならこの高性能なAFを思う存分試すべく、元気な猫たちが走り回る(?)猫カフェに潜入してみた。
シンプルながらも操作性は良好
作例を紹介する前に、まずはα6300の基本スペックから説明しておこう。ボディは従来モデルのα6000のプラスチック外装からマグネシウム合金に変わり、堅牢性とともに小型軽量化も実現している。
ファストハイブリッドAFの像面位相差AFセンサーは、α6000の179点から425点に大幅増加され、AF精度を強化。さらに新開発の「高密度AF追従テクノロジー」により動体追従性能が大幅に向上している。AF速度も、α6000の0.06秒から0.05秒に高速化され、APS-Cセンサー搭載デジタル一眼カメラとしては世界最速だ。
本体上面にはモードダイヤルとコマンドダイヤル。かなりシンプルな構成だ。
背面液晶は3インチ、92万画素のワイドTFT液晶で、タッチ操作には非対応。視認性は良好だが、ワイド画面ということで若干小さいなと感じる。電子ビューファインダー(EVF)は有機ELの約236万画素となっており、かなり高精細だ。
液晶は可動式。上約90度、下約45度に動かせるので、ハイアングルやローアングル撮影時に便利だ。
内蔵ストロボ。小さめでかわいらしい。ピョコンという感じでポップアップする。
キットレンズとなっている「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」は、ズームレンズながら小型設計になっており、あまりじゃまにならないのがよい。ズームリングのほか、ズームレバーも搭載されている。
グリップ部分。これがかなり握りやすく、撮影時のホールド感をアップさせている。小型のデジカメではグリップが小さかったり、そもそもグリップがなかったりする製品もあるが、このくらいしっかりとしたグリップのほうが安心感がある。
レンジファインダー機のようなスタイルでバッグの中での収まりもよく、通常のビジネスバッグなどに入れていてもあまりじゃまにならない。重量は約404gと、金属の質感に比べると軽量なので、気軽に持ち出せるのもいいところだ。
高速AFで猫の決定的瞬間を撮る
撮影は、東武スカイツリーライン浅草駅から徒歩1分にある「ねこカフェ MONTA」にお邪魔した。今回は取材のため事前に許可を頂いているが、一般のお客さんなら猫の撮影は自由となっている(ただしフラッシュの使用は厳禁)。店内は、2面に大きな窓があり、外光が差し込む明るく開放的な雰囲気。室内が明るいとシャッタースピードを稼げるので、猫の決定的な瞬間を撮りたい人は、ぜひ晴れた日に行ってみよう。
室内ということでやや高感度で撮影。α6300は、ISO 1600くらいならば気になるノイズや画質低下がないので、室内でも安心して使える。
実際に撮影していると、AFがスッと合うのがわかる。コロコロ変わる猫の一瞬の表情を捉えることができた。
急に猫同士のじゃれあいが始まっても、α6300の高速AFなら決定的瞬間も下の通り。
AFが優秀なので、高速ネコパンチもしっかり撮れる。
急に窓の外の何かに反応して、窓に飛びついた。猫には何が見えているのか、人間にはわからない……。
猫カフェを出て曇り空の浅草を散策。撮影当日は桜が満開だった。
今回、数本のEマウントレンズを使ったのだが、どれも結構寄れるということを発見。
春休みということで、浅草は観光客で賑わっていた。曇りでの撮影ということもあるだろうが、α6300は意外とおとなしめの発色という印象だ。
続いて、夜間の高感度撮影テスト。もちろん手持ちで行い、1/4秒ながら電信柱にカメラを押し付けて撮ることで手ブレを防止した。画質的にはまったく高感度(ISO 3200)であることを感じさせないレベル。
さらに、ISO感度を上げながら、暗いシーンでのノイズをチェックしてみた。
上から、ISO 6400、12800、25600。12800くらいになると暗部に多少ノイズが見受けられ、25600になるとノイズが多く細部の描写が若干崩れている。ISO 12800くらいなら常用してもいいだろう。高感度はかなり優秀といえる。
今回は試していないが、α6300は4K動画の撮影にも対応している。動画撮影時にもファストハイブリッドAFは有効なので、動きのある動画撮影もお手のものだ。
気軽な撮影から本格的な作品撮りまで
高速AFや4K動画撮影など、イマドキな機能が目立つ機種だが、画質および高感度耐性などもかなり優れている1台。小型のボディとレンズを活かして、普段のスナップ撮影に持ちだしてもいいし、じっくりと撮影しても充分満足できるポテンシャルを持っている。
ただし、普段一眼レフカメラで撮影をしていると、カメラの設定変更にわずらわしさを感じるかもしれない。その場合は、カスタマイズ可能なFnボタン、C1、C2ボタンを駆使すれば、かなりストレスは軽減される。
ひとつだけ気になったことは、動画録画ボタンが本体側面にあること。これが微妙に押しづらい。もっと押しやすい位置にあれば、猫の動画も撮ったのに……と思った次第である。
ソニー
α6300
実売価格14万5670円(ボディ単体)、16万1870円(16-50mm標準ズームレンズキット)
APS-Cサイズの撮像センサーを搭載したミラーレス一眼カメラ。425点の像面位相差AFセンサーを備えた「ファストハイブリッドAF」により、世界最速の0.05秒のAFスピードを実現。4K動画も撮影できる。
【SPEC】
撮像素子:有効2420万画素Exmor CMOSセンサー
レンズマウント:ソニーEマウント
モニター:3型/約92万画素
サイズ:W120×H66.9×D48.8mm/約404g(バッテリー等含む)
【URL】
ソニー http://www.sony.jp/
α6300製品情報ページ http://www.sony.jp/ichigan/products/ILCE-6300/
ねこカフェ MONTA http://cafe-monta.jugem.jp/?eid=2