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2019/7/10 6:00

すべての道はマッチングビジネスに通ず――『プラットフォームビジネスの最強法則』

オフィス街でも住宅街でも、大きな黒いバックパックを背負いながら自転車で疾走している人をよく見かけるようになったのは、いつごろからだろうか。バックパックには、白い文字で「Uber Eats」と書かれている。これだけ頻繁に見かけるのだから、ユーザーの絶対数もかなり多いのだろう。

 

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アメリカのUberは通勤ヘリも導入済み

筆者がUberというサービスについて詳しく知ったのは、何年か前にハワイに行った時だった。夫婦で仲良くしている友人が「ウーバーを始めたんだ」と教えてくれた。登録ドライバーになったのだという。観光客や、車で出かけてうっかり飲んでしまった人がタクシー代わりに使うらしい。ユーザーはアプリ経由でチップ込み料金の決済までできる。しかもタクシーよりもかなり割安だ。ドライバーとして登録しておけばスキマ時間を有効に利用してかなりの額の副収入を得ることができる。まさに需給が合致したウィン・ウィンのビジネスモデルといえる。

 

最近、アメリカではハイエンドユーザー向きのUber Copterというサービスも展開されている。去る6月7日、マンハッタン南部からJFK空港までオンデマンドで運行され、料金は200~225ドルだという。ヘリコプターに乗る機会はそうそうないので、この価格が適正なのか筆者自身の皮膚感覚では判断できない。ただ、Uberの新サービスなのだから、それなりにリーズナブルであることはまちがいない。

 

 

まったく新しいタイプのレンタカーサービス

車つながりで話をもう少し広げさせていただきたい。Turoというサービスがある。こちらもアプリを落として登録すればすぐに利用できるのだが、これは本当に使える。簡単にいうと、誰かの車を借りるサービスだ。広い意味でいうならカーシェアリングということになるのかもしれないが、本質はレンタカーそのものだ。ただし、かなり割安で利用できる。

 

このサービスは、今年の4月に取材でハワイに行ったときに筆者も実際に利用してみた。本当に安い。一般的なレンタカー会社の料金の半額くらいで済んだ。予約から決済までの段取りも簡単だ。使用中も定期的にメールが入って、延長手続きもスムーズに行える。ただ、オーナーが日頃使っている車を借りるので、返却時間にその人の家に行って車を返し、そこから空港まで送ってもらうことになる。ちょっと不便だったのだが、圧倒的な安さは捨てがたかったし、車の持ち主とのコミュニケーションも想像以上に楽しかった。次も利用したいと思っている。

 

 

プラットフォームとは何か

UberにしてもTuroにしても、媒体となるのは車だ。しかし、サービスの本質を突き詰めていくと、それは人と人とをつなげることだ。ここで紹介する『プラットフォームビジネスの最強法則』(川原秀仁・著/光文社・刊)という本に惹かれ、読んでみたいと思った最初の理由は、第1章「新しい産業が次々に登場する」の最初が“Uberというどこにもなかったビジネス”という項目だったからだ。

 

プラットフォームビジネスとは何か。「はじめに」に記された定義を見ておこう。

 

プラットフォームとは、いったいなんでしょうか。従来でしたら、多くの人は「駅のホーム」を第一に思い浮かべたことでしょう。しかし、最近は、ZOZOやメルカリなど、インターネット上で人を集めて何らかのサービスを提供する事業者をプラットフォームと呼ぶことが増えました。

『プラットフォームビジネスの最強法則』より引

 

しかしこれは、インターネットに限っての話だ。川原さんの視線は、ずっと先に向けられている。

 

ネット上の新しいプラットフォームは確かに革新的ですが、本来のプラットフォームとはそんなに小さい話ではなく、現実世界をすべて包括する概念のはずです。私は、ネット上のサービスだけではなく、現実世界も含めた、ありとあらゆるビジネスが融合したプラットフォームを創れれば、圧倒的な勝利者になれると考えています。

『プラットフォームビジネスの最強法則』より引用

 

水平線くらい広く平たく、そして明らかな立脚点である。

 

 

インターネットで始まり、人と人とのつながりに帰結するプロセス

目次を見てみよう。

 

第1章 新しい産業が次々に登場する

第2章 猶予はあと7年! 日本の現状を把握せよ

第3章 「7つの領域」が日本の進化を加速する

第4章 バリューチェーンの再構築

第5章 すべての産業は「統合化」される

第6章 「ブロックチェーン」という革命

第7章 コネクテッド・ファシリティ&プラットフォームビジネス

 

聞きなれない言葉が多いことは否めない。でも、各章で語られる内容を追っていくにしたがって、独特のボキャブラリーに徐々に慣れていくことができる。一度慣れてしまえば、むしろ響きが心地よくなって、キーワードが自然に入ってくるようになる。

 

すべての要素は、「はじめに」で記されている立脚点につながり、それぞれの要素が密接に作用し合いながら存在するさまを理解できるのは時間の問題のはずだ。インターネットで始まった話が人と人とのつながりに落とし込まれていくプロセスは、物語を読んでいるようで楽しい。

 

 

プラットフォームはマッチングビジネスの礎である

「おわりに」のサブタイトルとして、“すべての道はマッチングビジネスに通ず”という言葉が記されている。それを踏まえながら、本書の内容がコンパクトな形で6つのポイントにまとめられている。ネタバレになってしまうので詳しく触れることはしないでおくが、本書を貫くテーマは、次の文章に集約されるはずだ。

 

プラットフォームとは「Aをしたい人とBをしたい人を結び付けること」です。未来のビジネスは、すべて「マッチングビジネス」に通じていたのです。

『プラットフォームビジネスの最強法則』より引用

 

筆者はすでに、未来のビジネスを形作ることになるだろういくつかのピースを毎日のように目の当たりにし、海外旅行を通して実感している。“ネット上のサービスだけではなく、現実世界も含めた、ありとあらゆるビジネスが融合したプラットフォーム”は、すでに確実に現象化しつつあるにちがいない。そして、人と人はそもそもつながり合うように創られているのだろう。

 

【書籍紹介】

プラットフォームビジネスの最強法則

著者:川原秀仁
発行:光文社

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