一見フツーに見えるものの、ギミックが隠された聖殿や、中華様式のキリスト教会。さらには、池の真ん中に存在するポツンとスポットを紹介します。
【その4】川の水位上昇と合わせて、建物も上昇する廟
台北市・三腳渡天德宮
住所:台北市士林區三腳渡擺渡口(付近)
台北・士林と言えば、夜市の街としてあまりに有名であり、台北散策の人気スポットの一つです。この士林の川沿いに、独特の構造を持つ廟があります。川のふもとに建てられた小さな廟で、一見、台湾ではよく見かける構造ですが、建物の四方には何やら柱が備えつけられています。
これだけではナンだかよくわかりませんが、柱の理由を聞いて納得。自然被害を受けやすい台湾、集中豪雨などの際、川の水位が上昇してしまうことがあり、そういった場合には、この四方の柱によって、廟の建物ごと、上へ上へと上昇させる仕組みなのだそうです。
「水害を受けない場所に移せばいいじゃん!」というのは早計で、その地に根付いた神様を、そう簡単に移動させるわけにはいかないため、この対策が採られているのだとか。「今ある条件の中でなんとかする」という台湾人の創意工夫が感じられる廟です。
【その5】中華と欧米文化が混じり合うキリスト教会
新北市・板橋中華殉道聖人朝聖地
住所:新北市板橋區南雅西路2段25號
台湾には、道教、儒教、仏教などのほかに、キリスト教も多く浸透しています。欧米人から台湾にキリスト教が伝わったのは17世紀初頭とかなり古くカトリック(天主教)とプロテスタント(基督教)の2大宗派があります。
欧米のカトリックがそうであるように、台湾でも天主教のほうが、基督教に比べ聖殿に華美な装飾や建築方式を用いることが多いのですが、ここ板橋中華殉道聖人朝聖地はご覧の通り、中華様式の建築となっています。つまり、欧米の宗教と台湾の漢民族の文化が入り交じった建築となっているわけですが、台湾各地ではこのように文化やルーツが混在する聖殿を数多く見かけます。
一見、その違和感からツッコミを入れたくなりますが、よく調べれば、台湾のあまりに複雑な歴史や民族事情から、混在した聖殿が生まれ、今日に継承されていることもわかってきます。台湾人の素顔、信仰心、歴史を感じることができる貴重な教会ですので、行かれる方はくれぐれも真摯な態度でお願いします。
【その6】たぶん泳がないと参拝に行けない廟
桃園市・屢豐宮
住所:桃園市大溪區頭寮路傍(新福圳という池の中)
台湾には様々な神様と廟がありますが、池の真ん中にポツンとある廟はなかなか見かけません。少なくとも僕は、ここ桃園市の屢豐宮という、小さな祠以外で目にしたことがありません。
ここも地域に根付く土地公を祀っているようですが、行ってビックリ。池の中の真ん中の小島に廟そのものが建てられており、参拝に行くためには、たぶん泳ぐか、小舟でないとたどり着けません。まさかこれを読んで泳いで参拝に行かれる方はいないと思いますが、遠めに見学することは出来るので、興味がある方はぜひ行ってみてください。
しかし、この池の真ん中の廟、いったいどうやって管理されているかは謎ですね。台湾国内でもこの廟の存在、管理や参拝の謎は、新聞やテレビなどで大きな話題となったようです。