『芸能人格付けチェック』という番組をご存じだろうか。各界の著名人たちがチームを組み、味覚や聴覚などのジャンル別で「本物(高級品)」と「ニセモノ(安物)」を見分ける、というもの。
たとえば今年の元旦に放送された回を振り返ってみると、1本100万円のビンテージワインと5000円のワイン、黒毛和牛の最高峰ブランド「神戸牛」のステーキとスーパーの牛肉(100g620円)のステーキなどが問題として挙がっていた。
私のような一般庶民から言わせてもらえば、5000円のワインも100g620円の牛肉も、十分贅沢な高級品なのだが……価格に雲泥の差がある2品、その違いを出演者たちが見極められるか否かが面白い。
また、プロのオーケストラとアマチュアのオーケストラの演奏、総額35億という伝説の楽器と総額80万円の中古の楽器の音色、1億円の盆栽とお菓子の盆栽(3万円)あたりは、視聴者も挑戦できるので、家族で見ているとなかなか盛り上がる。
さて、この番組で、前人未到の連勝記録を作り続けている男がいる。GACKT(ガクト)だ。2019年現在58連勝。10年間無敗という、驚異の記録を更新中なのである。
ここまでくると、単に直感だけで選んでいるというわけではないだろう。本物を見極める目と耳と舌を持つには、普段から良い物を食べ、良い物を聞き、良い物を見ていなければ不可能だ。実際、メディアで目にするGACKTは、海外を拠点に華々しい生活を送っている。
そうなると、素朴な疑問が生じてくる。
ミュージシャンであり、俳優である彼だが、そこまでセレブな生活を送れる資金源はなんだろう? ぶっちゃけ、どうしてそんなにお金があるの?
そんな疑問のアンサーとなるビジネス書が出版された。その名も『GACKTの勝ち方』(GACKT・著/サンクチュアリ出版・刊)。今年の8月に発売されて以来、ビジネス書のランキング上位を維持し続けている話題の一冊だ。
音楽活動を続けたいからこそ、別の資金源を作る
まず驚いたのが、GACKTが30歳のころから実業家として活動をしているということ。
一番初めに挑戦したビジネスが不動産、その後、中古の携帯電話や牛肉(和牛)の輸出など、海外向けビジネスに大きく舵を取る。一方、国内ではアクセサリーブランドを立ち上げ、自身のブランド力を活かしたビジネスを展開。
もちろん、うまくいかなかったビジネスも多々あるようだが、すべての仕事で稼ぐ金額は年間数十億、GACKT個人への実入りは過去最高で10億だというから、その規模に驚く。
そして、今現在の「GACKTとしての生活」を維持するために必要な額は一年で2億程度だと知り、さらに言葉を失う。買い物や旅行などを含む日々の生活に、毎年2億とは! そりゃ、一流品を見分けられるわけだ。
といっても、単に贅沢三昧な生活を送っているのではない。彼は、人生そのものをマネタイズしている。つまり、「GACKTとして存在し、日常で起こすすべてのアクションが、結果的にお金を稼ぐことに繋がっていく」という、究極のシステムを構築しているのだ。2億はそのための経費に過ぎない。
そして、すべての行動の根底にある、「自分の好きな音楽とステージをやり続けるため」という強靭な想い。
音楽活動を続けたいからこそ、ミュージシャンだけでなくさまざまな事業に挑戦し、数十億を稼ぎ、「GACKTとしての生活を送るための経費」として億単位の資金を費やす。なんとも自分とは次元が違う話のようでいて、実はとても理にかなっており、綿密に計算されつくされていることがわかるだろう。
GACKTで有り続けることは、ハンパなく大変なこと
仮に今、突然動けなくなったとしても、
当面はサラリーマンの生涯収入ぐらいの実入りは毎年ある。
(『GACKTの勝ち方』より引用)
これを聞いて、羨ましいと思う人も多かろう。けれど、彼はこうも語る。
『GACKTやるって、マジで大変だけど。覚悟ある?』
(『GACKTの勝ち方』より引用)
「大好きな米を20年間一度も口にしていない」という話は有名だが、ほかにも、ラーメンは年に一度、そもそも食事は一日一食、そして口にするものには徹底的にこだわる。さらに、毎朝のトレーニングは欠かさないそうだ。
一度「体を鍛える」と決めたら、毎日やる。バキバキになるまでやる。GACKTの中には、中途半端でラクな選択肢はない。迷ったら、常にしんどい方を選択し、怠らないこと。
人生そのものをマネタイズし、自分を支えてくれているファンのメンター(心の指導者)で有り続けるために、信じられないようなストイックな毎日をGACKTは送っている。そして、やるべきことをやり抜いた先に今の「GACKT」が存在するのだ。
たしかに、GACKTをやり続けることは、生半可な覚悟じゃ無理だ……。
すべてのネガティブをポジティブに。
相当の覚悟と決意を持っているからこそ、あらゆることに勝ち続けているように見える「GACKTという生き方」だが、もちろん思い通りにいかないことも多分にあるという。
ただし、どんなことがあったとしても、出来事には必ず意味があると捉え、すべてをポジティブに受け入れる。それが、GACKT流哲学。
GACKTといえば、常にサングラスをかけているイメージだが、それも日常をポジティブに変えるツールなのだそう。
たとえば曇り空の日、皆が「曇ってて残念だ」と憂いていても、GACKTにとっては「サングラスを外せば明るい空」。つまり、
あえて自分にリミットを作っておけば、
それを外すだけで物事をより良く捉えることが常にできる。
(『GACKTの勝ち方』より引用)
というわけだ。
GACKTにはなれないが、GACKTのエッセンスを取り入れることはできる
GACKTのように生きるなんて、自分には到底無理! というのが、率直な感想だ。
けれど、『GACKTの勝ち方』を読んでいると、会社員だろうと経営者だろうと主婦だろうと、今の自分に活かせる何か(エッセンス)が必ず見つかるのも、また事実。
実際、この一冊を読み終えて、私自身も取り入れたいと強く思った教えがいくつもあった。読み始めたときは「ビジネス書」などと構えていなかったけれど、結果、多くの気づきを得た。
一流の代名詞である「GACKT」。彼の生き方は到底真似できるものではないけれど、私たちの未来を明るく照らし、勇気をくれる。あなたなりの勝ち方を指南してくれる。体現者として、指導者として、これから先のGACKTからも目が離せない。
【書籍紹介】
GACKTの勝ち方
著者: GACKT
発行:サンクチュアリ出版
人脈、プライベート、会食、趣味、信用、印象、自分自身。人生すべてをマネタイズするGACKT流、人生の勝ち方。GACKT初のビジネス書!
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