本・書籍
2020/6/22 21:51

昔は「寿司・天ぷら」今は「ラーメン・コンビニおにぎり」! ——『外国人だけが知っている「観光地ニッポン」』

訪日外国人旅行者が前年比で99.9%減ったそうだ。新型コロナウイルスの影響で国際線が飛ばず、各国が出入国の制限をしているのだから当然の数字といえるだろう。

 

パリで暮らす娘が学校の教師や仲間たちと4月に東京を訪れるはずだった。満開の桜を見物しつつ、日仏の貿易を学ぶ研修プログラムだったが、あえなくキャンセル。が、「日本行きだけはぜったいに諦めない」「コロナが収束したら仕切りなおして皆で東京へ行こう!」と学生たちは声をあげているそうだ。

 

日本に憧れ、日本を旅したい外国人は想像以上に多いのだ。だから、辛抱して待っていれば彼らはきっと戻ってくる。今日はそれを教えてくれる一冊、『外国人だけが知っている「観光地ニッポン」』(ステファン・シャウエッカー・著/大和書房・刊)を紹介しよう。

 

 

世界に日本を紹介する「ジャパンガイド」

本書の著者のシャウエッカー氏はスイス人で、21歳で初訪日。日本の素晴らしさに感動し、日本を英語で世界に紹介するサイト「ジャパンガイド」を1996年に開設した。ジャパンガイド会員登録者は約100万人(2019年11月時点)、月間ページビューは約800万にもなっているそうだ。この本では、そのユーザーたちが、日本のどんなところに魅力を感じ、どんな場所やイベントを楽しんだのかを、私たち日本人に向けて紹介している。

 

シャウエッカー氏は「日本人は身近すぎて気づいていない・考えたこともないような日本の素晴らしさに改めて気づいていただければと思っています。」と前書きで記している。構成は以下の通りだ。

 

第1章 外国人は何を求めて日本へ?

第2章 日本人だけが知らない「外国人が好きな日本」「気に入った日本」

第3章 日本で何を食べた? 何を買った? 外国人が楽しんだグルメと買い物

第4章 日本でどこに泊まった? せっかくならどんなところに泊まりたい?

第5章 訪日客が日本で「うれしかったこと」「心に残ったこと」「とまどったこと」

 

 

日本でやってよかった体験は何?

ジャパンガイドのユーザーにアンケートで「日本でやってよかった体験はありますか?」と聞いたところ、回答の1位は、圧倒的多数で「神社や寺を参拝したこと」だったそうだ。ついで2位は「温泉・露天風呂に入ったこと」、そして3位は「特別な列車に乗ったこと」と答えた外国人が多かったという。

 

特別な列車といえば新幹線で、ユーザーからは「東京からどこまで乗れば、満足できる新幹線体験になる?」という質問がよく寄せられるそう。

 

新幹線は、世界トップクラスの速さと運行本数の多さなのに、遅れるトラブルがほとんどないのは奇跡のようです。そのうえ、揺れが少なくて乗り心地がよく、安全性にも信頼がおけます。(中略)ほかの国の高速列車とはかなり違う印象です。

(『外国人だけが知っている「観光地ニッポン」』から引用)

 

新幹線のほかには、青森のストーブ列車、景色を楽しみつつ食事ができる列車、海が見えるよう座席を外向きにした列車、東京から近場では湘南の江ノ電も外国人たちに人気とのこと。外国人”鉄ちゃん”は想像以上に多そうだ。

 

 

「ラーメン」、「おにぎり」が食べたい!

ひと昔前は、日本食といえば、寿司と天ぷらだった。が、日本を訪れたとき印象に残った食べ物を聞いたところ、堂々の1位になったのは「ラーメン」だそう。その理由は、ここ15年ほどで欧米にラーメン店が進出して各国で人気を集め、ラーメンファンが増えていることがあるという。だからこそ、「日本に行ったら本場のラーメンを食べてみたい」と思う外国人が増えているのだ。

 

ソースがからんだパスタが一般的な欧米人にとっては、麺がスープに入っていること自体、ユニークな一品です。そして、やや濃い目のラーメンスープのコクとうま味……欧米のスープにはないおいしさです。

(『外国人だけが知っている「観光地ニッポン」』から引用)

 

そして、もうひとつ外国人に支持されているのがコンビニの「おにぎり」。日本全国どこでも買えて、安くて、おいしくて、ヘルシー。日本のおにぎりを食べてお米の美味しさに目覚める外国人は多いそうだ。なにしろ欧米ではパラパラしたご飯しかないのだから。

 

日本でコンビニのおにぎりを食べると、ごはんがもちもちとしていて、おいしいことに気づかされます。(中略)具材の写真が付いたパッケージも多いので、外国人でも写真をみてあれこれ選ぶ楽しさがあります。自分で海苔を巻くのも珍しい体験ですし、海苔のパリパリとした食感も初めてです。

(『外国人だけが知っている「観光地ニッポン」』から引用)

 

 

「日本のお年寄りが特に優しい」という声続々

ところで、外国人をもてなすのには、最低でも英語が話せなければと思い込んでいる人が多いのではないだろうか?

 

しかし、実際に訪日した外国人に聞くと、意外にも、英語をまったく話せないお年寄りが特に優しく親切にしてくれたという声が多いそうだ。地方に行くほど、世話好きなお年寄りが増え、日本語で気さくに話しかけられるのが、外国人はとてもうれしいらしい。言語は違っても人と人は”語気”だけでもコミュニケーションがとれるのだ。

 

道に迷っていると日本人はすぐに助けてくれる。日本人はシャイだけどフレンドリー、そして、もてなし好きだったなど、訪日客たちは日本人とのふれあいがよい思い出になったと語っているそうだ。

 

この他、47都道府県、それぞれの人気スポット、イベント、満足度ランキングも大公開している。本書は今後、訪日客も呼び戻すための参考にもなりそうだ。

 

【書籍紹介】

外国人だけが知っている「観光地ニッポン」

著者:ステファン・シャウエッカー
発行:大和書房

外国人の満足度NO.1はどの街? 会員登録者数100万人を誇る日本紹介サイト「ジャパンガイド」を運営し、観光庁「VISIT JAPAN大使」を務めるスイス人の著者が、サイトユーザーへのアンケートを大公開!

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