この夏、ベルリンに行ってきた。友人のドイツ人家族と街を散歩していると、店頭に民族衣装を並べているブティックが多く目についた。聞くとオクトーバーフェストで着るのだという。オクトーバーフェスト(10月の祭)はビールの祭典でドイツの南、ミュンヘンで開かれるものが有名だが、「ベルリンでも、ドイツのどこの街でも9月の終わりから10月のはじめにかけてオクトーバーフェストは開かれる」と教えられた。
私はお酒の中ではビールがいちばん好きだが、最近はめっぽう弱くなりアルコール度が高いものを飲むと目が回ってしまう。皆でベルリン中心部にあるビアホールに出かけたときに私がそう言うと、「じゃあベルリーナ・ヴァイセを試してみて」と勧められた。
アルコール度3%のベルリン白ビール
ベルリーナ・ヴァイセは大麦と小麦のモルトを組み合わせて仕込まれ、ビール酵母に乳酸菌を加えて発酵するベルリンの地ビールで、ピンク色ものはラズベリーシロップ入り、グリーンのものはヴァルドマイスター(くるまば草)のシロップ入りだ。広口のグラスに注がれ、ストローで飲むというちょっと変わったビール。
が、ひと口飲んで、私はたちまちこのビールの大ファンになった。キリッとしたビール独特の旨みにフルーティなシロップの甘みが加わり何とも言えない美味しいさ。しかもアルコール度が低いので酔っ払ってしまうこともない。その後、ベルリン滞在中は毎日、ビアホールだけでなく真昼のカフェでもベルリーナ・ヴァイセをピンク、グリーン交互に味わっていたのだ。
日本にも美味しいクラフトビールがいっぱい!
まだまだ知らないビールの味があるんだなぁと思いつつ帰国した私は、『クラフトビール超入門 +日本と世界の美味しいビール図鑑110』(主婦の友社・刊)という本を見つけさっそくページを開いてみた。
ビールは居酒屋で乾杯の時、あるいは風呂上りに”とりあえず、グビグビ飲む”ものでブランドにこだわりはないという人が多いかもしれない。多くの人が普段飲んでいるビールは「ピルスナー」というたった1種なのだそう。しかし、実はビールには100もの種類があり、その色も香りも味わいもさまざまで、銘柄や造り手、造るタンクによって異なるという。
クラフトビールは、直訳すれば「手作りビール」。工業製品化された画一的なビールとは異なり、主にマイクロブルワリーと呼ばれる小さな醸造所でブルワーと呼ばれる職人が情熱を込めて造ったもの。
(『クラフトビール超入門 +日本と世界の美味しいビール図鑑110』から引用)
本書では、誰もが絶対に「うまい!」と唸る日本のクラフトビール77種に加え、世界の知られざる美味しいビール36種を紹介している。
クラフトビールは「ゆっくり」「味わいながら」飲む
ビールと言えば「グビグビ、プハーッ!」と飲む人が大半だろう。でも、クラフトビールはそのような飲み方ではせっかくの香りやうまみを楽しむことができないそうだ。中にはアルコール度が8%以上という銘柄もあるので気をつけたい。
クラフトビールの飲み方は、
まず色を見る → 香りを感じながら口に含む → 口の中全体で味わってから飲み込む → そして最後に残り香や余韻を楽しむ。
つまり、ゆっくり味わいながら飲むのが正解というわけだ。
また、ビールといえば白い泡だが、クラフトビールは泡をできるだけ立てないで注ぐほうがいい銘柄もある。最近、通の間で人気の「IPA」(インディア・ペールエール)というホップの香りと苦味がしっかりしたビールは、性質上、泡がとても立ちやすいが立てないほうが断然うまいのだという。泡を立てれば立てるほど苦味やうまみが逃げていく銘柄もあることを覚えておこう。
まずはコンビニに並ぶクラフトビールから始めよう!
専門店に行くと、あまりにも多くのクラフトビールが並んでいて尻ごみしてしまうケースは大いにある。クラフトビール初心者だったら、まずはコンビニにあるものから選ぶのがいいそうだ。大きめのコンビニならビールの棚の一角にクラフトビールを見つけることができる。350mlの缶入りが多いそうだが気軽にトライでき、好きな味に出会えるかもしれない。
また、クラフトビール初心者は”淡い色”からはじめるのがいいそうだ。
ビールの色は、ごく淡い黄色から見慣れた美しい黄金色、琥珀色に赤みがかった茶色、そして濃い黒まで、じつに多種多様。そして、色が濃くなるほどに味わいやコク、場合によってはクセなども濃厚になっていくと考えて間違いありません。だから、「クラフトビールってどんなものなのか、まずは試してみたい」という人には、飲み慣れたビールに近い、淡い色からが始めやすいのです。
(『クラフトビール超入門 +日本と世界の美味しいビール図鑑110』から引用)
目で味わうだけでも楽しいビール図鑑
さて、本書で紹介されている日本全国の77銘柄のクラフトビールは、どれもこれも美味しいそうで、今すぐにでもビールを訪ねる旅に出たくなる。
・北海道/コリアンダーブラック(ノースアイランドビール)
ハーブ・スパイスエールでアルコール度は5.5%。黒ビールにさわやかなコリアンダーの香りが絶妙にマッチした味わい深い1本。・岩手県/いわて蔵ビール
ジャパニーズエール山椒(世嬉の一酒造)というオリジナルエールでアルコール度は5.0%。文化財指定の蔵から生まれた和のビール。・茨城県/常陸野ネスト ホワイトエール(木内酒造)
ベルジャンホワイトでアルコール度は5.5%。世界中にファンを持つ日本が誇るクラフトビール。・東京都/TOKYO BLUESセッションエール(石川酒造)
セッションエールでアルコール度は4.5%。東京の地で醸される、真の東京クラフトビール。・神奈川県/湘南ビール IPA(熊澤酒造)
アメリカンIPAでアルコール度は6%。ホップの華やかな香りが口に含む瞬間に鼻をくすぐる。・新潟県/プレミアムレッドエール(エチゴビール)
レッドエールでアルコール度5.5%。日本の地ビール第一号の誇りを映す、美しい赤銅色のビール。・長野県/りんご(信州須坂フルーツエール)
フルーツエールでアルコール度は3%。名産のフルーツを使ったネクター感覚のクラフトビール。・大阪府/Minoh Beerスタウト(箕面ビール)
スタウトでアルコール度5.5%。黒ビールの誉れ高い銘柄。・鳥取県/大山Gビール ヴァイツェン(くめざくら大山ブルワリー)
ヴァイツェンでアルコール度は5%。名水から生まれる大山でしか造れない世界から認められた銘柄。・宮崎県/栗黒KURI KURO Dark Chestnut Ale(ひでじビール)
フレーバースタウトでアルコール度は9%。栗が香る、濃厚でハイアルコールのクラフトビール。
この他にも味わってみたいビールがいっぱい! 本書ではビールをよく知るためのウンチクも満載なので、この一冊があればあなたはたちまちビール通に。
【書籍紹介】
クラフトビール超入門 +日本と世界の美味しいビール図鑑110
編集:主婦の友社
発行:主婦の友社
今、注目のクラフトビール。「とりあえず」ガブガブ飲むビールではありません。その味の深さと魅力、選び方、楽しみ方が難しいうんちく抜きで速攻わかる入門書。絶対に飲んだほうがいい日本のクラフトビール77種の情報に世界の有名ビール36種をプラス。読むと、もっとクラフトビールが美味しくなる至福のひと口を味わうための絶好の指南書。ハンディサイズなのでビアパブに持っていくのもオススメです。
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