本・書籍
自己啓発
2018/6/20 6:00

【朝の1冊】コミュ力をアップさせるには、まず「しぐさ」から――『見た目としぐさ マナーの便利帖』

とある結婚相談所を定点観測的にレポートするドキュメンタリー番組を見た。男性会員も女性会員も同じ目線から淡々と紹介されていたが、筆者の目には、女性会員ばかりがはつらつとしているように映った。

 

 

目力ないよ! 男性陣

男性会員のみなさんに、目力がまったく感じられない。顔出しOKの人に限っての話だが、女性会員はアドバイザーの話を聞く時も目をキラキラさせている。一瞬たりとも視線を外さない感じだ。何か尋ねられれば、ちょっと食い気味に正直な意見を返す。

 

それに対し、男性会員は視線を落としている人がほとんどだ。理由はある。メモを取っているのだ。貴重な情報を漏らさず持ち帰りたいという気持ちはわかる。だから、すべてを書き留めておきたいという行いは当然かもしれない。

 

しかし、熱く語るアドバイザーと彼女と目も合わせることなく黙々とメモを取る男性会員たちの間に歴然とした違和感が存在することは、テレビの画面を通じてもはっきりわかる。男性会員の中には、かなり長い間籍を置いている人も少なくないという。その理由、わからなくはない。

 

 

対人スキルの3要素

アメリカの対人スキル研究団体「サイエンス・オブ・ピープル」(ヒトの科学)のウェブサイト(https://www.scienceofpeople.com/body-language/)に、仕草に関する興味深い記事が掲載されている。ボディーランゲージと非言語的コミュニケーションの基本として挙げられる3つの要素だ。

 

・人間は、強い感情を意識した時に思わず出る世界共通の表情がある。また、人間はこうした表情を敏感に察知し、それに隠された感情を読み取る。

・与えられたスペースの中で体がどのように動くか。人間は、視界に入るほかの人たちの動きを常に意識している。こうした動きから、好き嫌いとか緊張の度合いを推し量ることができる。

・洋服やアクセサリー、サングラスなどの装飾品、そしてヘアスタイルはすべてボディーランゲージの一部であり、特定の色やスタイルが他の人たちに信号を送る働きをする。時計や指輪を頻繁にいじる人。髪型が気になって仕方がない人。すべてがボディーランゲージの一部となる。

 

ボディーランゲージ=仕草のネガティブな要素をすべて取り除き、ポジティブな要素だけ抽出して活かしていく方法はないんだろうか?  実は、こうしたプロセスの大きなヒントとなりそうな本がある。

 

プロが説くしぐさの大切さ

見た目としぐさ マナーの便利帖』(直井みずほ・監修/学研パブリッシング・刊)は、体裁こそ実用書だが、内容は行動科学の専門書に近いかもしれない。「はじめに」の書き出しを読んでみよう。

 

――しぐさで、気持ちを伝える。相手と接するとき、身だしなみや表情、立ち居ふるまい、声などは、言葉の内容と同様に、印象に影響を与えます。第一印象としぐさをみがくことによって、より好感度が高まり、人と人との関係が深まります。

『見た目としぐさ マナーの便利帖』より引用

 

「サイエンス・オブ・ピープル」の“ボディーランゲージと非言語的コミュニケーションの基本として挙げられる3つの要素”に重なる部分が多いのではないだろうか。監修者の直井さんは、国内有名ホテルでオペレーター、フロントとして勤務後、とある航空会社でCAとして12年間勤務し、大手企業の研修インストラクターへ転身した人物だ。

 

 

相手に与える印象を考えてみる

プロローグ1で、しぐさによるコミュニケーションについて触れられている。簡単に言うと、こういうことになる。

 

しぐさによるコミュニケーションは、言葉によるコミュニケーション以上に人間関係に大きな影響を与えます。相手の視覚と聴覚を意識し、自分のふるまいがどんな印象をあたえているかを考えましょう。

『見た目としぐさ マナーの便利帖』より引用

 

目をキラキラさせながら自分の話を聞いてくれる人。意識してそうしているのではないだろうけれども、視線も合わせずに黙々とメモを取る人。話し甲斐を感じるのはどちらか。まずはそういうことだと思うのだ。

 

 

行動科学のケーススタディ

筆者はこの本を、“実用書の体をした行動科学の専門書”と形容した。もう少し言い足しておきたい。「行動科学のケーススタディを集めた本」という呼び方がいちばんしっくりくるのかもしれない。以下に紹介する構成にも、そういうテイストが垣間見られる。

 

・プロローグ

1 仕草によるコミュニケーションを覚えよう

2 立ち位置や身ぶり・手ぶりで人づきあいを円滑にする

3 ハッピーなサイクルを回せる人になろう

第1章:必ず感心してもらえる! 美しい身のこなしとしぐさのコツ

第2章:職場ですぐに役立つ! 身だしなみと装いのルール

第3章:評判が高くなる! ビジネスシーンの態度とコツ

第4章:好感度が跳ね上がる! コミュニケーションのルール

第5章:人づきあいがうまくいく! しぐさとアプローチの法則

第6章:相手に好かれる! シーン別・ふるまいとマナー(プライベート編)

第7章:相手に好かれる! シーン別・ふるまいとマナー(フォーマル編)

 

実に盛りだくさん。でも、これだけじゃない。巻末企画の「誰とでもうまくつきあえる! 気くばり心理学メソッド」では、日々の生活ですぐに使えるちょっとしたテクニックが数多く紹介されている。

 

コミュニケーションスキルを上げたいと思う人はたくさんいるだろうし、理由もさまざまだろう。この本は、読者の数だけあるひとつひとつの理由に的確な答えを出し、その答えを最も効果的に実践する方法を提供してくれる。コミュニケーションスキルに自信がない人たちにはよきアドバイスとなるだろうし、自信がある人たちにとっては客観的な確認基準となるはずだ。

 

 

【書籍紹介】

使える!信頼される!見た目としぐさ マナーの便利帖

著者:日本サービスマナー協会 直井みずほ(監修)
発行:学研プラス

第一印象をよくする、好感度を上げるなど、ケーススタディを中心に、マナー初心者でもよくわかる具体的な解説。また、体型にあった服装の基礎知識、TPOに合わせた服選びの基準など、資料性の高い情報が満載です。これ1冊で、すべてがうまくいく決定版!

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