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2025/2/12 12:00

おぼんの売上が3倍増!料理本「おぼん献立」がヒットした理由と影響力

いま料理業界に新しい風が吹いています。それは、「せいろ」や「おぼん」など、古くからあるアイテムを使った料理が脚光を浴びていること。2024年11月末に発売された『一汁三菜 おぼん献立』(ワン・パブリッシング)は、発売2か月で早くも6.5万部を突破するヒット作となっています。これが初の著書となる料理クリエイターのHidekaさんに、おぼんに着目したきっかけや、献立を考える際のこだわりなどを尋ねました。

 


Hideka/1997年生まれの料理クリエイター。夫との2人暮らしの晩ごはんを発信しており、簡単で作りたくなるレシピ動画が話題。かわいい盛りつけも人気でSNS総フォロワー数220万人を超える(2025年2月現在)。

 

「おぼん献立」は、初心者&料理に変化が欲しい主婦の救世主

↑Hidekaさんによる『一汁三菜 おぼん献立』(写真・右)。見た目もかわいい!料理が楽しくなる!と幅広い年代から絶賛のコメントが

 
―発売直後から増刷が続く大ヒット作ですね。まずは、いまの率直な感想をお聞かせください。

 

初めての本で、じつはすごく不安でした。SNSなどでレシピが無料で見られる時代に、お金を出して本を買ってもらえるのかな?って。でも、結果として、皆さんにしっかりと受け入れていただくことができました。発売前から「楽しみにしています!」「買います!」という声をたくさんいただいていましたし、発売後は「買ってよかったです」「料理が楽しくなりました」というDMやコメントが続々と届いています。本当にうれしいです。

 

―購買層を見ると20代が非常に多く、YouTubeなどでは「同棲することになったので、この本でお料理を頑張ります」といったコメントも目を引きます。

 

私のInstagramやYouTubeを見てくださっている方は20代が多くて、10代の学生さんも結構いらっしゃいます。この本が初めて買った料理本だという方もとても多くてありがたいです。どの献立もメインレシピのほとんどが4工程、副菜は2~3ステップ。誰でも簡単に作れる点が評価されているのかなと感じます。

 

あとは、なにかプラスで買わなくても、すぐに作れることもポイントです。身近な食材、家にある調味料だけで完成するので、料理初心者の方でも、ハードルは低く感じるのではないでしょうか。

 

―そしてじつは、50代から60代の方もたくさんこの本を買ってくださっているというデータが出ていますが、実感はありますか?

 

いえ、とても驚きました! 担当編集さんとは、毎日料理を作っていてちょっとマンネリ化している方に受けているのかなと話していました。私なりの食材と調味料の組み合わせや、おぼんを活用した盛り付け方などが、新鮮に感じていただいている理由なのかもしれません。あとは、Amazonの「ギフトとしてよく贈られている商品」ランキングの1位になっていたり、「一人暮らしの娘に買いました」というコメントが集まったりしているので、親御さんからお子さまへのプレゼントにもしてもらえているのかなと……予想外でしたが、すごくうれしいですね。

 

空前の「おぼん」ブーム到来! レシピ本発売を機に3倍以上の売れ行きに

―誰でも簡単においしく作れるHidekaさんのレシピが受けているのはもちろん、「おぼん」を使って献立を見せている点もヒットの理由のひとつだと感じます。最初に「おぼん献立」を思いついたのはいつ頃ですか?

