いつまでも逃げられると思うなよ
――国の側に立ってみれば、とんでもないことですね。
木下 そうなんです。でも、まだ「検討」段階で、しばらくは画期的な納税対策をとるのは難しいだろうと思います。恐らくこういったシェアリングエコノミーを仲介するWEBサイトや事業者に対し、個々のお金の流れがわかる情報を開示させるようにし、そこで個々から税金を取っていくという仕組みになると思います。
――でも、それも途方もない作業になりそうですね。
木下 そうです。また、例えばメルカリのような個人売買のサイトの場合、メルカリだけでなく、ヤフーオークションもあれば、別のオークションサイトもあります。それらの情報を一つにまとめて計算し、やっと「この人はこれだけの収入があったのだから、いくらの課税が発生する」と言い切れるわけです。でも、これは本当に途方もない作業ですよ。完全に仕組化するのは難しいのではないかと思います。
しかし、先ほども申し上げた通り、これはモラルの問題ですね。本来は自己申告で納税することには変わりがありませんし、シェアリングエコノミーの団体では、啓蒙活動として「確定申告、ちゃんとやってくださいね」ということはずっと呼びかけています。
ですので、国の側に立ってみれば、現状ではなかなか課税を見込めないのがシェアリングエコノミーで、利用者の側に立ってみれば、納税を免れることもできてしまうのがシェアリングエコノミーということですね。
非常に問題視されているので、これから先、画期的な課税方法が出てくるかもしれませんが、私見では、変化するビジネスに対応する課税という意味で今後の重要課題になるだろうな、と思います。