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2019/12/23 18:31

ネットで見かける「中華ブランド」ってどうなの? 「ポタフェス2019冬」で注目アイテムを一挙聴き!

「ポタフェス2019冬」の会場には、普段はなかなか聴く機会のない中華ブランドの製品も多く出展されていました。ネット販売サイトなどで見かけるものの、店舗などで扱っていないことが多いので、「ハイスペックでハイコスパだが音はどうなんだろう?」と気になっていた方も多いはず。今回は、そんな注目の中華ブランドのハイスペック製品から、ハイコスパ製品まで一挙に紹介していきます。

↑東京・秋葉原で開催された「ポタフェス2019」

 

前編はこちら

定番ブランドから中華メーカーまで「ポタフェス2019冬」で気になる製品を聴きまくり!

 

QLS「QA390」は各種バランス接続に対応

皆さんはソニーが発売した「DMP-Z1」をご存じですか。据え置きヘッドホンアンプなのですが、音質を優先してバッテリー駆動を採用。さらにDAC内蔵、そして音楽プレーヤー機能も搭載。出力は4.4mmのバランスと3.5mmのステレオミニ端子。操作はスマホのアプリから。ケースはアルミ削り出しで、Bluetoothにも対応して、お値段95万円のハイエンドモデルです。

 

これに対抗するのがQLSの「QA390」です。10Aを供給できる13200mAhのバッテリーを搭載。さらに10万μFのコンデンサーを搭載して電源供給を強化しています。この電源でスマホの充電もOK。QA390の構成は電源+DAC+ヘッドホンアンプ+DAPになります。DACはAK4497EQを採用しています。ソニーと違って出力は、XLR、2.5mm、3.5mm、4.4mmのバランス、6.3mm標準、3.5mmステレオミニ端子に対応しています。アナログのバランス出力、RCAピン端子出力、デジタルの光出力、USB入力もあります。リモコンも付属、これで価格は14万9000円(税込)です。

↑QA390のカラーはレッドとブラックの2色。サイズはW200×H44.5×D180mm、重さ1.8kg

 

↑XLRの4pin、2,5mm、3.5mm、4.4mm、6.3mmなどのヘッドホン端子に対応できます

 

↑XLRバランス出力にRCA出力、デジタルはトスリンクの入出力、同軸、USB入力があります

 

「QA390」は申し分のないスペックで、イヤホンやヘッドホンのデモにも最適なので、あのFitEarの須山社長も購入したというイヤホン業界でも注目のモデル。パワフルな低域が特徴で、高域はなめらかで、全体的にメリハリのある音でした。確かにこの内容で14万9000円はお買い得です。既存のオーディオシステムに加えればDAP+デジタルプリアンプとして使えるので一粒で二度美味しいといえます。

↑天板のカラー液晶画面に曲名やビット深度、サンプリング周波数などが表示されます

 

32bit/768kHz対応のDACとバランス対応ヘッドホンアンプ

S.M.S.LはデスクトップサイズのクラスDデジタルアンプやDACなどの製品をラインナップしており、Amazonなどでは定番のハイコスパなコンポのブランドです。音質はなかなかのもので、そのハイエンドモデルとなるのがバランス駆動DACの「D1」とバランス対応ヘッドホンアンプ「P1」です。どちらも同じサイズでピッタリ重ねられる筐体を採用。デザインも統一されています。価格はD1が14万2227円(税込)。P1が8万3290円(税込)で、合計22万5517円になります。

↑4個の筐体に分かれているように見える「P1」と「D1」とペア

 

筐体を見ると左に切れ目が入っています。これは一体型でありながら左側に独立した電源部を持たせるという一体分割型電源を採用しているからです。電源部から発生したノイズを他の回路に伝えないための工夫で S.M.S.L の本気度が伝わりますね。D1はDACにESS社のES9038PROを2基搭載した完全バランス構成で、オペアンプは電流増幅型のOPA1611を6個使っています。PCMは32bit/768kHz、DSDはDSD512まで対応。

 

P1はディスクリートの増幅回路を使い、歪みを0.00019%までおさえています。出力はバランスで3W(32Ω)もあり平面駆動型ヘッドホンもパワフルにドライブできます。音量調整用のICはテキサスインスツルメンツの最高級部品PGA2311Uを採用。こちらも一体型分割電源を採用して、電源は回路ごとに独立させています。整流回路には厳選したコンデンサを使い入念な音質チューニングがおこわれています。その音はさすがハイエンドモデルと思わせるもので、解像度が高くハイスピード、低域はタイトで、女性ボーカルはなめらかに聞こえました。ヘッドホン端子がXLRの4pinと標準プラグ用しかないので、ちょっと使いにくいかもしれません。

