前世代の機種を超えてきた、力強く広がり豊かなサウンド
QC45のサウンドはiPhone 13 Proで試聴してみました。BluetoothオーディオのコーデックはSBCとAACに対応しており、iPhoneによるワイヤレス再生の実力もフルに引き出せます。
鋭く立ち上がるエネルギッシュな中音域、力感も充実する低音に、アクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載する同価格帯のワイヤレスヘッドホンとの違いを感じます。地に足の付いた音楽再生は安定感がとても豊か。ボーカルやバンドが演奏する楽器の音像をシャープに描きます。
QC35 IIに比べると、特に高音域の見晴らしがクリアになっています。ピアノや弦楽器が演奏する音がグンと前に迫り出してくるような生々しく、大編成のジャズバンド、クラシックのオーケストラの演奏は高音域が天井方向へ突き抜けるように広がり、奥行きの深みもまたQC35 IIよりも鮮やかに再現されます。
ノイズキャンセリングの設定を「Quiet」にすると、バスのエンジン音、人の話し声などの雑音がきれいに消音されます。機能のオン・オフを切り換えたときに音楽再生のバランスが崩れないところはさすがQuietComfortシリーズの最新モデルです。外音取り込み「Aware」モードも音楽再生を最優先にした穏やかな効き具合。内蔵するマイクの性能が高く、外音取り込みに由来するノイズ感はありません。イヤーパッドによるパッシブな遮音効果も高いことから、もう少し多めにマイクで外音を取り込むバランスにチューニングされていてもよいかとも思いましたが、ノイズキャンセリング機能との対比でスムーズに切り替わる使用感を重視したのかもしれません。
シンプルで完成度の高いノイズキャンセリングヘッドホン
上位のNCH700に比べると、QC45はダイナミックで力強い音の輪郭線、リズムの鮮やかな粒立ちと躍動感を素直に引き出せる音楽性の豊かさが特徴といえるでしょう。ボーカルを心地よく聞かせるバランスは音楽再生に限らず、例えばビデオ会議やハンズフリー通話のような「人の声を正確に聞き取る」ことが必要とされる用途にもはまりました。
ボーズのライバルが展開するアクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載するワイヤレスヘッドホンの中には、QC45に引けを取らない機能を備えながら、より安価な製品もあります。QC45の3万9600円というオンラインサイトの販売価格はやや高いように感じられるかもしれませんが、ボーズが長い時間をかけて練り上げてきたQCシリーズのナチュラルバランスで聴き疲れしないサウンド、心地よいフィット感は体験する価値があると思います。長時間持続するバッテリーに高いポータビリティなど、この完成度の高さに慣れてしまうともはやQC45以外のノイズキャンセリングヘッドホンでは物足りなく感じてしまうかもしれません。現在QC35 II、NCH700を使っているという方にも、ぜひ一度QC45を試してみることをオススメしたいと思います。
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