Beats by Dr. Dre(ビーツ)から最新の左右独立型完全ワイヤレスイヤホン「Beats Studio Buds」が8月10日に発売されました。今回はアップルのAirPods Proと比較をしながら、ビーツ注目モデルの特徴を詳しく紹介したいと思います。
【ポタ-1グランプリ2021投票受付中!】
→GetNavi×楽天コラボ『ポタ-1グランプリ2021』の特設ページはコチラ
スタイリッシュなカナル型になった完全ワイヤレス
Beats Studio Buds(以下:Studio Buds)は2019年夏に発売された「Powerbeats Pro」に続く、ビーツの左右独立型完全ワイヤレスイヤホンの第2弾になります。コンパクトな耳栓タイプのアクティブノイズキャンセリング(ANC)と外音取り込み機能を搭載。本体をIPX4防滴対応として、充電ケースもぐんと小さくなりました。ケースはAirPods Proよりもひと回りほど大きめですが、イヤホンのサイズはほぼ互角。片側イヤホンの質量は5gです。
AirPodsシリーズのようなスティックデザインのワイヤレスイヤホンは苦手という方にはスッキリと身に着けられるStudio Budsがおすすめ。側面パネルにはブランドロゴのアルファベットである「b」をあしらっているので、周囲にビーツのスタイリッシュなイヤホンを身に着けていることもアピールできます。
カラバリは印象的なレッドのほか、落ち着いたホワイトとブラックの3色が揃います。税込価格はAirPods Proよりも1万円以上安い1万7800円。ノイキャン搭載で、iPhone連携もスムーズな完全ワイヤレスイヤホンとしてとてもインパクトのある価格だと思います。
パワフルな低音再生を実現
筆者がStudio Budsに注目したいポイントは大きく2つあります。ひとつは本機の音づくりを支えるドライバーやハウジングのテクノロジーです。Studio Budsは8.2mm口径のダイナミック型ドライバーを搭載。ドーム型の中心部は硬質で、外周を柔軟なポリマー系素材の振動板としたことにより、つながりよく滑らかなサウンドを再現します。ドライバーユニットの背後に音響室を設けて低音域を増強するデュアルハウジング構造により、コンパクトながらも良質な低音が出せるのもこのイヤホンの特徴です。
ふたつめに注目したいポイントは強力なスマホ連携です。Studio Budsはビーツの独自設計による新開発のBluetoothオーディオ向けチップが搭載されています。iPhone、iPadと組み合わせる場合は、充電ケースのフタを開けて近づけるだけでペアリングガイダンスのアニメーションが起動します。
ケース内側のボタンを長押しするとケースのLEDランプが点滅して、Bluetoothペアリングモードに切り替わったことを知らせてくれます。Androidスマホの場合はこの状態から、あらかじめスマホにインストールした「Beats」アプリからペアリング設定を行うか、またはAndroid 6.0以上のデバイスであればGoogle Fast Pairによるワンタッチペアリングが使えます。Android向けのBeatsアプリからはイヤホンのバッテリー残量を確認したり、本体リモコンボタンの設定変更などができます。Studio BudsはAirPodsシリーズよりさらにAndroidスマホのユーザーに優しい使い勝手に踏み込んでいるところが魅力的です。
iPhoneとAndroidスマホのどちらとも相性抜群
Studio Budsの実機をチェックしていきましょう。充電ケースは表面がさらっとしたマット仕上げで、楕円形のデザインにより手の中に心地よく収まります。イヤホンはケースのフタを開いて横向きに収納します。尖った形状の側面をつまんでケースから出し入れするのですが、ハウジングの表面も指触りがさらっとしているので、着脱時に落とさないよう気を付けましょう。
イヤホンは左右側面がボタン式のリモコンになっています。シングル・マルチクリックで音楽再生の一時停止や曲送り、ハンズフリー通話の受話操作などができます。長押し操作には左右別々にANCと外音取り込みのモード切替えか、または音声アシスタントの起動が割り当て可能。ボタン操作はほどよいクリック感が得られて、誤操作も少なく安定しています。
ANCと外音取り込みを切り換えたことはイヤホンから聴こえてくるビープ音が知らせてくれますが、音声ガイドを伴わないため、慣れるまではアプリやiOSのコントロールセンターの表示も合わせて確認すると現在選択中のモードがわかります。Apple WatchのユーザーはStudio BudsのANCと外音取り込みのモード切替えがウォッチからできることも覚えておくと便利です。
バッテリーのスタミナはANC、または外音取り込み機能をオンにして使った場合で約5時間。参考までにAirPods Proは約4.5時間です。Studio Budsは充電ケースで2回ぶんのフル充電が足せるので、ANC/外音取り込みオンの状態で使い続けた場合は約15時間の連続使用ができることになります。ケースのワイヤレス充電には非対応ですが、Studio Budsは充電ケーブルに多くのAndroidスマホやMacBook、iPad Pro/Airが採用する汎用性の高いUSB-Cケーブルを採用しています。iPhoneに組み合わせて使う場合はLightningケーブルと2本の充電用ケーブルを常備する必要があります。そのためiPhoneユーザーにとってはAirPodsシリーズの方が、ケーブルを揃えられるので好都合といえます。
ビーツらしい迫力の低音再生が復活!
