ワイヤレスオーディオを中心に、ポータブルオーディオ製品を意欲的にリリースしているオウルテックから、音質にこだわった完全ワイヤレスイヤホン「Samu-SE04」が9月中旬に発売されます。カラーはブラックとホワイトの2色で、実売予想価格は1万980円(税抜)。全国の量販店をはじめ、直販サイト「オウルテックダイレクト」等にて取り扱います。
完全ワイヤレスイヤホンは新興市場だったため、製品ラインナップを拡充できていないメーカーも多かったのですが、最近のブームにより上位モデルや高機能モデルなど、価格帯に幅を持たせたラインナップを用意するメーカーも増えつつあります。
そこで疑問になるのが、入門モデルと上位モデルでは何が違うのか? どっちを選ぶべきか? ということ。そこで今回は、オウルテックの完全ワイヤレスイヤホンの入門モデル「Samu-SE03」(実売価格9480円)と、上位モデルSamu-SE04を比較しながら、レビューをお届けしたいと思います。
音質を強化した上位モデルの3つの特徴
まずは、Samu-SE04の特徴を説明しましょう。このSamu-SE04は音質強化モデルにふさわしく、これまでのモデルにはない技術やパーツを採用しています。
1.Qualcomm「QCC3026」チップを内蔵
2.音響特性を改善する「HDSS」技術を採用
3.グラフェン素材コーティングの6mm径ダイナミックドライバー搭載
その1.最新Bluetoothチップでスペックアップ
最初に注目したいのは、クアルコムが提供する最新のBluetoothチップ「QCC3026」を採用していること。このチップは省エネに貢献し使用時間を伸ばすだけでなく、通信性を向上させ、さらに対応するスマホと組み合わせて使うことで、「TWS Plus」(TrueWireless Streo Plus)という通信方式を利用することができるようになります。
TWS Plusは、左右のイヤホンがそれぞれスマホなどの端末と通信を行うことで、安定したBluetooth伝送を可能にするというもの。従来の方式よりも音が途切れにくく、音の遅延も抑えることができます。
対応している端末はまだ少なく、この機能を利用できる人は限られていますが、今後はBluetooth接続方式のスタンダードになりうるといえます。将来、スマホの機種変更をしたときに利用できるかもしれませんので、対応しているに越したことはないでしょう。
その2.高音質化技術「HDSS」を採用
音響特性を改善する「HDSS」(High Definition Sound Standard)は、米国のTBI Audio Systemsが提供する高音質化技術。イヤホン内部の圧力を一定に保ち、内部反響の影響を抑えることで、歪みのないサウンドを実現するというもの。
Samu-SE04は、このHDSS技術を採用しており、より原音に忠実なサウンドを再生することができます。発売中のSamu-SE03はHDSS非搭載なので、聴き比べると音質の差がわかるかもしれません。
その3.ダイヤモンドよりも硬い「グラフェン」素材をコーティング
Samu-SE04は、音質の要となる振動板に、ダイヤモンドよりも硬いといわれるグラフェンをコーティング。軽くて硬い振動板により、キレと応答特性のよい音質を実現しています。
そのほか、Bluetoothコーデックが従来のSBC/AACに加え、aptXにも対応したほか、イヤホン部の防水性能がIPX4からIPX7に強化されています。
【2モデルの主要スペックの違い】
SE04 | SE03 | |
防水性能 | IPX7 | IPX4 |
再生時間 (イヤホン単体) | 約9時間 | 約4時間 |
再生時間 (ケース併用) | 約54時間 | 約24時間 |
Bluetooth コーデック | SBC/AAC/aptX | SBC/AAC |
音質の差は歴然。ただしSE03のほうにも良さが
さっそくSE04とSE03の音を聴き比べてみました。再生にはiPhoneを使い、AACコーデックで接続しています。
SE04は、SE03と比べると音がクッキリとして解像度が高く、特に高域のクリアさに差があると感じました。SE03は中低域が強めに主張し、全体的にややボワついた印象を受けますが、SE04はパキッとしたドライなサウンド。低域もしっかり出ており、良い意味でドンシャリな味付けがなされています。
電車の中など騒音のある環境で音楽を聴くときは、これくらい派手めにチューニングされていた方が聴きやすく、カジュアルなシーンで聴くことを想定した音作りなのだろうと想像できます。ポップスやロック、ダンスミュージックなどとの相性もよく、気軽に高音質なサウンドが楽しめるモデルだと思います。
一方で、SE03のほうがいいなと感じたのは操作性。SE03は完全ワイヤレスイヤホンには珍しく、左右それぞれのイヤホンに2つずつボタンを備え、操作がとてもわかりやすいのが特徴。例えば、ボリュームの調整は、R側の突起がないボタン1回押しで音量アップ、L側1回押しで音量ダウン、曲を飛ばすときはR側のボタン長押しで曲送り、L側で曲戻し、というようにシンプルな操作性となっています。
ワイヤレスイヤホンを使っていると、音量を上げようとして曲を止めてしまったり、曲送りをしようとしてリダイヤルしてしまったり、とにかく誤操作が多いことが不満だったので、このわかりやすさは本当に使いやすいと感じました。残念ながらSE04は左右にボタンが1つずつなので、音量アップはR側のボタンを2回押し、音量ダウンは3回押し、というようにやや複雑な操作を覚えなければいけません。
また、SE04はSE03に比べて少しだけイヤホンに厚みがあり、イヤホンの管が長めの設計になっているので、装着したときに耳からはみ出しがちなのもマイナスポイント。コンパクトさが売りのひとつだったSE03ならではの優位点といえます。
ただし、SE04は4サイズのイヤーピースが付属しており、3サイズ付属のSE03よりも細かい調整がしやすいので、装着感という意味ではSE04のほうが上。耳の小さい方や女性にも十分オススメできます。
SE04は音質重視派にオススメ
以上のことから、とにかく音質を重視したい人にはSE04を、初めて完全ワイヤレスイヤホンを購入するビギナーやコスパの良さを求める方にはSE03がオススメです。
一般的に、エントリーモデルは使いやすさやコストパフォーマンスのよさを追求したモデルが多く、上位モデルは音質や装着感、所有欲を満たしてくれる高いデザイン性などを備えたものが多くなっています。自分の目的や用途に合っているのはどちらのモデルなのか、できれば実際に使い比べてみて試したほうがよいでしょう。
↑充電ケースの大きさは互角。デザインはどちらも個性的なので、好みが分かれるところ
なお、Samu-SE04は9月7日に開催されるポタフェス大阪にも出展される予定。発売前に試してみたい方は、ぜひ会場へ足を運んでみて下さい。
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