本・書籍
自己啓発
2020/7/7 21:45

必死で生きる毎日に、ちょっと疲れた人に。やさしい心の薬のような一冊『あやうく一生懸命生きるところだった』

「ママ、なんでも思い通りにできる力があって、どんなことでも完璧にできちゃったら、人生は楽しいかな? 逆につまんないかな?」

 

最近、小4の息子からまるで禅問答のような、人生の本質を突くような質問をしばしば受ける。

 

「そうだねー、なんでもすぐにできるようになったら、ちょっとつまんないかもよ」

 

そう答えながら、心の中で、本当にそうかなと考える。

 

たとえば、サッカーも野球もバスケットボールも、絵も文章も、歌も踊りも、なんでもプロ並みに、しかもさほど努力しないでこなせたら。上達する過程こそ楽しいのであって、最初から練習もしないで完璧にできてしまったら、きっとつまらないだろう。

 

この考えの根底には、”努力することは善であり、大切なこと”という想いが私の中にあるからだ。

 

 

楽をしてお金持ちになれたら、楽しい? 楽しくない?

「働かないで、めちゃめちゃお金持ちになれたら、どうする? めっちゃいいよね~」

 

またも息子から尋ねられた。そりゃそうだ。汗水垂らして働かずに億万長者になれたら、どんなにか人生楽しかろう。好きなことだけに没頭していればいいのだから。

 

けれど、世の中の大半の人は、そんな境遇に恵まれていないので、今日も働く。一生懸命働いて、満足いく対価か、もしくは満足はできないけれど、生活していくために必要な対価を頂戴して、生きる。

 

なぜ息子がこんなことを聞くのかというと、おそらく、小学校高学年になり、さまざまなニュースを見聞きして少し視野が広がったこと、世の中には平等と不平等が混在していること、頭ではわかっているが理不尽に感じることが多いことなどが重なってきたからだろう。

 

「大金持ちになれたらいいよね。でも、お金があるに越したことはないけれど、ありすぎても困っちゃうかもよ?」

 

なんて答えてみた。苦労もせず大金を手に入れる人を全肯定したら、頑張っている自分たちが虚しいじゃない。

 

 

「一生懸命頑張れば、きっと報われる」という呪縛

結局のところ、私たちは「一生懸命」「努力して」「頑張る」ことこそ美徳であり真理だ! と教えられて育ってきた。そんな社会に生きている。

 

この考えに異論はない。努力すれば何事も上達するし、すぐに結果が出なくとも、後で何かしらの報いが得られるから。

 

けれども、全力で走り続けていると、いつかどこかで息切れする。ストレスが重なり鬱っぽくなって出社できなくなったとか、子育てに疲れ果てて実家に帰ったとか、そんな話はすぐ近くのコミュニティで今日も起こっている。

 

となると、私たちは、意図的に頑張ることをやめる時間が必要なのだ。ドラマ「ロングバケーション」で、瀬名が南に「神様がくれた休暇だ」と声がけしたように。

 

そんなふうに思ったきっかけは、韓国で25万部というベストセラーになった『あやうく一生懸命生きるところだった』(ハ・ワン・著、岡崎暢子・訳/ダイヤモンド社・刊)を読んだからだ。

 

人生は、おおよそ計画通りに進まないし、辛いこともあるけど、悪いときばかりでもない。努力が報われることもあるけど、残念ながら報われないときもある。でも、いいじゃない。時には肩の力を抜いて、適当にやる時期があっていい。立ち止まることも大切だよ。

 

そんなハ・ワン氏のメッセージが詰まっている一冊だ。

 

 

まずは、身近な休息から取り入れてみる

さて、私は親として、一人の人間として、息子に今後どう生きる術を伝えていけばいいだろうか。

 

頭ごなしに「一生懸命頑張らないと、幸せになれないよ!」なんて言いたくないけれど、端から「そんなに頑張りすぎなくてもいいんだよ」とも言いたくない。ハ・ワン氏だって、40歳目前になってから、自分らしい生き方を模索し始めたのだから。

 

まずは必死で走り続ける体験をして、その様子を見守りながら、疲れ切ってしまう前にこの本を差し出す。できることはそれくらいだろうか。

 

また、頑張ることをやめる、立ち止まるには、結構な勇気が必要だ。ならば、身近なことから始めるという策もある。

 

ただぼーっとして一日過ごしたり、あてもなく散歩したり、予定を決めずに旅に出たりしてみる。

 

間違っても、成功を求めて計画通りに物事を進めようと思わないこと。見たい映画を見に行く前に、レビューを確認しない。友人とのランチに行く店を決め打ちしない。今週末の予定を決めない。ハ・ワン氏が教えるそんな小さな休息法は、つい一生懸命生きすぎてしまう私たちを救ってくれるかもしれない。

 

なんか最近疲れたかも。ちょっと生き方を見直したい。そんな人におすすめしたい一冊。きっと心に染み入る、やさしい薬のような存在になるだろう。

 

ただし、いままさに、全力で頑張っている真っ最中の人は、読むべき時期ではないのでご注意を。あやうくやる気を削がれてしまうところだった、と思ってしまうから!

 

【書籍紹介】

あやうく一生懸命生きるところだった

著者: ハ・ワン(著)、岡崎暢子(訳)
発行:主婦の友社

韓国でベストセラー25万部。毎日、走り続け疲れきったあなたへ。自分をすり減らす毎日から抜け出し“自分らしい生き方”に出会える人生エッセイ。

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