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2018/4/10 19:00

「最上位ミラーレス一眼」はどこまで進化したか? ソニー/富士フイルムの二大モデルを実写比較

近年のハイクラスミラーレスではソニーの躍進が著しいですが、富士フイルムも強力なフラッグシップを投入しました。両機ともプロユースまで視野に入れたモデル。ここではその2台をプロのカメラマンが評価しました。なにかとイベントが多く撮影の機会が多い4月〜5月。ちょっと奮発して、最高級のモデルを買ってみてはいかがでしょうか。

 

※「画質」は、ISO感度と絞り値、焦点距離を揃え、露出とホワイトバランスはオートで撮影して評価。「AF」は、カメラに向かって走るオモチャの電車をAF-Cモードで連写して評価。「電子シャッター」は、高速な扇風機を撮影することで、動体歪みの発生具合をテストしました。スジが多く写るものほど歪みが生じがちです。

 

【解説する人】

カメラマン 永山昌克さん

雑誌やWEBで撮影と執筆を行います。休日は、父としてミラーレス一眼で息子たちの成長記録を撮影。

 

秒10コマ以上の高速連写や高精度な位相差AFに対応

写真愛好家など中上級者向けの分野でも、一眼レフからミラーレス一眼への主役交代が進んでいます。なかでも注目は、ソニーと富士フイルムが投入した新モデル。

 

ソニー「α7Ⅲ」は、人気のフルサイズ機α7シリーズの最新作であり、従来モデルの「α7Ⅱ」からあらゆる部分が進化。特に連写やAFといったスピード面での性能アップが目覚ましいです。

 

一方の富士フイルム「X-H1」は、シリーズ初のボディ内手ブレ補正を搭載するなど、同社技術の粋を注いだ最上位機です。動画性能やボディ剛性も大きく向上しています。

 

今回の試用は短期間でしたが、両機ともプロ仕様の一眼レフに勝る高機能と高速性、快適さを実感できました。20万円を超える価格を決して高価に感じない完成度の高さです。

 

【ソニー】

これからの“標準”となる爆売れ必至フルサイズ

ソニー

α7

実売価格26万9870円(レンズキット)

そのスペックの高さがプロやハイアマチュアから高く評価されているα9やα7R Ⅲといった上位機の長所を受け継いだスタンダード版。693点の位相差AFや10コマ連写、ボディ内5軸補正などのプロ機級の性能を、フルサイズ機としては破格の小型ボディに凝縮しました。【2420万画素】【秒約10コマ連写】【常用最高ISO51200】【約650g】

SPEC●レンズマウント:Eマウント●モニター:3.0型約92万ドット、チルト、タッチ対応●EVF:約236万ドット●サイズ:W126.9×H95.6×D73.7㎜

 

↑背面操作部のレイアウトは、先行する上位機α9やα7Rとほぼ同様。固化幕ボタンをカスタマイズできます

 

 

↑α9などと同じく、スティック形状のマルチセレクターを装備。ぐりぐりと動かしてAF測距点を軽快に移動できます

 

画質:★×5

撮影の自由度が大きく広がる階調や感度の余裕

今回のテスト機のなかでは唯一のフルサイズ機ということもあり、画素数こそほかのモデルと大きく変わりませんが、階調描写と高感度画質は抜きん出ていました。ISO6400やISO12800でも描写に汚い印象は皆無で、撮影の自由度は非常に高いです。

 

AF:★×3

浅い被写界深度ゆえシビアな合焦が求められた

AFテストの合焦率は85%と振るわない成績。テストは画角を統一して行いましたが、本機はセンサーサイズが大きいため、焦点距離が長くなり、被写界深度がシビアになることが影響しました。

 

電子シャッター:★×3

サイレント撮影の動体の歪みはやや目立つ

動体歪みの度合いはやや大きめでした。上位モデル「α9」とは異なり、アンチディストーションシャッターが非搭載なのは残念。もちろん通常のメカシャッターによる撮影なら歪みは生じません。

 

【イチ押し機能!】

裏面照射センサーによる超高感度に注目

新開発のフルサイズ裏面照射型センサーによって、拡張最高感度ISO204800に対応。屋内スポーツや野生動物など、薄暗いシーンで高速シャッターを使いたいときに役立ちます。

↑超高感度は、星景などの写真を撮るユーザーにもありがたいです

 

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