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2015/12/2 16:00

「Japanese Soba Noodles 蔦」を世界一詳しく紹介!【「ミシュランガイド」世界初の星付きラーメン店】

「Japanese Soba Noodles 蔦」は、「ミシュランガイド東京2016」で世界初となる星付き店(1つ星)を獲得したラーメン店です。独創的な食材、自家製麺の完成度、店構え、接客――すべてのレベルが高く、いま日本一のラーメンといえます。そんな同店を深く愛する、サニーデイ・サービスの田中 貴さんが取材・執筆したのでお届けしましょう。

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マニアからたまにしか食べない人まで全てを感動させる世界一のラーメン

常識を軽々と超えるラーメン界のビートルズ

「いま、日本一のラーメン店はどこですか?」と聞かれると、僕(田中 貴)は必ずこの店の名をあげる。個人的に好きということではなく、客観的に見て日本一のラーメン店。日本一とは自動的に世界一ということでもある。ラーメンの基礎を失うことなく使用される独創的な食材。自らが作った珠玉のスープに一番合う麺を研究し、自ら毎日打つ自家製麺の完成度。店名やロゴのトータルなコンセプト、店構え、店内の居心地、接客。意欲的に奇抜な食材も使うサブメニューや、その都度話題を振りまく限定ラーメン。

 

そして、一日に百数十杯のラーメンを、店主が常にすべてを丹精を込めて作るスタンス。僕自身はラーメンにランキングを付けるなんてナンセンスだと思っているが、ランキング本などでここを一番に選出しないラーメン評論家は、ラーメンの本質を理解していないか、〝仕事としての評論〞をしているとしか思えない。

 

僕のように偏執的にラーメンを食べるマニアと、評判を聞きつけて食べに来るラーメン好きの人、たまにしか食べない人、そのすべてが感動出来るというのも凄いところ。いままで食べていたラーメンとはまったく違う先進的な味。ラーメン好きに「この旨味の正体は?」と頭を捻らせる難解さ。そしてマニアが驚く前衛さと完成度。ビートルズをリアルタイムで聴いていたらこういう感じだったのではないか。

 

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丸鶏や浅蜊などの素材を贅沢に使用。閉店後、原価率を計算しながら本気で落ち込んでる姿をチョイチョイ見かける。

 

独立後、瞬く間にトップクラスの仲間入り

本人の意向からほとんど公表されていないが、蔦の大西祐貴店主(下写真)は伝説のラーメン店「めじろ」の大西良明店主の次男である。「めじろ」は、93年に藤沢で創業し、同じく藤沢の鵠沼海岸にあった佐野 実氏の「支那そばや」と並び評された名店。のちに「七重の味の店 めじろ」と名乗ったこの店、旨味が幾重にも折り重なる奥行きのあるスープが、食べ進め温度が下がることによって変化する味わいまで楽しめるという驚異的なラーメンを出すことで有名だった。良明氏は揚げ葱を効果的に使い、食感と風味を楽しむために切り方を変えた数種の葱をトッピングするなどから〝葱の魔術師〞とも呼ばれ、炭酸を使った冷やしラーメンなど独創的なメニューを提供する奇才としてその名を馳せた。

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良明氏のもとで修行をした祐貴氏、代々木店を任されてからは父親の味を守りつつもいまでも語り種となるような限定メニューを連発していた。満を持して12年に独立した際には、めじろの名、味を捨て、まったく縁のない場所である巣鴨に蔦をオープンさせ、瞬く間にトップクラスの実力と人気を誇る名店となったのだ。

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巣鴨駅から徒歩一分という便の良さ。この先困ることになるので、我々客側も行列のマナーを気を付けなければ。
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「 めじろ」時代からなので製麺歴は長い。二号店「蔦の葉」の麺も含め、毎日数種の麺を打つ重労働だ。

 

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無駄に威勢のいい掛け声などは一切なく適度な緊張感で味に集中できる。
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麺の表面に傷を付けたくないという理由から、湯切りは最小限にとどめる。こちらもどこかのわけのわからない店のように派手な動きなどは一切ない。