 

2人暮らしを始めた3年半くらい前です。実家の食器だとあまり映えなかったけど、自分で買ったお皿だと料理が楽しくなってきて。もっと食卓をかわいくするにはどうしたらいいかな?と思っていたところ、いま使っている「おぼん」に出会いました。

 

―Hidekaさんの愛用品であり、本の中でも登場する「フラワー木製トレイ」(サリュ)。発売元である株式会社パルのブランド担当・土田真子さんに聞いたところ、本の発売前に比べて、一か月の販売点数が約3倍にまで増加しているそうです。

 

「木製トレイはもともと30~40代女性に人気の定番商品でしたが、本の発売以来、20代の女性にも多く購入されています。タイパや時短がトレンドである一方で、ていねいな暮らしに憧れる人も多いので、レシピ通りに作れば手軽においしい料理ができるという再現性の高さと、かわいい見た目が承認欲求を満たしてくれるのではないでしょうか。私もとんぺい焼きを作ってみましたが、仕事終わりでもサッと作れてクオリティが高く、大満足でした。またリピートしようと思っています!」(サリュ・土田さん)

 

↑こちらが「フラワー木製トレイ」1650円(税込)。店頭とオンラインで販売中、すぐに品切れになる大人気商品なので、見つけたら即ゲットを!

 

私の元にも「本と一緒にお揃いのおぼんを買いました」というコメントがよく届いています。乗せるだけで食卓がカフェ風になるのが素敵ですよね。運びやすいし、料理がこぼれてもテーブルが汚れないという実用性もありますし。皆さんの料理のモチベーションに繋がっているのかな。

 

―盛り付けのコツはありますか?

 

一番こだわっているのは、彩りです。赤・緑・黄色が入るように意識して、日々献立を考えています。本の中でも、コラムとして色別の副菜カタログを紹介しているので、真似してもらえたらうれしいです。また、トッピングに白ゴマやパセリなどもよく使いますね。ほんのひと手間かけるだけで料理がオシャレにおいしそうに見えるので、おすすめです。

 

大切な人に作って贈って、みんなが笑顔になれる一冊

―本で紹介しているレシピの中で、一番のお気に入りはどれですか?

 

全部お気に入りで迷うんですが……カニクリームコロッケですね。じつは夫のお母さんから教えてもらったレシピをもとにしているんですが、初めて食べたとき、ものすごくおいしくて、「カニクリームコロッケって、自分で作れるんだ!」と感動してしまって。より作りやすく簡単にアレンジしたのが、このレシピです。

↑カニクリームコロッケは、旦那様のお母様と一緒に作ったお気に入りの一品

 

あともうひとつ、この本のために開発した「特製オムハヤシライス」もおすすめです。SNSなどでは公開していないので、本当に特別なレシピですね。赤ワインで煮込まなくても、おいしく本格的な味が出せるように、何度も試作して完成しました。

 

―そのほかに、『一汁三菜 おぼん献立』の裏ワザ的な活用法があれば、ぜひ教えてください。

 

巻末に「食材別さくいん」が載っているのですが、これがとても役に立ったという声が多いです。作りたい献立を決めて準備をしてもいいし、余った野菜などがあるときは、この索引からレシピを探してもらうと便利だと思います。

 

―これからチャレンジしたいレシピはありますか?

 

どれも手軽に作れることを意識していますが、共働きの方も多いので、今後は同時に2品3品作れるようなレシピを考えたいです。あとは、魚料理のレパートリーが少ないので、もっと増やしていきたいですね。

 

 

―今回お話を伺って、「おぼん献立」の魅力が存分に伝わってきました。最後に、Hidekaさんから読者の皆さんへメッセージをお願いします。

 

はい。私はいつも、夫が喜ぶ顔を思い浮かべながら「今日は何を作ろうかな?」と考えています。本を買ってくれた方からも、「彼に作りました」「〇〇のレシピが家族に大好評でした!」「娘にレシピ本を贈りました」という声がたくさん寄せられています。

 

私が大切な人のために考えたレシピを、大切な誰かのために作りたい、そして、レシピ本自体を大切な人に贈りたいと思ってもらえていることに胸がいっぱいです。

 

こだわりをいっぱい詰め込んだ私にとっても大切な一冊、絶対に役に立てていただけると思うので、もっともっとたくさんの方に手に取ってもらえたらうれしいです。

 

Hideka『一汁三菜 おぼん献立』(ワン・パブリッシング)

 

写真/内山めぐみ、鈴木謙介 取材協力/株式会社パル