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料理
2020/2/4 21:45

所変われば”つゆ、たね”変わる。あなたは「ご当地おでん」いくつ知っていますか?

静岡ではおでん専門店や居酒屋だけでなく、駄菓子屋にもおでんがあった。アルマイトの長方形のおでん鍋がどーんと置いてあり、周りに椅子が並んでいる。串に刺さったたねを一本ずつ取り、だし粉と青のりをふりかけて食べる。寒い冬ばかりではなく、夏のプール帰りにも駄菓子屋でおでんとカキ氷などを食べていたのだ。

 

牛すじや豚もつのだしで煮込む「静岡おでん」

静岡おでんのつゆは真っ黒で、そこから竹串がにょきにょきと出ている。牛すじや豚もつでとっただしで煮込み濃い口醤油で味付ける。毎日毎日つゆをつぎ足し続けるので真っ黒になるのだが、そこがおいしさの秘訣でもある。

 

私がいちばん好きなたねは青魚を使った練り物”黒はんぺん”で、これも郷土食だ。他にはこんにゃく、ちくわ、じゃがいも、昆布、玉子、さつま揚げ……、そして牛すじ、豚もつもすべて串刺しになって鍋に並んでいる。

 

 

おでんを語れば熱くなる!

というわけで、今日はおでんの本を紹介しよう。『枝元なほみの今夜はおでん』(枝元なほみ・著/技術評論社・刊)は、大人気の料理研究家「エダモン」のおでんレシピ本。定番のおでんから、地方ルーツのおでん、変りだねのおでんも紹介されていて、あれもこれも食べたくなる

 

おでんて、みんなのいろんな思い出がくつくつ煮込まれているような気がするんです。どのたねが好きか語るだけで、ついみんな熱くなる。「大根は格別だ!」「ゆでたまごは外せないよ!」「いや、うちのおでんの華はなんといっても牛すじです!」(中略)「いえっ、もちろん練り物が王道ですってば」などなどなどなど……。いろんなおでん体験を経て、それぞれの好みが形成されてきたわけで、もう庶民の暮らしの代表として表彰台に立ってほしいくらい。

(『枝元なほみの今夜はおでん』から引用)

 

 

いつか食べたいご当地おでん

地域によって、味付けや具材に違いがあるのが、おでんのおもしろいところ。では、さっそく紹介してみよう。

 

*青森しょうがみそおでん

串に刺したたねに、しょうがみそをかけて食べる青森おでんは、戦後、青森駅周辺の屋台から始まったと言われている。

 

*金沢おでん

ばい貝、車麩、赤巻き(かまぼこ)など、特徴のあるたねが多く、とくに、甲羅にかにの身などを詰めた「かに面」は、冬の一時期の贅沢として金沢おでんの名物。

 

*静岡おでん

駄菓子屋さんで買うのがおなじみだった静岡おでんは、食べた串の本数を数えてお会計をする。

 

*名古屋みそおでん

伝統的な豆みそ(赤みそ)を使うためこってりした色合いに。砂糖を入れるのが一般的で甘みがある。だしとしょうゆで煮込み、みそだれをかけるパターンも。

 

*姫路おでん

薄味のだしで煮て、しょうがじょうゆをかけて(つけて)食べる。牛すじが入るのが王道で、ねぎを散らす傾向。たこ、ごぼ天、焼き豆腐なども人気のたね。

 

*松江おでん

あごの澄んだだしで、せりや春菊などの青菜を入れることが多い。たねが大きい傾向で、名物の野焼き(あごのすり身の練り物)、つみれ、豆腐が人気。

 

*香川おでん

讃岐うどん店のすみっこに、うどんのだしを使ったおでんが一年中並んでいる。からし味噌をつけて食べるのも特徴。

 

*長崎おでん

おでんにも練り物いっぱい。中でも、ゆでたまごをいわしのすり身で包んだ「竜眼」が名物。だしはあごだし、添えるのは柚子こしょう、シメには五島うどんが定番。

 

*沖縄おでん

テビチ(豚足)のほかに、ソーキ(豚スペアリブ)やソーセージを入れるのがおなじみ。小松菜やレタスなどの青菜もよく入っている。家庭料理というより、飲み屋さんが出す料理として広まった。

 

この他に、岐阜のみそ煮込みおでん、兵庫の手羽先入りおでん、そして先にもあげた青森しょうがみそおでんは、枝元さんとその土地の作り手との対談と共にレシピも紹介されている。

 

 

変りだねのおでんもおいしそう!

さて、枝元さんといえば自由な発想で生み出される料理が人気だ。このおでんレシピ本には基本となるおでんの作り方に加えて、彼女ならでは変りだねもいくつかある。

 

ロールキャベツをメインにトマトだれで食べるという洋風おでん。春野菜を加えた春待ちおでん。かたまり肉をいれた肉おでん。焼きなすのおでん。鯖缶おでん。そして夏野菜のトマト、ズッキーニ、とうもろこしなどを入れた夏の冷やしおでん、などなど、挑戦してみたいレシピばかりだ。

 

さらに、残ったおでんリメイク法、おでんに合う副菜、添えご飯まできっちりと紹介されている。

 

寒い夜はやっぱり「おでん」に限る!

 

【書籍紹介】

 

枝元なほみの今夜はおでん

著者:枝元なほみ
発行:技術評論社

エダモン考案、冬の定番、おでんのレシピ集が登場! 定番から地方ルーツのおでん、お酒にも合う大人が喜ぶおでんも紹介。 さらには「ご当地おでん」や「おでんだね図鑑」などマメ知識も。ついついわが家の「おでん」を語りたくなることうけあいです。

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