 

 

 

ミシュランに載ったライバルは食べたらどんな顔をするだろう

そんな祐貴店主、常に悩み続け、完璧と思われた作品の味をあっさりと変えてしまう。例えば〈味噌そば〉。ラーメン雑誌で味噌専門店を抜いて一位になるほど好評だった味を「何か違う、もっとおいしく出来るはず」とメニューから外す。たまに相談されるが、僕は余程のことがない限り後押しをする。「自分がそう思っているなら間違いないよ。もっとウマいの出来るよ」

 

その後、試作を重ねるうちにこだわりは強まり、通常のスープとまったく別物となる、牛骨も使った味噌専用のスープを炊くことに決め、そのために曜日限定で二毛作営業することになった。火曜日だけ『味噌の陣』と暖簾を掛け替え提供される一杯は、幼少時から食べていたという親の出身地・四国の豆味噌を使ったビターな味噌ダレに、牛骨の甘みのあるスープを合わせ、ポルチーニを漬け込んだオイルが香る唯一無二の〈味噌そば〉。
ビートルズでいえばリボルバーを出したころの感じだろうか。それまでのR&BやR&Rを、より荒々しく、またはテクニカルに演奏する新しさで音楽ファンを熱狂させていたマージービートのグループたちを軽く飛び越えて、まったく新しいサイケデリックなサウンドを鳴らした瞬間。蔦と同じく、15年度版ミシュランに掲載された21軒のラーメン店、いわばビートルズと同時代を生きた、ストーンズ、ザ・フー、ヤードバーズのような、ライバルと呼ばれている店主たちは、蔦のラーメンを食べたらどんな表情をするのだろうか。

 

 

蔦で珍しく〈つけそば〉を注文したときのこと。夜の閉店間際で僕以外の客は帰ったので、ひと口食べてそのまま感想を伝えた。「あーこれ、おいしいヤツだ。めっちゃウマい。でも驚かないね。大西祐貴が作るなら食べた人が腰抜かすぐらいウマくないとダメじゃない?」
それからしばらく経って「新しいつけそば食べに来てください」と連絡をもらった。出て来たつけそばは、以前とまったく見た目が違う澄んだつけダレ。ひと口啜ると、エッジのある塩味と、丸みのある甘みが同時に押し寄せた。「白醤油を使ってタレを一から作り直しました」白醤油とは、大豆ではなく小麦を主体に作られた醤油で、小麦の糖分が多く含まれるため甘みもあるのが特徴。ラーメンの延長線上ではない〈つけそば〉。参った。素晴らしい。
と思ったら、もう〈白醤油つけそば〉はメニューになく、ナッツペーストを使った〈醤油つけそば〉に変わったそう。開店から3年、ベーシックな醤油そばも最初とはまったく別物といえるほどの進化を遂げた。大西祐貴は、蔦ファンも、ラーメンマニアも、言わばラーメン界全体がついて行けないほどのスピードで爆走中だ。

 

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「麺を打たないラーメン屋は、ただのスープ屋」という言葉がある。最近はスープも具材も業務用の店が多い。ありゃ何屋だ?
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〈. ローストトマト(塩そば)〉他店なら看板メニューにするであろうラーメンにあまり使わない素材もサラッと合わせてくるセンス。
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味噌そば。週一営業の「味噌の陣」。大西店主と並び評される人気店の店主は多くいるが、ビートルズとジェリー&ザ・ペースメイカーズぐらいの差があることに本人は気づいているだろうか。
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イタリア産風トリュフオイル。これも大西店主の頭を悩ませる高級品。突出させない絶妙な加減で香らせる。

 

shop name

Japanese Soba Noodles 蔦

住 東京都豊島区巣鴨1-14-1 Plateau-Saka 1F
休 水
営 11:00〜16:00(材料切れの場合終了)

 

※:本記事はサニーデイ・サービス 田中 貴 プロデュース ラーメン本 Ra:の内容を一部再編集したものです。

 

 

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