 

Yulong「DA10 DAC」は高解像度でキレがいい音

Yulongの「DA10 DAC」は、DACにAK4497を2基搭載したバランス構成のDAC内蔵デジタルプリアンプ機能付きのバランス対応ヘッドホンアンプになります。ただし、これまでのモデルと違いフルディスクリートのクラスAアンプでドライブしています。またハイエンドでトレンドのFPGAを搭載しており、PLLクロックにはフェムトクリスタルを採用しました。アルミ削り出しの筐体は、重さ7kgもあります。カラーはシルバー、ブラック、レッドの3色があります。ボリュームダイヤルは押しボタンになっており、3種類のデジタルフィルターと3つのサウンドモートの切り替えが出来ます。PCMは32bit/768kHz、DSDはDSD512まで対応します。デジタル入力は光、同軸、USB、AES/EBUとなります。アナログ出力はバランスとRCAアンバランスに対応します。価格は13万6512円(税込)です。

↑「DA10 DAC」はフロントパネルに大型液晶画面を備えた個性的なデザイン

 

これは今回、試聴した中華モデルの中で最も好印象でした。クラスAアンプというとなんとなく甘い音を想像しますが、本機は解像度が高くキレがあってシャープな音。それでいて粒立ちを強調しすぎない、絶妙のバランスを保っています。ステレオ標準とXLRの4pinジャックしかないので、2.5mmや4.4mmのバランス端子を接続するためにアダプターが必要になりますが、これはオススメ。試聴時にはSENNHEISER「HD800」が接続されていましたが、その実力をしっかり引き出していたと感じました。

 

中華ブランドならではのハイコスパモデルも勢揃い

このほかにもDACとヘッドホンアンプのペアで4万7000円の「SU-8」と「SH-8」、Bluetoothを搭載してLDAC対応のTOPPING「DX7 Pro」、MQAのハードデコードに対応したS.M.S.L「M500」、THX AAA-888テクノロジー対応のS.M.S.L.「SP200」などが展示されていました。いち早く最新技術を取り入れる中華ブランドのフットワークの軽さには驚かされます。音の好みが合えばお買い得感満載! 秋葉原のコイズミ無線にはTOPPINGなどの製品が展示されているので、機会があれば試聴してみてはいかがでしょう。

 

iPhoneで手持ちのイヤホンを使いたいならコレ!

M.ID.が輸入しているADVANCED「Accessport2」はライトニング端子をiOS機器に接続することでハイレゾ24bitオーディオデータをアナログに変換するDAC内蔵アンプです。オーディオ出力とは別に充電ポートがあるため、iPhoneを充電しながら音楽が楽しめます。リモコン機能と音量調整も可能。4980円(税込)とハイコスパながら、高音質でライバル機に負けません。これはオススメです。

↑サイドに充電ポートを搭載、Accessport2の電源はiPhoneから供給されます

 

↑ボディは樹脂製ですがマット仕上げで安っぽくありません

 

繊細で見晴らしがいいFiiO「M11 Pro」の音

人気のFiiOのDAP(デジタルオーディオプレーヤー)「M11 Pro」もようやく聴けました。DACにAK4497を2基搭載したバランス駆動で、アンプモジュールにはTHX AAA-78を使っています。ヘッドホン端子は4.4mmと2.5mmのバランス端子に、3.5mmのステレオミニ端子を装備。PCMは384kHz/32bit、DSDはDSD256まで再生できます。またMQAのフルデコードにも対応。5.15インチの液晶画面を採用したため筐体はちょっと大きめです。

↑M11 Proは大型液晶画面を採用して、タッチ操作でサクサク動かせます

 

音の印象は情報量が多く、輪郭がクッキリした音ですが、他のFiiOのDAPに比べると女性ボーカルはなめらかに聞こえました。MQA音源では高域が気持ちよく伸びて、ボーカルのニュアンスがよく出ていました。価格は8万2500円(税込)です。さらに展示はありませんでしたが「M11Pro SS」という筐体がステンレス合金のモデルが発売されるようです。価格は10万4500円(税込)になる予定です。

↑ヘッドホン出力はバランスが4.4mmと2.5mm、3.5mmのステレオミニ端子を搭載

 

このほか、Bluetoothヘッドホンアンプの「BTR5」の試聴機も展示されていました。aptX HDとLDAC対応で、2.5mmのバランス接続もできます。スマホユーザーと相性のいいデバイスといえそうです。

↑Bluetoothヘッドホンアンプの「BTR5」の試聴機

 

【ギャラリー(GetNavi webでご覧いただけます)】

 

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