Studio BudsのサウンドはApple Musicの音源をリファレンスにして試聴しました。Studio BudsもBluetoothのオーディオコーデックはAAC/SBCに対応しています。AirPodsシリーズと同様にApple Musicのロスレス/ハイレゾロスレスコンテンツを再生すると圧縮がかかります。
ルパン三世の名曲リミックス「LUPIN THE THIRD JAM」からYUC’eが歌う「夢ならいいのに」を聴きました。ボーカルとジャズバンドによる演奏は生演奏のように鮮やかで生々しく、音像が立体的に蘇ります。ボーカルの音像が前に張り出してきて、奥行き方向へ広がる演奏も見晴らしも良好。そのサウンドに引き込まれます。
さらに特筆すべき点は、肉付きが良く躍動感にも富んだ低音の迫力。2010年代前半ごろのビーツのヘッドホン・イヤホンは、とてもパワフルな重低音再生を個性としていました。あの時代のビーツサウンドを彷彿とさせる低音が、さらにブラッシュアップされて、最新モデルのStudio Budsでは解像度の高いクリアな低音再生に進化を遂げていました。この上質な低音はアップテンポなロックやポップスだけでなく、ジャズやクラシックの楽曲を聴いても心地よい緊張感を生み出します。
Apple Musicの空間オーディオ再生とも好相性
Studio Budsを最新のOSを搭載するiPhone、iPadとペアリングすると、Apple Musicのドルビーアトモスによる空間オーディオ対応コンテンツを選曲した時に、ステレオ版ではなく空間オーディオ版を自動選択する機能が使えます。
7月末に配信が開始されたばかりのアリス=紗良・オットの作品「Echoes of Life」を試聴すると、空間オーディオらしい雄大なコンサートホールの情景が目前に広がります。ピアノの音像が前に迫り来るような臨場感。低音はどっしりと深く沈みます。アップルとのコラボレーションが始まってから、ビーツのイヤホン・ヘッドホンが共通の特徴としてきた中高音域の透明感と伸びやかさは最新モデルのStudio Budsにも確かに受け継がれています。
AirPods Proに比べるとStudio Budsのサウンドはとても濃厚です。豊かな低音のインパクトにも差が表れます。同じANC機能を搭載する、iPhoneとの連携性も高い完全ワイヤレスイヤホンですが、音のキャラクターが全然違うので、すでにAirPods Proを愛用している方もStudio Budsをチェックする価値が十分にあると思います。
Studio BudsのANC機能は、自動車の走行音から人の話し声までバランス良く消音してくれます。筆者の体感的な印象で比べると、ANCの効果はAirPods Proよりもビーツの方が若干強力だと思います。反対に外音取り込みモードに切り換えると、やはり環境音がとてもクリアに聴こえるAirPods Proの良さが目立ってきます。ANCと外音取り込みのモードを切り換えた時に音のバランスが崩れないところはStudio Budsもお見事。
Powerbeats Proよりもグンとサイズをコンパクトにしながら、音楽性により磨きをかけたStudio Budsは、いまある完全ワイヤレスイヤホンのなかでも個性豊かで魅力的な製品だと思います。価格も手頃なので、2021年の後半は本機が「台風の目」になりそうです。
【フォトギャラリー(画像をタップするとご覧いただけます)】